人と環境の心理的相互作用に関する研究
<指導教員>槙 究
<発表日時>2022年2月7日 および 2022年2月25日?3月22日
<発表場所>卒業研究発表会、本館430
実態調査や評定実験を通じて、人と環境の心理的な相互作用に関わるデータを収集します。具体的には、以下の3つのテーマ設定します。
(1)HSPの人に適した環境に関する研究
HSP(Highly Sensitive Person)の人は、全体の2割ほどいると言われています。その人達にとって、どんな刺激が気になるのかを調査して、HSPの人達が安心して過ごせる環境を明らかにしていきます。
(2)コンクリートブロックのバリエーションに関する心理的評価に関する研究
コンクリートブロックは、安くて、手に入りやすい材料です。でも、あまり好まれる見た目ではありません。それをどのように変えたら、受け入れて貰いやすくなるか、実物や画像を用いて明らかにしていきます。
(3)コミュニケーションに必要な情報に関する研究
Zoomで授業を受けたり、意見交換をする時に、やりづらいと感じ、それは、どんな情報が欠けているからなのかに、興味を持ちました。情報の出し方をコントロールした実験を実施して、コミュニケーションに必要な情報について明らかにしていきます。
News
2021年度
実態調査や評定実験を通じて、生活環境のデザインをサポートする人と環境の心理的相互作用に関する知見を収集し、4つのテーマに分けて結果をまとめ、生活環境学科の卒業研究発表会で発表した。また、卒業制作展会場で、卒業論文の展示を行いました。
(1)女性ファッションの配色マップ
当初、HSP(Highly Sensitive Person)の人に適した環境に関する研究を実施する計画でしたが、人の特性と過ごしやすい環境について考える中で、ファッションが身を守る鎧の役割を果たしていると気づいて方向転換し、女性のファッションについて、組み合わせに使われる配色をまとめた配色マップの作成をテーマに研究をしました。
調査で各ブランドサイトからコーディネート画像を収集後、トップス、ボトムスの2色、トップス、ボトムス、アウターの3色のコーディネートマップと配色マップを作成し、解析では、季節、年代、系統ごとにマスクがけを行いました。
調査、解析を通して、女性ファッションの配色分類には明度の組み合わせが大きく関わっていることがわかりました。2色では、季節による大きな差は見られませんでしたが、3色では、春夏ではアウターの明度の高いもの、秋冬ではアウターの明度の低いものが多く見られました。また、年代による大きな傾向は見られず、系統では、現代で使用されている代表的な配色を明らかにすることができました。
これらのことから、年代関わらず多様な配色に挑戦でき、コーディネートを組む際は明暗の組み合わせができると考えられます。
(2)人が集まるストリートの街並みについて ? そのコンセプトと特徴の関係性を探る ?
当初、コンクリートフ?ロックのハ?リエーションに関する心理的評価に関する研究を実施する計画でしたが、コンクリートブロックだけではなく様々な素材を用いた街並みと対象を拡げ、どのような特徴を持った街並みが、どのような人達に受け入れて貰いやすいかという視点で、研究を組立直しました。
私たちは、行きたくなるストリートをテーマに行ってみたくないストリートを行ってみたい場所に変えるため、街並みを構成する要素のマッチングについて研究し、卒業論文をまとめました。
実験1では行ってみたいストリート画像を5段階評価してもらい、評価グリット法を参考にして調査をしました。調査2では、街並みの要素や組み合わせをシミュレーションし、印象評価実験を行ないました。
2つの実験を通して、行ってみたいと思う場所の傾向は、「自然が多い」、「非日常的」、「気分転換ができる」という項目が当てはまる場所であることがわかりました。また、街並みと路面、植栽の組み合わせによる印象の変化は、植栽の変化よりも路面の変化が影響することがわかりました。
そのため、建物と路面の相性の良い悪いは少なくとも言え、その上で建物と路面の相性が悪いと植栽との関係性が出てくると考えます。
(3)カラー写真のモノクロ化による表現の変化とその心理効果
当初、コミュニケーションに必要な情報に関する研究を実施する予定でしたが、実際にZoomを用いて予備実験を実施した結果、実験条件のバリエーションを作成することが難しいことが分かったため、情報の出し方の観点からカラー画像と白黒画像という色の有無という情報の変化がどのような心理効果をもたらすかについて検討しました。
200枚を超えるカラー画像をAdobe Photoshopでモノクロ画像に変換して、好ましさなどの印象を評価してもらいました。その結果、中央の部分と周りのコントラストが大きい画像や、画面全体がモワモワしている画像など、モノクロ化したとき評価が高いものの特徴を見つけることができました。