心理学プロムナード
<指導教員>塚原 拓馬?作田 由衣子?中山 友則
<活動期間>2018年8月1日~2018年11月5日
<発表場所>常磐祭
「心理学とインターネットの連携の可能性を探る~認知?発達?社会~」をテーマに、様々な研究発表および企画展示を実施する。研究課題としては、トリックアートによる錯覚効果の発達的変化、自分で撮った自分の顔(自撮り)と他者が撮った自分の顔の印象の比較、SNSによる口コミ効果の研究などを予定している。展示の例としては、トリックアートパネルを作成して大判印刷し、展示を行う。来場者の方に、パネルを背景に自由に写真を撮っていただき、3次元情報が2次元情報に変換されことで生じる視覚的な変化を楽しんでいただくなどのデモンストレーションを行う。併せてSNS利用におけるトラブル事例や注意点についても心理学の観点から文献資料やデータをまとめ、注意喚起する。
News
2018年度
「心理学とインターネットの連携の可能性を探る~認知?発達?社会~」をテーマに、様々な研究発表および企画展示を行いました。
?企画1:研究紹介
①トリックアートによる錯覚効果の発達的変化(塚原ゼミ)、②SNSの自己公開と防犯意識(中山ゼミ)、③SNSへの自分の写真の掲載と自己顔?身体に対する意識との関連(作田ゼミ1)、④自撮りが自己顔認知に及ぼす影響(作田ゼミ2)の4課題をポスターにまとめました。①は、来場者の方に錯視パネルを見ていただき、年代ごとに錯視効果の有無を記録して展示しました。子どもと大人では、効果の有無が全く異なる結果となりました。
?企画2:ミニトリックアート展
トリックアートと錯視パネルを作成し、展示しました。来場者の方に自由にトリックアートの写真を撮っていただき、3次元情報が2次元情報に変換されることで生じる視覚的な変化を楽しんでいただきました。また、エビングハウス錯視の中央をくりぬいて顔出しパネルを作成し、顔が大きく見えたり小さく見えたりするという錯視効果を体験していただきました。錯視パネルについては、企画1と連動し、年代によって錯視効果の有無が異なるかを比較しました。
常磐祭の「心理学プロムナード」という企画展示の中で、生活文化学科の心理系の3つのゼミ(塚原ゼミ、作田ゼミ、中山ゼミ)が合同で「心理学とインターネットの連携の可能性を探る~認知?発達?社会~」をテーマに、心理学に関する様々な企画を実施しました。
●企画1:研究紹介
?研究①(塚原ゼミ):トリックアートを見た時の心理的反応(錯覚効果の大きさ)が大人と子どもで異なるかを検討しました。来場者の方に自由にトリックアートを見ていただき、錯覚が起こったか起こらなかったかをその場で回答してもらいました。その結果をリアルタイムで確認できるように、研究紹介ポスターと集計表を一緒に掲示しました。2日間での集計の結果、中学生以上の参加者の方のほとんどは錯覚が起こったのに対し、小学生以下の子どもはほぼ錯覚が起こらなかったという結果が得られました。視覚能力の発達により、3次元的なものの見え方が変化している可能性があると考えられます。
?研究②(作田ゼミ1):インスタグラム、ツイッターなどのSNS上で自分自身の写真を投稿することについて、顔のみの画像と全身画像のどちらを投稿するか検討しました。自分の顔が好きな人は顔を、体型が好きな人は全身画像をより多く投稿するだろうと予想しました。調査の結果、顔を多く載せる人は自分の体型を嫌っており、全身を多く載せる人は体型をやや好きであるという傾向が見られました。
?研究③(作田ゼミ2):自分で自分の顔写真を撮った場合と、他の人に撮ってもらった場合で、顔の印象は変わるのかについて検討しました。また、スマートフォンのインカメラで撮影した自撮り画像は自動的に反転されることが多いため、左右反転された画像とされていない画像での比較を行いました。その結果、反転された画像をより自分らしいと評価し、反転されていない画像を違和感がある?怖いと評価する傾向が見られました。普段から反転画像をよく見ていることによる慣れの効果が生じていると考えられます。
?研究④(中山ゼミ):SNS(ツイッターとインスタグラム)で自分の情報を公開することと、どれくらい防犯意識を持っているかについて実態を調査しました。その結果、SNSで自分自身の情報をよく発信する人ほど自分は安全だと考えており、自分の情報を発信しない人は自分は安全だと考えていないという傾向が見られました。ただ、今回の調査の回答者の中では、自分の情報をあまり積極的に発信しない人が多数でした。
●企画2:ミニトリックアート展
トリックアート画像を2種類と錯視パネルを1つ作成して展示を行いました。トリックアート1は地面に穴が開いているように見えるもの、2は階段のように見えるものです。来場者の方に自由にトリックアートの前で写真を撮っていただき、3次元情報が2次元情報に変換されることで生じる視覚的な変化を楽しんでいただきました。錯視パネルは、「エビングハウス錯視」を応用し、大きさの対比効果により、顔が小さく見えたり大きく見えたりするという顔出しパネルとして作成しました。錯覚効果の発達的変化を調べるため、その場で来場者の方にエビングハウス錯視を見ての感想を聞き、年代によって錯覚の生じ方が異なるかどうかを確認しました(研究①と連動)。