高橋 美和先生
異文化探求を通して世界観を広げる
高橋 美和(TAKAHASHI Miwa)/人間社会学科
国際基督教大学教養学部卒業
筑波大学大学院歴史?人類学研究科単位取得満期退学、博士(文学)
2017年より現職
Q1. 先生の研究分野は何ですか。その研究を始めたきっかけは何ですか
文化人類学?東南アジア地域研究です。高校時代から、英語以外にも他の様々な外国語や外国の文化に幅広く興味がありました。大学学部時代に交換留学制度でアメリカのカリフォルニア州に1年間留学したのですが、様々なルーツをもつ学生、特に東南アジア出身の学生と親しくなったことがきっかけで、東南アジアの地域研究に取り組むことに。大学院に入ってから、タイに合計3年間滞在して少数民族や仏教についてフィールドワークをしました。1995年に内戦終結後のカンボジアを訪れ、復興期の人々の熱量に触れたことが転機となり、その後はカンボジアの仏教?ジェンダー?家族?ライフコース等の諸テーマについて研究を続けています。2022年度は本学の在外研修制度により、カンボジアに約1年間滞在して研究する機会を得ました。
Q2. 先生が担当されている授業の中で、学科を決める1年生やゼミを決める2年生におススメの授業は何ですか
私の分野の入門である「文化人類学」と、エスニシティや多文化共生に関する「多文化社会論」、フィールドワークの手法に関する「フィールドワーク論」(街を観察したり、インタビューを行ったりなどの校外での課題が含まれます)です。いずれも2年生科目ですが、特に「文化人類学」「多文化社会論」は前期科目ですので、ゼミ決めの前に履修するのがおススメです。
Q3. 先生のゼミはどのような活動をしていますか。
2023年度は、カンボジアでの文化交流研修旅行を再開しました。現地大学生と交流し、仏教寺院や農村部の小学校、一般家庭も訪問するなど、充実した研修旅行となりました。ただ、海外渡航費が高騰していますので、2024年度以降は、外国人比率が上昇中の首都圏内での異文化訪問?交流に切り替える予定です。その他、カンボジア?フェスティバルの見学や、日本語学校での交流などを、毎年のように行っています。
3年生は、民族誌(=フィールドワークに基づいた異文化研究の文献)の輪読を通して異文化探求や多文化共生の基礎的な知識を身に着け、自分の卒業研究のためのリサーチ?クエスチョンを明確にしていきます。4年生は国内で各自がフィールドワークを実施し、卒業研究を進めています。様々なことに興味のある多様な学生が毎年入ってくれます。
Q4. 先生のゼミでは、どのような卒業論文のテーマがありますか
全員、国内をフィールドとして異文化探求をします。高橋ゼミのキーワードは、①異文化探求、②多文化共生 です。国内の多文化化状況を反映して、②もしくは①+②のテーマで書く学生が徐々に増えています。
高橋ゼミでは「異文化」を広い意味でとらえています。自分にとって探求しがいのある日本文化に関するテーマが見つかれば、それを異文化研究ととらえています。いずれのテーマでも、現場に行って観察する、当事者?関係者にじっくり話を聞く、の2つをフィールドワークに含めることになっています。
①のテーマ例(毎年非常に多様です):新大久保コリアンタウンの多国籍化、在日女性ムスリムの宗教アイデンティティ、異教徒間国際結婚家庭における宗教実践、日本におけるヨガの受容、和菓子職人の技とライフストーリー、香道の世界、中高年男性の「ミリタリー」ファッション など
②のテーマ例:日本でムスリム外国人が「ハラール」に暮らす、介護現場で就労する外国人と日本語学修、地域における在留外国人支援 など
Q5. 先生の大学時代の楽しかった思い出は何ですか
寮生活です。大学4年間(日本3年?米国1年)と、タイ留学時の最初の1年間はずっと学生寮でルームメイトのいる生活でした。日本人以外の友人ができたのも、この寮生活があったからこそ。米国留学時、キャンパス内アルバイトでお金を貯め、帰国前にカナダ、ヨーロッパをバックパッカーとして旅行したことも良い思い出です。
Q6. 受験生に人間社会学部に入学したら、どのような学生になってほしいですか
自分にあらかじめ限界を作らないでいただきたいです。「私はもともと〇〇に向いていないから???」と考えずに、「〇〇に向いていないと思っていたけど、やってみたらできた!」に変えていってほしい。私たち教員がみなさんの試みをサポートしますから、「初めて」のことにどんどん挑戦してください。
Q7. 人間社会学部の新入生に一言お願いします
本学は首都圏の学生が数としては多いのですが、日本中から学生が集まっています。東京に初めて来た皆さんは、東京人に早くならなければ、渋谷の街に早く溶け込まねば????と焦ることもあるみたいですね。ですが、郷土愛を捨てず、ふるさとの暮らし?文化に誇りをもってください。東京も一つの地域です。地域の文化に優劣などありません。ちなみに私は越後人です。