神山 静香先生
グローバル化が進むビジネスの世界とビジネスのルールについて知ろう:ビジネスと法律は密接に結びついている
神山 静香(KOYAMA Shizuka)/ビジネス社会学科
中央大学大学院法学研究科民事法専攻博士課程後期課程修了
博士(法学)
Q1. 先生の研究分野は何ですか。その研究を始めたきっかけは何ですか
外資系コンサルティング会社での勤務経験を踏まえて、日本法との比較法学の観点から、アメリカ各州の会社法や連邦法である証券法を研究しています。コーポレートガバナンス、取締役の義務と責任、M&A法制、公開買付規制、証券訴訟など、会社法と資本市場法制が交錯する領域のテーマを研究しています。ビジネスの世界では、環境、社会的課題、ガバナンスに配慮した企業に投資を行うESG投資市場が拡大しています。最近では、企業の利益の追求と従業員や取引先の従業員の人権、環境問題など、企業を取り巻く様々な利害関係者の利益(公益)の保護をいかにして図り、両立するかという問題を法律学の観点から研究し、論文や学会で発表しています。
Q2. 先生が担当されている授業の中で、学科を決める1年生やゼミを決める2年生におススメの授業は何ですか
1年生で履修する「人間社会学総論」では、日本企業の課題や会社のしくみについて法律的視点から考えます。基幹科目の「商法概論」と展開?応用科目の「会社法」では、ビジネスに関するトピックを取り上げ、ビジネスパーソンに必須である国内外の商取引や証券取引、会社の組織?経営に関する基本的な法律の知識と法的思考力を修得します。
Q3. 先生のゼミはどのような活動をしていますか。どんな雰囲気ですか
国際ビジネスと法をテーマに、グローバル化が進むビジネスの世界で生じる様々な事例を取り上げ、ビジネスのしくみを理解し、会社や事業戦略を法律的観点から分析する力を養います。テキストの輪読や判例分析、アメリカの判例や実際の事件を題材とした映画やドキュメンタリーを視聴して、ディスカッションすることもあります。株式投資コンテストやソーシャルビジネスコンテストへの参加、東京証券取引所を訪問して株の投資体験、希望に応じて検定試験の受験準備などを行っています。和気あいあいとした雰囲気の中でお互いに良い刺激を受けつつ、切磋琢磨しながら研究に取り組んでいます。海外への関心も高く、毎年、1年間の長期留学をする方がいます。
Q4. 先生のゼミでは、どのような卒業論文のテーマがありますか
卒業論文のテーマの分野には、企業の社会的責任、M&A(企業の合併?買収)、取締役の義務と責任、ベンチャー企業の経営、新興国ビジネスと国際協力、企業不祥事とコンプライアンス、証券訴訟やインサイダー取引、過労死と取締役の責任などがあります。
Q5. 先生の大学時代の楽しかった思い出は何ですか
多くの人との出会いにより世界が広がり、国際的な問題にも目を向けるようになりました。それまで知らなかった問題について考えたり、議論することが新鮮で楽しく、このような経験を通じて、各国の歴史や文化などを踏まえて多面的に物事を見ることを学びました。議論をする中でアメリカの公民権運動に関心をもち、留学先のアメリカの大学でこの問題についても学びました。法律や制度は、その国の歴史や文化、価値観が基礎になっていると感じたことが現在の研究につながっています。
Q6. 受験生に人間社会学部に入学したら、どのような学生になってほしいですか
経験によって解決できない未知の問題にも対応できるように、従来の価値観に縛られない柔軟な発想力や冒険心をもって社会に出てほしいと思います。そのための知識を身につけ、感性を養い、経験を積むことのできる場所が人間社会学部だと思います。是非、貪欲に学んでほしいと思います。