音のない夜
こんにちは! 国文学科2年のらむねいろです。
最近は、アニメ『葬送のフリーレン』を観るのが日々の楽しみです。今回もよろしくお願いします。
春休みに入ってからというもの、就寝時間が遅くなり、生活リズムの乱れを実感しています。
元々、生活面がルーズな方なので、授業や課題などのタスクがない状態も相まって、規則的とは程遠い生活を送っています。「明日は予定がないからもう少しだけ……」と考えて、ゲームや絵を描く手を止められずついつい夜更かししては、翌日の昼頃に起きて損した気持ちになる、というのを繰り返しています。
大学生になってから、サークルやら何やらで帰りが遅くなり、夜型寄りの生活に慣れてしまいました。
高校以前の私はどうやって朝早く起きて学校に行っていたんでしょうか。
ところで、皆さんは「可惜夜」という言葉をご存じでしょうか。
「可惜夜(あたらよ)」とは、「明けてしまうのが惜しいほど、素晴らしい夜」のことを指している言葉で、『万葉集』や『後撰和歌集』に掲載されている和歌の中にも登場します。
高校生の時、動画サイトで見つけた曲の歌詞で知った、私の好きな言葉の一つです。
「可惜夜を食い潰している」フレーズが何となく頭に残り、自分としては珍しく、語意を自分で調べたのを覚えています。ダウナーな雰囲気と、退廃的な歌詞が印象的な曲でした。
この当時も、ちょうど今と同じような長期休み中で、遅くまで起きる日が多くなった頃でした。
家族が寝静まり、物音ひとつしない深夜のこと。自分が立てている音だけが響いている状況に、世界から切り離されたような感覚を覚えました。趣味のライブ配信を小さな音で流したり、買ったばかりのヘッドフォンで曲を聴いたりしていて、夜半を過ごしていました。
起きる理由も目的も無く、早く寝た方がいいのは分かっている、ただ眠らないだけの時間。
眠らないことによる焦燥に苛まれつつ、何となく眠りたくない気持ちのままに過ごすあの瞬間、私は得も言われぬ高揚感に包まれていたように感じます。
街の明かりが光るベランダに出て、涼やかの夜風を浴びるのも気持ちが良かったです。
音のない世界に、自分の好きな音だけが響く、無為で無意味な数時間。
あの夜はきっと、私にとっての可惜夜だったのかもしれません。
皆さんは、明けてほしくないと願うような夜を過ごしたことはありますか?
(ペンネーム:らむねいろ)