給食経営管理研究室
<指導教員>山岸博美
<発表日時>2022年12月4日
<発表場所>ポスター発表
給食経営管理研究室は、今年度、大量調理における衛生管理について、洗浄状態の良否を可視化できるATP(アデノシン三リン酸)測定を行った研究を行うこととし、さらに卒業論文の足掛かりとして文献検索等によるデータ収集し、卒業論文へ執筆することとした。
具体的には、学内給食実習室における施設設備使用後及び洗浄後の測定や、手洗い前後の手指、調理用エプロンなどの調理衣等、野菜洗浄後の洗浄水等の測定を予定している。
また、ゼミ生による特定給食施設における衛生管理の在り方について勉強等を予定している。この活動を通して、これまで大学内外で学んできた衛生管理の知識とこのゼミでの学びをつなげ、卒業後社会人となった時に、実践的な活躍の一役となるような成果を目指したい。
News
2022年度
「ATPふき取り検査による給食施設の洗浄度測定について」
食中毒予防のために給食施設をはじめとした大量調理施設では衛生管理の徹底が求められる。そのためには、「大量調理施設衛生管理マニュアル」に示されている通り、手洗いをはじめ施設における器具や食材の消毒?洗浄が重要である。このことから、手洗いや給食実習室の洗浄度について調査した。
方法は「給食マネジメント実習」の授業で使用した給食実習室内や手指をATPふき取り検査法による洗浄度調査を実施した。測定機器は「ルミテスタ-PD-20」、洗浄度検査キットは「ルシパックPen」(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)を用いた。
調理施設備品については、推奨基準値の範囲内に数値を下げることが難しかったが、殺菌消毒保管庫の効果は、明らかであった。調理器具の数値が高値であった原因の一因としては、洗浄技術及び経年使用による器具や施設の微傷、洗浄の技術度などが考えられた。このことは、言い換えせば整理、整頓、清掃、清潔、習慣)を徹底し、調理従事者の衛生意識を持続させることの重要性を示したともいえる。
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、野菜洗浄を行う際には、流水で3回以上洗浄するとされている。この結果では、洗浄回数の増加に伴い、洗浄度が高値を示している。このことから、マニュアルに従い洗浄を3回以上行うことは、衛生管理に有意であることが、明らかになった。
手洗いについては、手洗いをせずアルコール消毒を行うより、石鹸で手洗いを行うほうが、洗浄度が向上することが認められた。このことから、正しい手洗いの方法を知り実施することは、二次汚染防止に効果的であることがいえる。しかし、手洗いができない状況にあっては、アルコール消毒の一定の効果は期待できると考える。