2019年7月
給食マネジメント実習(管理栄養士専攻2年)
食生活科学科助手H.H.
今回は管理栄養士専攻2年生の「給食マネジメント実習」をご紹介します。
この実習では、給食経営管理論を踏まえ、対象者に喜ばれる安全?安心な給食を提供する技術や知識を習得することを目的としています。実際に券売機で、学生や学内の教職員に食券を販売し喫食していただいています。
まずはグループを構成し、そのグループごとに給食を運営します。
毎回、管理栄養士?栄養士?調理師の役割を交代で学習することで、3つの視点で給食マネジメントを理解することができます。
さらに、実際の給食施設を想定した実習により3年生以降の臨地実習の理解を深める目的も果たしています。
実際に7月5日(金)に行われた「給食調理実習(夏野菜カレー)」について詳しくご紹介いたします。
食材の検収作業から、下処理、提供まで、すべて学生主体で行います。
本学の給食実習室は、HACCPという衛生管理システムに基づいた本格的な設備です。
給食実習室ならではの大きな調理機器や器具に慣れてもらうところからのスタートなので、初めて見る大きさに最初は皆驚いていましたが、回を重ねるごとに扱いも様になってきました。
今回特に大活躍した調理機器は「回転釜」です。回転釜は大きな鍋のような役割を果たし、炒め物?茹で物?揚げ物?蒸し物など、他種多様な使い方ができる優れものです。
学生も火加減に気を配りながら懸命に特大ヘラで調理を行っていました。
また、演習時間では後期に向けた販売献立を一から立てることから始めます。
まず初めに軸となる栄養教育テーマを打ち出し、献立内容の検討をしていきます。
その後業者ごとに発注表を作るのですが、少量調理とはまったく違う100食分の発注なので、食品成分表やベーシックデータに基づいた正しい発注量を学んでいきます。
栄養教育媒体であるポスターや試食室のPOP、当日配れるリーフレット等も作成し、来ていただくお客様に満足して帰ってもらえるよう様々な工夫を施しています。
前期で学んだ給食実習経験を活かし、当日の調理班の作業指示や工程も考え、当日は自分たちで立てた指示通りに現場が回るかどうかをしっかりと確認しながら提供へ向けて動きます。
何度も修正を重ねながらも、納得のいく献立が出来上がったときに感じる達成感はこの上ないものだと思います。
給食実習終了後は調理班チームで集まり反省会を行います。
担当した料理ごとに反省点や次に生かしたいことを発表しながら全員で当日の振り返りを行うことで、次回の実習に生かすことが狙いです。
また当日はお客様にアンケートの記入をお願いしているのですが、アンケート内容の集計を行うことで客観的な意見も取り入れることができ、自分たちの意見と合わせて考えることでより深みのある話し合いができると考えています。
学生たちが幅広い知識や技術を習得し、将来管理栄養士として素敵な未来を切り開くためのお手伝いができるよう、今後もサポートしていけたらと思っています。
卒業アルバム制作中!!
食生活科学科助手A.N.
この時期には珍しく肌寒い日々が続いています。
そのような中、食生活科学科4年生アルバム委員は日々より良いアルバムを作成しようと学科を代表して動いています。
6月~7月のこの時期は4年生やお世話になった先生、助手を含め個人写真の撮影を行っています。
撮影風景(助手)
例年、クラスの色がでる個人写真。
過去には、各々野菜?果物などを持参し、好きな食べ物と一緒に写るクラスや
画用紙に一人一文字書き、みんなで繋げて文章にするようなクラスもありました。
2018年卒業アルバム
アルバム委員は表紙のデザインやアルバム内の構成、撮影日や撮影時受付など立案から発注までを業者と話し合って進めています。大人数の予定を合わせ撮影日を決定するのは、なかなか大変な様子でした。
食物科学専攻出身の私自身、自分の年の卒業アルバムをたまに開いてはクスッと笑えて、懐かしさで同級生に連絡をしてしまうこともあります。
今年度はどのようなアルバムになるのでしょうか。
現4年生にとっても、社会に出て、たまに見返した時に元気が出るような一冊になれば良いなと思います。
調理学実験b(食物科学専攻2年)
食生活科学科助手A.S.
食物科学専攻2年生の「調理学実験b」をご紹介します。
梅雨明けを待つ今日この頃、蒸し暑い日には少し嬉しい冷たいゼリーの実験です。
普段ゼリーを作るとき、皆さんはゲル化剤に何を使用していますか?
