生理人類学研究室
<指導教員>山崎 和彦
<発表日時>2020年10月24日
<発表場所>日本生理人類学会81回大会
軽装でのヒトの安静時代謝量は、気温 28℃相対湿度50 %において最低レベルとなり、気温を次第に下降させると、やがて代謝量は上昇を開始する。そのポイントを「下臨界気温」と称し、およそ 26 ℃であると言われている。研究グループ内において、体格の違いが下臨界気温に影響するという仮説を検証するために実験を行っているが、奇妙なことに、全被験者(助手を加えた4 名)において、気温 24℃でも 22℃でも代謝量に上昇が認められない。よって被験者の多様化、および、実験方法の再構築をもって追究したい。そのため、被験者数、気温の変化幅、暴露時間などの各種条件を組み合わせて解明に取り組む。
NEWS
2020年度
下臨界気温の個人差に関する基礎的研究のため、今年度被験者人数:9月は8名、10月は5名で実験を行った。
実験内容は異なる寒冷環境18~22℃下に暴露して皮膚温および代謝量を測定し、代謝量が変化する様子、あるいは「皮膚温における下臨界気温」、「温冷感における下臨界気温」といった観点から検討をした。
被験者を気温18~22℃下に暴露することにより、皮膚温および温冷感は低下した。しかし代謝量は不変ないし下降を示し、やがて感覚的あるいは心理的限界に達し、測定を終了するケースが多く生じた。気温12~15℃に至り、暴露後半に代謝量が増大する様子が認められるようになった。
被験者各人の耐寒性を評価したいとき、代謝量に基づく下臨界気温は確固たる指標となり得る。