【JOIN! no.13】食生活科学科 管理栄養士専攻 ×立川献血ルーム「 栄養相談ボランティア」
パートナー:立川献血ルーム
担当教員:辛島順子准教授、森川希准教授
参加学生:新井風香、小林理佐、藤平葵、羽入田彩花
実施期間:2014年~
管理栄養士は、医療?福祉の現場では高度な専門知識を活かし、傷病者に対する栄養指導を担うことで知られています。今回は立川献血ルームとの連携?協力のもと、主にヘモグロビン値が低いため献血できなかった方に対する栄養相談を実践体験。学生のうちに健康志向の高い方と対面する機会は貴重であり、座学だけでは得られない、管理栄養士として仕事に向き合う姿勢も自然と培われていきました。
学びたい学生が自主的に学べる場として
本取り組みは、献血できなかった方の減少を目的とし、立川献血ルームとの連携協力契約を結んだことから始まりました。授業とは別の正課外での活動であるため、学びたい意欲のある学生を募りこれまで活動を続けてきました。栄養相談は必ず管理栄養士免許を持つ教員が同席しますが、教員の役割はあくまでも「学べる場」を提供すること。栄養相談は一般の方が対象であるため、誤った情報を提供することがないよう、また、学生が困った際に助け舟を出せるような距離感でサポートをしています。
「話を聴く」難しさ
管理栄養士として「話を聴く」ことは、日常会話で話を聞くこととは少し異なります。栄養摂取や生活全般の内容や傾向を正しく把握するのはもちろんですが、相談者が話しやすい空気感を醸し出したり、相談者の本音を察することも必要です。管理栄養士の経験が浅いと、知識を伝えることや「指導しなくては」というモードに終始してしまいがちですが、相談者のすべてが指導を望んでいるとは限りません。特に、立川献血ルームでの相談者は、健康に人一倍気をつけている方も多く、そうした方々が求めているのは自身が心がけている生活スタイルが正しいという「確認」や「安心」であることが多いのです。学生も相談者の方との対面を通し、相談者の本音に寄り添って「話を聴く」ことへの理解を深めます。
より身近なロールモデルとして
栄養相談ボランティアへの参加者は2年生?4年生。学年間の垣根を超えた活動は、取組初年度から変わらず継続しています。そして、知識?経験が異なる学年間の交流は、相乗効果も生みだしています。栄養相談は上級生と下級生または経験者と未経験者でチームを組むため、経験者が未経験者を教える仕組みも自然にでき上がりました。また、「初めて栄養相談を担当した2年生が一言も発することが出来ず上級生の姿から学び、憧れる」「上級生のこれまでの経験を聞き、自分たちと同じように、誰もが初回はつまずくことを知り安心する」「数年後の自分の姿を今の上級生と重ね合わせ、目標にする」といった様子も見られました。感覚的なものは、授業やテキストでなく、体験をベースにした先輩達との何気ない会話の中で体得していくのでしょう。本連携の中で、4年生は身近なロールモデルになっており、学年間の交流は下級生の感覚を成長させる重要な役割を果たしています。
体験から発信へ
本連携に参加した学生は意欲的で新しいことを吸収する力を持っていますが、栄養相談の体験を通してより一層、管理栄養士という職業に誇りを感じたり、後輩に頼られる喜びが自信に繋がっているようです。その結果、自発的に常磐祭(実践女子大学学園祭)で栄養相談コーナーを設けたり、パネルを作成したりといった行動も見られました。パネルは、オープンキャンパスで訪れた高校生にも好評で、「大学で学ぶ専門性の高さ、レベルの高さを感じた」といった声もありました。
常磐祭でのパネル展示の様子。学生が献血キャラクターの「けんけつちゃん」に
扮し 献血事業の紹介も行いました。
地域を支え、支えられる
本連携では、大学として専門的アドバイスの提供を目標にしていますが、地域の皆様に、学生が育てられ恩恵を受けている面もあると思っています。管理栄養士としての姿勢や責任の重さを自覚し、どのような管理栄養士となりたいかを考える学生も多いでしょう。また、世代の異なる方々とのコミュニケーションを図る場が得られることも、良い経験となっています。栄養相談においては、健康上の悩みだけでなく、話を聴いてほしい方、ご自身の習慣が正しいことの裏付けを得たい方、生活のリズムを保ちたい方等、多種多様のご要望にもお応えできているのではないでしょうか。大学が地域に専門知識を提供し、地域が学生を「人」として育てる、そんな恵まれた環境が実践女子大学と地域の間で脈々と受け継がれ、今日に至っています。このつながりを大切に、本連携の発展や新たな取り組みにも挑戦していきたいと思います。
参加学生Interview
相談は「最初はやわらげること」がコツだと感じました。将来は、相談者だけでなくその家族とのコミュニケーションも必要になるので、栄養相談で様々な世代の方とお話できたことは良い経験になりました。(新井さん)
健康に自信のある方がほとんどだったので、問題点を探すのではなく、生活背景をよく聴くようにしました。皆さん健康に関する情報に敏感で知識もあるので、正しい回答をするためにも、自分ももっと情報に貪欲にならなくてはと思いました。(小林さん)
私たちが当たり前に思っていることでも、一般の方には知らないことや理解しにくいことがたくさんあります。相手が何をわからないと思っているのかを察すること、わかりやすく伝えることの難しさを痛感しました。(藤平さん)
常磐祭の栄養相談コーナーでは、皆さんが私たちを本当に信頼してくださり、さらに責任を感じました。情報は更新されるものも多いので、常に学び続けなくてはと思っています。(羽入田さん)
<本件に関する問い合わせ先>
実践女子大学研究推進機構研究推進室
TEL:042-585-8821