女性と英語圏文学(志渡岡理恵先生)
※2023年度までのカリキュラムに基づく内容です
授業のテーマ
17世紀から20世紀までのイギリスと旧植民地の女性作家をとりあげ、その生涯と代表作をさまざまな視点から評価していきます。授業の目標は、多彩な女性作家たちの活動と作品は当時のどのような社会的事象に対する反応なのかを理解し、現代の視点からその意義を再評価できるようになることです。
授業の内容
講義でとりあげるのは、ジェイン?オースティンやアガサ?クリスティのような有名作家ばかりではありません。19世紀末にひとりで日本を訪れて旅行記を遺したイザベラ?バードや、20世紀初頭に女子パブリック?スクールを舞台に学校小説を書いたアンジェラ?ブラジルのような、日本ではあまり知られていない作家にも注目します。恐怖小説の元祖とも言われる18世紀末の小説家アン?ラドクリフの回では、彼女の作品がクロード?ロランやサルヴァトール?ローザの風景画、サブライムやピクチャレスクといった美学の概念に大きな影響を受けていることを確認し、その後に続く『フランケンシュタイン』などの多様な恐怖小説の系譜をたどります。フランシス?バーネットの回では、『小公子』の大ヒットが子供服の流行を生んだ経緯を解説し、さらに『小公女セーラ』や『秘密の花園』の主人公がインド生まれである理由を探って、イギリスの植民地支配の問題を考えます。
教員からのメッセージ
異国の女性たちの生の軌跡と遺した言葉は、わたしたちに世界の広さと多様性を、その中で生き抜く勇気と術を教えてくれます。それぞれのスタイルで道を切り拓いていった女性作家たちをガイドに、未知の世界を一緒に旅しましょう。