今回の実験では、キウイフルーツと3種類のゲル化剤【寒天、カラギーナン、ゼラチン】を用いて
「果肉添加がゲルの性状やテクスチャーに及ぼす影響」を理解します。
キウイフルーツは、加熱をしない【生果肉】、30秒間沸騰させた【加熱果肉】を用意します。
試料配合は表の通りです。
調製した試料A~Iを皿に出し、観察?試食を行いました。
【調製したゼリー:左からキウイフルーツなし、生果肉入り、加熱果肉入り】
キウイフル-ツなしのゼリーで試食の結果、寒天ゲルはつるっとした固めの食感、カラギーナンゲルはぬるっとした口に残るような食感、
ゼラチンゼリーはぷるっとした滑らかな食感があることがわかりました。
ゲルの性状について、ゼラチンゲルに焦点を当てて観察します。
H 【ゼラチン+生果肉】は、学生から「固まりませんでした…」と不安そうな声が聞こえましたが、
この状態が正解!キウイフルーツの持つタンパク質分解酵素がゼラチンの成分であるタンパク質を分解し、
ゲルの形成能力が低下してしまったため、ほとんどが固まらずドロドロに融けてしまいました。
一方で I 【ゼラチン+加熱果肉】は、キウイフルーツを加熱したことにより、タンパク質分解酵素が失活したため、ゲルは固まりました。
なぜ使用するゲル化剤の濃度が種類によって違うのか、
なぜ生果肉を入れた寒天ゲルとカラギーナンゲルは固まったのかなど、
それぞれのゲル化剤の特性を科学的に考えて学び、日々の料理に活かしていきましょう。
基礎栄養学実習(管理栄養士専攻2年)
食生活科学科助手M.S.
日野は蒸し暑い日が続いており、真夏へのカウントダウンを肌で感じる今日この頃です。
今回は管理栄養士専攻2年生の「基礎栄養学実習」をご紹介します。
この実習では、食品中に含まれる栄養素に焦点を当てた実験を通し、器具や試薬の使い方?ノートやレポートの書き方といった、実験を行う上での基本的な心構えについて学んでいきます。
学生たちはこれまでに、でんぷんや脂質の消化実験、野菜ジュースに含まれるβ‐カロテンの抽出実験などを行い、実験に臨むために必要となる知識?技術の土台を着々と築いているところです。
今回の実習内容は、「糖?アミノ酸?たんぱく質の定性実験」です。
「定性」とは、試料物質に含まれる成分を調べて定める、という意味です。
試料物質となる試験液はA~Gの7種類。それぞれに、
①グルコース(ブドウ糖)
②フルクトース(果糖)
③スクロース(ショ糖)
④でんぷん
⑤グリシン
⑥プロリン
⑦ウシ血清アルブミン(タンパク質)
が1種類ずつ含まれています。
学生たちは各試験液が示す化学反応に基づいて、A~Gの試験液中にどの物質が含まれているのかを見きわめていかなければなりません。
試薬を試験液に加えて混合し、加熱をして反応を確認し、その都度メモをとって???と、慌ただしくもたくさんの発見に心が躍る時間が過ぎていきます。
試験液の中には化学反応によって美しく呈色するものもあり、「きれい!」「おもしろい!」という声が聞こえてきました。
どんな実験においても、精度の高い結果を得るには事前にプロトコール(手順書)をしっかり読み込んだ上で、慎重に作業を進めていくことが非常に重要です。テキパキとこなしていく迅速さももちろん大切ですが、スピードばかりを追い求めてしまうとなかなか良い結果にはつながりません。
学生たちは様々な化学反応を目の当たりにしてどよめきながらも、真剣な表情で一つひとつの作業に取り組んでいました。途中で操作ミスをしてしまい、定性に苦労していた班もいくつかありましたが、最終的には多くの学生が正しい答えに辿り着いていました。
実習終了後は今回の定性反応の結果をまとめ、自分なりに考察し、用紙に内容を記入していきます。
新しく得た知識は復習をすることでさらに記憶に定着していくので、今後の自分の為にももうひと頑張り!といったところでしょうか。
学生たちが幅広い知識を習得し、他の実験にも活かしていけるように今後もサポートしていきたいです。