地域の栄養改善を目的とした活動
<指導教員>辛島 順子
<発表期間>2021年11月13日?14日
<発表場所>日野キャンパス常磐祭
地域の栄養改善を目的とした活動を行う。具体的な活動内容は、以下の通りである。
1)日野市多摩平の森自治会の活動支援(主に男性を対象とした料理教室を支援する予定)
自治会と協働し、男性を対象とした料理教室を再開する。再開に当たっては、以下の通り感染防止対策を行う。新型コロナウィルスの感染拡大防止対策は、これまでに地域の通いの場が果たしてきた役割や機会の減少につながっていると推察される。人との交流や活動の機会が失われることは、健康への悪影響が想定されるため、厚生労働省のHPにおいても地域の通いの場の再開が提案されている。
日野市多摩平の森自治会は、自治会と住民が協働した活発な活動を展開し、多くの住民に対する通いの場を提供してきたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、現在はほとんどの活動を休止している。2019年度の活動実施回数は約300回?参加者延べ人数は約6,000名であったのに対し、2020年度の活動実施回数は約40回?参加者延べ人数は約300名であった。2019年度までの活動の中には、食を通じた活動(地域住民による喫茶室の開催?料理教室?夏祭り等)が含まれている。栄養教育研究室は、2012年から2019年までの期間で合計22回多摩平の森自治会の男性を対象とした料理教室の開催に関わる支援を実施してきた。
感染防止対策を実施した上で男性を対象とした料理教室を再開し、その他の自治会活動再開や新たな活動の開始?展開へ向けた基盤を構築していきたいと考えている。
2)地域在住高齢者のヘルスリテラシーと栄養状態に関する調査研究(卒業論文)
3)介護老人保健施設における栄養評価(卒業論文)
4)乳幼児の子育て中の親を対象とした災害に関する家庭備蓄の調査研究(卒業論文)
*2)~4)はすべて学外で調査を行う予定である。
News
2021年度
1)日野市多摩平の森自治会の活動支援(主に男性を対象とした料理教室の支援を実施)
2021年6月28日、2021年12月20日に多摩平の森自治会の男性会員を対象とした料理教室の活動支援を行った。内容は、料理教室のメニュー提案、感染症対策のための環境整備、使用する食材の準備、教室当日の準備と調理サポートなどであった。
2)地域在住高齢者のヘルスリテラシーと栄養状態に関する調査研究
【目的】
自立した地域在住高齢者におけるヘルスリテラシーと食品摂取の多様性、栄養状態との関連について検討し、高齢者のヘルスリテラシー向上と栄養状態改善に働きかける基礎資料を得ることである。
【方法】
調査協力者は、A自治会会員の65歳以上の者とし、男性21名、女性70名の協力が得られた。自記式質問紙調査から、基本属性?日常生活の状況、食品摂取の多様性得点、ヘルスリテラシーに関する回答を得た。
【結果】
ヘルスリテラシーが低いと判定される者の割合は24.2%であり、ヘルスリテラシーが低い者ほど、健康情報の入手?理解?評価?活用それぞれの項目に関して得点が低い傾向がみられた。ヘルスリテラシーが高い者は低い者と比較して、主観的健康状態と生活の満足度が有意に高かった。
考察:高齢者のヘルスリテラシー向上を図るためには、高齢者が理解しやすい内容や媒体を用いて働きかけ、主観的健康状態や生活の満足度の向上、栄養状態の改善、健康寿命の延伸につなげる必要がある。
3)介護老人保健施設における栄養評価
【目的】
介護老人保健施設において、ひとりひとりの状態に応じた栄養管理を行うために、足球现场直播,大发体育在线3年に導入された「科学的介護情報システム(LIFE)」(以下、LIFEとする)に登録するデータおよびヘモグロビン推定値を用いた栄養評価方法を検討し、介護老人保健施設の栄養管理を適切かつ効果的に進め、利用者の食事内容やケアの充実を図る。
【方法】
LIFEに登録するデータの分析:介護老人保健施設H(以下、施設とする)の利用者のうち、栄養管理の必要性が高い者を施設管理栄養士が選定し、本人または家族の同意が得られた者44名を対象とした。
ヘモグロビン推定値の測定:対象者に対してASTRIM FITを用いて施設管理栄養士が測定を行った。
【考察】
今回の横断的な測定によるヘモグロビン推定値は、従来から栄養評価指標としているBMIとの関連はみられなかった。したがって、科学的介護推進とケアの充実を図るためにも、ヘモグロビン推定値の経時変化を観察することや、その他の指標を検討することが今後の課題である。
4)乳幼児の子育て中の親を対象とした災害に関する家庭備蓄の調査研究
【目的】
災害時の要配慮者である乳幼児のいる世帯を対象とした防災や家庭備蓄に関する調査を実施し、子育て世帯の食料や日用品等の家庭備蓄、防災力の現状や子どもの年齢による違いを比較?検討する。
【方法】
日野市立A児童館に来館している保護者を調査協力者として、自記式質問紙調査を行った。
【考察】
災害発生時の「共助」を促進するために、学校?幼稚園?保育園、あるいは児童館などで保護者同士が防災について話をすることができる機会となる防災教室などを多く設ける必要があると考える。
備蓄している食品や日用品等は子どもがいる世帯において備えるべき物を調査したが、備蓄していない世帯が多くみられたため、ローリングストック法などを周知し、備蓄する食品や日用品の種類を増やすことができるように促す必要があることが明らかになった。
5)常磐祭
2021年度常磐祭(日野キャンパス)において、来場者の方を対象としてASTRIMFITを用いた推定ヘモグロビン測定を実施した。2日間で約160名の方に推定ヘモグロビン測定を体験していただくことができ、来場者ご自身の健康管理に関心を持つきっかけづくりを提供することができた。