標葉 靖子 准教授 「ソーシャル?デザイン?プロジェクトB」
「ソーシャル?デザイン?プロジェクトBの概要」
本授業は、ソーシャル?デザインの考え方、手法?スキルを身につけ、自ら実践できるようになることを目指したプロジェクト学習(PBL, Project based learning)型授業です。履修学生は、現代社会を取り巻くさまざまな社会的イシューを出発点にしつつ、自分たちの身近な問題へと引き寄せた「ミニ?ソーシャル?デザイン」にチームで挑戦します。2020年度はコロナ禍で対面授業ができなかったことから、全編オンラインで実施しました。
(授業の詳細は、授業ウェブサイトをご覧ください。)
目指すは「課題発見力/課題設定力」と「協働力」の涵養
社会が抱える複雑で全貌の見えない課題の森を探り、課題を整理しながら自分たちでいかに問題を定義し、その解決をデザインするか——その課題設定力の涵養が本授業の大きな目標の一つです。そのため本授業を履修する学生は、与えられたお題に取り組むのではなく、自分たちのなかにある問題意識(「気になる」)を出発点にプロジェクトを開始します。
プロジェクトが進むごとに明らかになってくるさまざまな側面や状況の変化に、チームで柔軟に対応していかなければなりません。そうした一連のプロセスを通して、チームでものごとに取り組む協働力の涵養も目指しています。
オンラインでも学生が主体的?対話的に取り組むPBL授業はできる!
COVID-19感染拡大防止のための緊急事態宣言下で始まった2020年度の本授業では、やはり履修学生の「気になる」もCOVID-19関連のニュースに集中しました。そこで授業全体としては「長期化するCOVID-19 pandemic: 感染拡大防止と日常をどう両立する?」を共通テーマとして掲げつつ、全6チームの履修学生がそれぞれ自分たちで問題を定義し、その解決アイデアの提案を行いました。最終発表会には、 学生自身が設定したテーマに関連する企業の方にもゲストでお越しいただき、「実践家」視点でのとても有意義なコメント?講評をいただきました。
COVID-19 により急遽全編オンラインでの実施となった授業でしたが、 Zoom / Slack / miro といったオンラインツールを活用しながら、履修学生30名全員が最後まで活気あるプロジェクト活動を駆け抜けてくれました。「オンラインになっても、学生が主体的?対話的に取り組むPBL授業はできる! 」ということを学生さん自身がまさに示してくれた授業だったと思います。
ベスト?ティーチング賞を受賞して
2020年4月に着任したばかり、しかもコロナ禍により急遽全編オンラインへと切り替えた本授業で「ベスト?ティーチング賞」をいただけるとは想像もしていませんでした。当時(2020年度前期)は私たち教員も、授業を受ける学生もオンライン授業に慣れていなかったことから、学生が主体的?対話的に取り組めるような環境を整えることにかなり腐心しました。その結果として、本授業では、必要なインプットを行いチームごとに集まって課題に取り組んでもらう【オンデマンド】と、その成果を持ち寄って全員が集まり議論を深め次のステップに進む【Zoom双方向】とを交互に行う、いわゆる【反転授業】形式を採用しました。そうした工夫が、学生の「授業に主体的に参加している」という実感を生み、今回の評価に繋がったのではないかと考えています。
2021年11月現在、再び多くの授業が対面授業に戻っていますが、アフター?コロナの社会ではオンラインとオフラインの双方を往来できる協働力が求められるようになっていくと考えられます。今後は対面授業を軸としつつも、オンライン/オフラインそれぞれの良さをうまく取り入れながら、どのような環境下でも臨機応変に対応できるレジリエンスの涵養も視野に入れたPBLを展開していきたいと思います。