生活環境デザインをサポートするデータの収集
<指導教員>槙 究
<発表日時>2021年2月12日および2021年2月25日~3月22日
<発表場所>口頭発表、展示
実態調査や評定実験を通じて、生活環境デザインをサポートするデータを収集する。
具体的なテーマを3つ設定する。
(1)実用的なカラーパレットに関する研究
文書作成、表計算、プレゼンテーションなどのソフトの色を指定するカラーパレットをどのように作ったら、きれいで見やすい資料が作成できるかを探る。
(2)住宅街の夜景における玄関の役割に関する研究
夜間の住宅街で照らされている玄関は、街路の雰囲気に及ぼす影響が大きいと感じた。どんな玄関と照明を組み合わせるといいのかを明らかにする。併せて、昼間の玄関と評価を比較する。
(3)色彩の目立ちに関する研究
2色の文字と1色の背景という3色で構成されるサンプルの視認性についてのデータを収集することで、看板やカレンダーソフトなどの多色で構成されるデザインの視認性を明らかにするためのベースとなる情報を明らかにする。
News
2020年度
実態調査や評定実験を通じて、生活環境のデザインをサポートする知見を収集し、4つのテーマに分けて結果をまとめ発表を行った。
①より良いスライドを作成できるカラーパレットの提案
私たちは、プレゼン資料を作成する際に使用するカラーパレットについて、改善の余地があると考え、より良いスライドを作成できるカラーパレットの提案をテーマに研究をしました。
実験1でスライドの評価実験をしてもらい、実験2で実際に作ったカラーパレットを使用してもらい、実験3で作ったスライドの評価実験を行いました。
3つの実験を通して、女子大学生が見やすいか好まれるスライドには、淡い色が中心としていることがわかりました。そのため、深みがかった濃い色も必要ですが、淡い色を多くとり入れたカラーパレットを提案しました。しかし、これらの色のみ使用しても、良いスライドを作成できるかには個人差が多少出ることもわかりました。そのため、カラーパレットのインストラクションも必要という結果になりました。
2月25日から3月22日にかけて、これまでの研究をまとめた論文を本館430教室にて展示し、1人でも多くの方に読んでいただき、より良いスライドを作成できるカラーパレットについて関心を持っていただけたらと思います。
②昼夜の評価から考える住宅玄関の在り方
私たちは、昼夜の住宅玄関の在り方をテーマに、第三者から見た好印象な玄関の在り方を考える為、より好印象な住宅玄関にするにはどうしたら良いのかを研究し、卒業論文をまとめました。
実験1、2で玄関の画像を見てもらい、好ましさの5段階評価とその理由、さらにどのように評価に影響しているのかを実験しました。
2つの実験を通して、全体を見ると昼の評価が高い玄関は、夜の評価も高いことわかりました。昼間の評価は、トーン?オン?トーンの2色配色だと好印象だということが分かりました。夜の評価は、玄関灯?門灯が複数付いているものや、小窓やドアから灯が漏れているものが、玄関を中心とした壁面が明るい印象を与えており、評価が高いことがわかりました。
これらのことから、昼間の壁面はトーン?オン?トーン配色に。夜は、玄関の壁面や塀を玄関灯?門灯さらに街灯が満遍なく照らし、玄関ポーチの天井面に小窓やドアから灯りが漏れるようにすることで、好印象と感じる玄関になると考えました。
発表?展示を通して、住宅玄関の在り方への関心を持っていただけたらと思います。
③少数の色で構成された画面上での色の目立ち
?その2 構成要素の数とレイアウトを変化させて?
私は画面上で背景や文字色をどのような配色にしたら目立ちやすくなるのか疑問を持ち、少数の色で構成された画面上での色の目立ちをテーマに研究をし、卒業論文をまとめました。
実験1、2で画面上に呈示した文字の発見課題の実験を行い、その発見時間をデータとして収集しました。
2つの実験を通して、構成要素の個数が少ない場合、色による優位性に違いがないと言える結果になりましたが、構成要素が増加すると色の優位性が見られる結果になりました。文字の視認性には背景色との明度差や、発見対象文字色と組み合わせ色の明度差が影響しており、また、従来の視認性だけではなく、誘目性も発見時間の変化に影響を与えているのではないかという結果になりました。
④光環境の変化に伴う建物の見えと印象の変化
私たちは、建物の見えと印象が、時間帯や気候、方角によりどの様に変化するのか知りたいと考えました。そのために、ガラスやコンクリートなどの様々な種類の壁面をもつ建物を撮影し、その画像を用いて印象評価実験を行い、研究しました。
原宿、表参道、新宿、池袋に撮影に行き、最終的に15個の建物を撮影出来ました。
結果として、建物の見えと印象は方角や太陽の向き、時間帯だけに左右されるのではなく、周辺の建物環境の影響(例えば、隣に白い建物がある、建物の反対側に建物がある等)によるものが大きいことが分かりました。