2017年7月
調理学実験b
食生活科学科助手 A.N.
食物科学専攻2年生の「調理学実験b」の授業をご紹介いたします。
今回の実験は「砂糖添加がゲルの性状やテクスチャーに及ぼす影響」についてです。
こちらは寒天、ゼラチン、カラギーナンのゲル化剤を用いたゼリーの性状やテクスチャーを比べます。
また、砂糖を添加することにより、各ゲルの性状やテクスチャーがどのように変化するかを調べ、砂糖のゲルへの影響について理解します。
試料配合は以下の通りです(試料A~H)
<調製方法>
●寒天?カラギーナン
1.小鍋に水を入れ、粉末の寒天またはカラギーナンを加えて、10分間浸す
2.加熱して煮溶かす(沸騰させる)
3.砂糖を添加し溶かす
4.カップに移し粗熱を取ってから、冷蔵庫で冷やし固める
●ゼラチン
1.ボウルに水を入れ、ゼラチンを振り入れ、10分間浸す
2.湯煎で60~70℃に加熱し、ゼラチンを溶かす(沸騰させない!)
3.砂糖を添加し溶かす
4.カップに移し粗熱を取ってから、冷蔵庫で冷やし固める
自分たちで調製した試料を、カップからお皿に出して、観察?試食を行いました。
下の写真のように、砂糖なしのゼリー(A)より、砂糖が入っているゼリー(C)のほうが透明度は高く、離しょう(※)の少ない弾力あるゼリーになります。
(※離しょう:ゲルが収縮して液が分離し滲みだしてくる現象)
試食では、カラギーナンゼリーを初めて食べた学生が多く、独特の舌触りに驚いている様子でした。
寒天ゼリーはほろっとした固めの食感、ゼラチンゼリーは舌触り滑らかなぷるんとした食感、カラギーナンゼリーはヌルッと口の中に残るような食感があります。
3種とも無味のゼリーなので「おいしくない」というのが素直な感想だったようですが、色々な食感のゼリーを食べ比べ、楽しみながら学ぶことができました。
また、滑らかで口どけのよいゼラチンのゼリーですが、室温で30分も置くと溶けてしまいました。
これはゼラチンが20度以下で固まり、25度くらいで型崩れを起こすという性質によるものです。
夏場は特に、ゼラチンを使用したデザートや料理の取り扱いに注意が必要だということが分かりますね。
「調理学実験b」では調理方法や材料の配合で変わる料理の栄養面やおいしさを科学的な視点で学ぶことができます。
普段の調理でのなぜ?どうして?が解決するかもしれません。
食物科学専攻に入学した際は、是非ご自身で調理の疑問を解決してみてください。
給食実務学内実習(健康栄養専攻3年)
食生活科学科助手 Y.Y.
長い梅雨も明け、本格的な夏の暑さがやってまいりました。
今回は健康栄養専攻3年生による「給食実務学内実習」をご紹介します。
この科目では、栄養士として集団給食を提供するために必要な知識や技術を学び、学生が自分たちで考え作成した献立を100食分調理し、実際に学内で販売しています。
厨房内では厚生労働省が定める大量調理施設衛生管理マニュアルに則り、衛生管理をしっかり行っています。
下処理を行う「汚染作業区域」と、加熱調理を行う「非汚染作業区域」とでエプロンを区別し、包丁やまな板?器具等も用途や食品別に色分けして解りやすく混合しないように使用しています。
果物やサラダ等の加熱せずに生で食べる物は必ず手袋を着用して作業を行い、マニュアルに則った洗浄を行い、衛生管理を徹底しています。
今回は前期最後の実習で、パスタに挑戦しました。
献立は、トマトの冷製パスタ?パンバイキング?サラダ?野菜スープ?すいか?紅茶です。
この日は、冷製パスタに適している細さ0.9㎜の極細パスタ「カッペリーニ」という種類を使用しました。
また、旬を意識して献立にはスイカを取り入れ、涼しげな夏らしい給食を販売することができました。
給食提供時間は約1時間半ですが、いつ召し上がっても適温適量の最高状態で提供するために様々な工夫が必要です。
学生は作業工程を考える上で、パスタやパンを提供するまでの時間を逆算しながら加熱調理を進めることに苦労していました。
しかし今回も多くの方に召し上がって頂き、アンケートでは「おしゃれでおいしかった」や「給食とは思えないほど豪華」等の高評価を頂き、90%以上の方が「大変良い」と回答してくれました。
4ヶ月間、学生も奮闘しながら実習を行ってきましたが、ある程度器具などにも慣れてきたので、後期はさらに磨きのかけた満足度の高い食事やサービスを提供できるようにと張り切っています!
これからも安全で喜ばれる食事を提供できるように、全員で協力してがんばりましょう。
栄養マネジメント実習
食生活科学科助手 Y.K.
早いもので2017年も6月が終わり、7月に入りました。梅雨明けが待ち遠しいですね。
今回は管理栄養士専攻3年生の「栄養マネジメント実習」についてご紹介します。
この実習では、人(個人?集団)の栄養状態を知るための様々な方法を学びます。
その一環として、食事から取り入れるエネルギーや、生活の中で消費するエネルギーを実際に測定します。
本日の実習では、【活動時のエネルギー消費量の測定】を行いました。
ダグラスバッグという大きな袋状の測定容器につなげたマスクを通して、運動中の自分の呼気を採取します。
その呼気を用いて、どのくらい酸素を使ったかを調べることで、エネルギー消費量を算出できます。
活動時ということで、グラウンドを走る、エルゴメーター(自転車のペダル踏み装置)で負荷をかけてこぐなどの運動をしてもらいました。
運動をしているので呼気が段々とバッグの中にたまっていきます。
採取が終わると、まずは呼気分析器で呼気中の酸素と二酸化炭素の濃度を測定します。
ダグラスバッグに小さなチューブを繋いでそこから装置に吸入させるのですが、ずっと繋いだままでは採取した呼気が減っていくので、表示された数値を素早く読み取る必要があります。
次に、ガスメーターでダグラスバッグ内の呼気量を計量します。
バッグ内の呼気をすべて押し出して量るのですが、採取された呼気によってバッグが大きく膨らんでいるので、押し出す作業も根気がいります。
そして、これらの測定結果を計算式に当てはめて、酸素消費量、二酸化炭素産生量、エネルギーの消費量を算出し、自身の結果を評価し、レポートにまとめます。
学生からは、「安静時に比べて、活動時の呼気量が大幅に増えた。それだけ、エネルギーを消費していることがダグラスバッグの膨らみ具合からでも分かった」という感想が挙がりました。
今回の実習では、身体活動で消費するエネルギーについて身を持って理解することができました。
こうした様々な方法を学び、将来患者様へのサポートにも役立ててもらいたいと思います。