生活文化学科「ゼミナール」幼児教育研究室
<指導教員>井口 眞美
<発表日時>2022年6月29日~12月16日
<発表場所>ゼミ学生と保育園5歳児との合同発表会(対面)
日野市内の保育園「わらべ日野市役所東保育園」の園児との合同発表会を行います。幼児保育専攻の学生が保育者としての専門性を向上させるために、子どもたちに適した教材(ダンス、歌、合奏等)を用意し、発表会までのプロセスを指導することは大変に有意義であると考えます。また、ここ数年、コロナを理由に保育現場では外部団体による保育参加の場が不足しています。そのため、この活動は子どもたちにとっても貴重な機会になると考えられます。
具体的な計画は下記の通りです。
①6月下旬? ゼミ生10名で打ち合わせを行う
②7月中旬? ゼミ生と保育園園長先生、担任の先生方と打ち合わせを行い、具体的な日程、内容を決定する
③9月下旬? 11月の発表会に向けて、保育園園児に発表会の指導を行う
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2022年度
コロナ禍において、年度当初予定していた「わらべ市役所東保育園」での継続的な活動は困難であると判断し、感染状況を見極めながら、「ひよこハウス多摩平保育園」での活動に変更した。準備、発表まで予定通り実施することができ、12月には、5歳児とゼミ生とで影絵発表会を行った。幼児保育専攻の学生が、保育者としての専門性を向上させるために、実際に保育園に出向き、影絵発表会を企画し、指導した具体的な経緯は、下記の通りである。
①10月5日~ ゼミ生10名と「ひよこハウス多摩平」園長、5歳児担任との打ち合わせを行う。保育園側の希望や5歳児の実態を踏まえ、影絵劇『くれよんのくろくん』を行うことに決定する。
②11月18日 ゼミ生が保育園へ出向き、5歳児と親しむことを目的として、フィンガーペインティングを行った(フィンガーペインティングの作品は、影絵劇の一場面「花火」としても活用した)。また、5歳児は影絵の経験がなかったため、ゼミ生による影絵劇『はらぺこあおむし』を披露し、影絵劇のイメージが具体的に描けるようにした。
③ゼミ生は、5歳児が影絵劇を行うための計画を立て準備をし、5回にわたる影絵劇の指導等を行った。
?『はらぺこあおむし』の影絵人形を触ってみたり、スクリーンに映してみたりする。
?ツリーチャイム等、使用予定の楽器を鳴らして、音を確かめてみる。
?『くれよんのくろくん』の影絵人形担当や楽器担当等、分担を決める。
?グループに分かれて練習をしたり、セリフに合わせて影絵人形を映し動かしてみたりする。
?リハーサルを行う。
④12月16日 保育園内のホールにて、下年齢児向けの音楽発表会を行う。5歳児は、一人一人自覚をもって役割を果たしており、短時間での練習とは思えない程の出来栄えの発表となった。
⑤発表会後、5歳児向けのメッセージカードや影絵人形を保育園へ届けた。
⑥学生がこの活動から学び得た内容については、振り返りの場を設け、感想を共有した。保育園からは丁寧なお礼状が届き、初めて経験した影絵劇が5歳児にとって貴重な学びとなったこと、また、学生たちが終始真摯な態度であったことを非常に褒めていただいた。
影絵発表会の計画、準備
活動前に、園長や5歳児担任と活動内容や保育園側の希望や5歳児の実態を確認したものの、5歳児はどの程度、セリフを覚えたり、影絵人形を操作したりできるのか、大学から何を持参すればよいのか等、見通しがなかなかもてなかった。そのような状況でも、ゼミ生は、時間をかけて丁寧に計画や準備を進めていた。10名それぞれの得意分野を活かし、協力的に作業を進めていた。
影絵劇の練習では、子どもたちへの説明時間が余った時の対応等に苦心していたが、互いに連携を図り、一人の手が回らない時に他者が補い合いながら進めていた点は印象深かった。
影絵発表会当日
ゼミ生も5歳児も緊張はしていたが、影絵発表会を見事に成功させることができた。子どもたちも、ゼミ生と一緒に影絵劇を成し遂げた満足感、自信を得ている様子であった。
活動を終えて
初回から影絵練習を行うのではなく、開放的な遊びを取り入れ、互いに親しむ機会をもつ、発表会後にメッセージカードを渡す等、子どもたち一人一人の思いを大切にした計画、実践ができていたと考えられる。ゼミ生たちは、活動を成功させた充実感、子どもと関わる楽しさと共に、保育者に求められる指導力、臨機応変さを実感していた。
コロナ禍でボランティア等の経験が不足しがちな学年であるだけに、今回、貴重な経験ができたといえる。