2022年3月 文学部 美学美術史科 卒業
教員採用試験合格体験記
東京都の教員採用試験の一次試験は教職教養、専門教養、論作文の3つ、二次試験は集団討論、個人面接、実技試験(別日)の3つになっています。
まず、教職教養は、実践の授業で言えば教育原理、発達?学習理論、教育制度、教育課程論などの内容が当てはまります。専門教養は、教科に関する専門的な知識を問うもので、美術であれば技法や美術史などが出題されます。現代美術についての問題が多いように感じたので、重点的に取り組みました。論作文は与えられたテーマについて1000字程度で自分の考えをまとめます。今年度のテーマは「言語活動の充実を図り、言語能力の向上を目指す」ための学習指導、もしくは「生徒の自己肯定感を高める」ための生活指導についてでした。集団面接は「自主的?自発的な学習」について異なる学校の先生で講習会の最後にグループで発表するという設定で、具体的な方策を1~2個決めて、学年、内容、ねらいなどについて話し合うといった内容でした。テーマは一次試験の合格時に4つ通知され、そのうちの1つが出題されるので、事前に考える時間は十分にあると思います。個人面接は面接表について、単元指導計画について、場面指導の3つに分かれます。面接表と単元指導計画は事前に準備したものをその場で提出する形になるので、自分でポイントだなと思うところや面接官に聞いてほしいところを意識して書くとよいと思います。場面指導については生徒や保護者に寄り添う姿勢や、他の先生との連携を意識するとよいのではないでしょうか。実技試験は色鉛筆による静物画デッサンを150分で行います。今年のモチーフは紺の水玉の手ぬぐい、透明なプラカップ、紙風船、金属製のおたまでした。周りの受験者の方は美大出身の方が多いので、周りの人と比べずに自分のできることをやれるようにするとよいと思います。
私が本格的に対策を始めたのは大学4年生の4月からです。2月に実施される教採対策講座には出ていましたが、しっかり自分で勉強し始めたのは4月からでした。5月は、ほとんど教育実習で潰れてしまったので、実際に勉強できた期間は2ヶ月ちょっとでした。二次試験の対策を始めたのは一次試験の合否が出てからでした。学校で行われた教採二次対策講座や、他の大学の方との対策会はとても勉強になりました。実技の対策を始めたのは3年生の2月頃からです。2月の対策講座くらいからデッサンの練習を始めたと思います。直前までは大学で開催される対策講座でしか描いていませんでした。デッサンは身になるまで時間がかかるので、もっとたくさん描いておけばよかったと思っています。
やっていてよかったと思ったことは初対面の人と話す経験があったことです。部活などで初対面の大人の方と話す機会が多かったこともあり、面接に対する苦手意識が無くなるのが早かったように思います。また、普段から教育系のニュースに関心があったこともよかったと思います。わざわざ調べたりすることはしていませんでしたが、ニュースやTwitterなどで見かけたものに対してどう考えるか、自分ならどうするか、問題点は何かなどを考えることが多くありました。
後悔しているのは始めるのが遅かったことです。早くから始めていればもっと色々対策ができたと思います。特に実技は身になるのに時間がかかるので早くからやっておけばよかったと思います。また論作文対策をほとんどしなかったことです。本番まで1~2回しか書きませんでした。たまたま私にとって書きやすいテーマだったからよかったですが、もっと対策するべきでした。
「今からやっても遅いかも…」と私も去年、体験報告会を聞いた時に思いました。しかし今から始めても遅すぎることはないと思います。少しでも教員になろうと思う気持ちがあれば、少しずつでも今から勉強を始めるといいと思います。また、先生方は対策講座など様々な機会を用意してくれますし、困ったり悩んだりしたことがあれば相談に乗ってくれます。一人でやっていると思わず、誰かに話してみるなど周りの人を上手に頼りながら頑張ってください。