生活環境の魅力に関する研究(夜景?花束)
<指導教員>槙 究
<活動期間>2018年7月1日~2019年2月28日
<発表場所>常磐祭
生活の中に見られる魅力がどのような条件によってもたらされるのかを明らかにする。
具体的なテーマを2つ設定する。
一つは夜景の魅力である。函館や神戸など、夜景が有名なスポットは多いが、それがどうして魅力的なのかを明らかにした研究はない。実地調査やインターネット上の情報を基にシュミレーション画像を作成して評価してもらう実験を通じて得られる挙データを用いて、その魅力の構造を探る。
もう一つは、これまでの色彩調和論では類似色相に代表される共通性が必要との研究結果が得られている。しかし花束はさまざな色、大きさ、形の花の集まりでも魅力的なことがある。その魅力の構造に、花束画像の分類実験、評価実験などを通じて迫りたい。
News
2018年度
1. 夜景の魅力に関する研究
あらゆる夜景スポットがある中で、誰もが魅力的と感じる夜景の共通点はあるのか、魅力を感じる夜景の理由はあるのかを調査し、研究しました。
当初はネットで収集した画像を評価実験に使用する予定でしたが、どれも画像が加工されているものが多く、評価実験に使用すると評価に影響が出てしまうと考えました。そこで、私が実際に行ける東京都近郊の夜景スポットで撮影をして、その写真を専門家の方に依頼して実際に夜景を見たときと同じような状況になるよう加工してもらったものを評価実験に使用する事にしました。常磐祭では、今後実際に訪れる都内の夜景スポット、という形でパネルにまとめ、展示しました。
評価実験で出た結果を元にデータ化したグラフや図を参考にして考察をすると、光自体が明るく、周りに少し暗がりがある方が光を感じやすいためか、評価が高い傾向にありました。また、遊園地や商業施設などの暖色系の灯りも多くの人が好んでいる事が分かりました。しかし、魅力的だと思われている画像の平均的な理由はなく、色彩が豊かでカラフルな光で構成されている夜景を好む人と、光自体が細かく全体的にちりばめられているような夜景を好む人の、大きく分けて二つのパターンに好みが分かれることも分かりました。
卒業論文発表会でのスライド作成と発表の仕方も工夫しました。夜景の写真を映すため、暗いほうが見やすくなると考え、スライドの背景を黒地にして、教室の電気も消して暗い環境を作って発表しました。
2. 花束の魅力に関する研究
花束の特徴と印象の関連をテーマに、人が好む花束にはどのような特徴があるか、より好まれるにはどうしたら良いかを研究し、卒業論文としてまとめました。
常磐祭期間中には、実験1として事前に行った7名への印象評価実験の結果をパネルに作成し展示しました。実験途中の段階ということもあり、被験者の数も少なく明確な推察もできないものでしたが、途中段階で推察を行ったことは今後人数を増やしていくことで生まれる結果や変化する事象への予想?関心が高まりました。
2つの本実験を通して、花束に用いる花にはその色や種類によって、その印象が大きく変わることがわかりました。花束のメインとして用いることが好まれる色や、他の色の花と混ぜることで引き立つ色があり、花束の印象はそれらの組みあせによって左右されます。また、葉やかすみ草は花束により華やかな印象をもたせます。今回も実験では花の色や量、葉の有無などに焦点を当てて行いましたが、花束全体としての形状や使用される花のより細かな分析、包装紙が与える印象への影響は考慮せずに行いました。また、実際に花束を注文する際にはその時の季節における花や完成後の値段などが花束において重きを置かれる要素の一つでもあると思われるため、私たちはこれらの点を踏まえて花束へのより深い解釈を進め、実験結果からわかったことを生かして、花束を購入する機会がない人や、どういったものが好まれるのかわからない人に、簡単でわかりやすく、生花店の店員に作成してもらう際に相違が生じないような情報を提供できるようにしたいと思います。