<OG訪問>輝く卒業生を訪ねる
冊子づくりに打ち込んだ学生時代
役立つ情報を届けて、読者の可能性を広げたい
大学新聞社は、進学先や将来の就職を考えるのに役立つ情報を高校生に提供する『大學新聞』や『進路新聞」などの情報誌を発行しています。
今回は、この会社で記者として活躍する片山愛子さんを、短期大学部日本語コミュニケーション学科で学び、学科内雑誌『YUSRACCO.』の編集部員も務める二人の学生が訪ねました。
取材?執筆から写真撮影、レイアウトづくりまで幅広く担当
今井 今回、お話を伺うことを楽しみにしていました。現在はどのようなお仕事担当されているのですか?
片山 『大學新聞』や『進路新聞』などの製作に携わり、取材や原稿執筆のほか、記事レイアウトの考案や写真撮影も担当しています。
小瀬村 オールマイティに活躍されているんですね!どんな時に仕事のやりがいを感じられますか?
片山 取材でいろいろな方にお話を伺う時です。『進路新聞』ではさまざまな職業を取り上げるため、それまであまり関わりのなかった仕事をされる方にお会いすることもあります。こうした経験から、自分の視野も広がったと感じます。
今井 私も『YUSRACCO.』の製作で取材をすることがありますが、うまく話を広げられない点が悩みです。片山さんは、どのようにして相手から話を引き出しているのですか?
片山 「こういう話を聞かなければ」と思うと緊張してしまうので、リラックスして臨むようにしています。ふとした雑談から話がふくらむこともあるんですよ。ただ、日頃から世の中の動きにアンテナを張って、自分の引出しに幅広く話題をストックしておくことの大切さも感じています。主要な新聞に目を通したり、文部科学省や厚生労働省のホームページを折々チェックするようにしています。
製作に力を入れた学生時代 校正業務のスキルも体得
小瀬村 在学中、どのようなことに力を人れていましたか?
片山 『YUSRACCO.』の編集には参加していませんでしたが、製作に関わる授業はがんばっていました。印象に残っているのは高瀬真理子先生に指導していただいた卒業研究。グループで取り組む課題で吉祥寺をテーマにした冊子をつくるため、仲間と街のお店を取材したこともありました。現在の仕事にも通じる経験だったと思います。一人で行う課題では、子ども向けの絵本をつくりました。
今井 私たちも高瀬先生の指導を受けました。出された課題は「小説を書く」こと。なかなか思うように書けず、とても苦労しました。片山さんはどのように課題に取り組んでいたのですか?
片山 創作をしていると苦しさを感じる時がありますよね。悩み始めると先に進めなくなるので、私は友達や先生に相談したりアドバイスを受けたりして、少しずつでも形にするように努めました。
今井 学科での学びや経験で、どんなことが仕事に役立っていますか?
片山 校正の授業で身につけた校正記号※1の知識や、照合※2、素読み校正※3のスキルです。同期の仲間には校正を学んだ経験のない人もおり、仕事をする上でアドバンテージになったと感じています。
小瀬村 私は校正実務を学べる点にも魅力を感じてこの学科に進学しました。校正の仕事をする上で、在学中に心がけた方が良いとお考えになることがあったら教えてください。
片山 現在の仕事では、素読み校正の機会が多いです。原稿を読みながら、言い回しがおかしくないか、書かれている内容に誤りがないかなどを見ていきます。ですから文法や敬語などの知識や、「事実として正確か」を確認する姿勢を身につけておくといいといます。いろいろな文章を読んで、言葉をたくさん知っておいてほしいですね。
※1 原稿の表記や事実確認を行い誤りを正す校正作業において、指示内容を簡略に表す記号のこと。
※2 原資料と原稿内容が合っているか、照らし合わせて確認すること。
※3 原資料などとの照らし合わせが終わった後で原稿を読み返し、文意が通じるか、誤植が残っていないかなどを確認する作業のこと。
今後は自身の手で、母校の魅力を紹介したい
今井 就職活動はどのように進められたのですか?
片山 出版系の企業では、エントリーシートとともに企画案の提出を求められることも多かったです。普段から「どんなアイディアが読者に喜ばれるだろう」と考えてメモを取っていました。それから、なぜ自分がこの仕事をしたいのかを自分の言葉で説明できるように心がけていました。私は製作や編集の仕事を志望していたけれど、同時に、仕事を通じて誰かの役に立つこともしたかった。「進路選択に役立つ情報を高校生に提供する」という方向性があるこの会社では自分の志向をアピールしやすかったし、またそれが採用につながったのではないかと思います。
小瀬村 就職活動の中で、学校の環境をどのように活用されましたか?
片山 キャリアセンターには毎日通い、求人票を見たり、キャリアアドバイザーに活動状況を話して具体的なアドバイスをいただいたりしていました。出版や編集に関わる企業は都心にオフィスがあるところが多いので、各企業へのアクセスがよい渋谷キャンパスの立地にも助けられました。
今井 今後の抱負をお聞かせください。
片山 『大學新聞』で何度か実践女子大学を取り上げているのですが、私自身はまだ関わったことがないんです。学生一人ひとりを見てその適性を伸ばす教育を行うことや、学びの環境づくりに力を入れている点など、実践には多くの特長があることを体験上よく理解しているので、いずれは自分の手でこの大学の魅力を発信して多くの人に知っていただきたいですね。また、教育の現場に足を運んでいて、経済的な理由で大学進学を諦める生徒がまだまだいることを実感し胸が痛くなります。奨学金の利用法をわかりやすく紹介するなど、情報の面から読者の可能性を広げることに少しでも貢献したいと考えています。
小瀬村 私たち後輩にメッセージをお願いします。
片山 「やってみたい!」と思うことがあるなら、ぜひ積極的に挑戦してほしいですね。いろいろな経験をすることが、自らの可能性を豊かにしてくれます。失敗からだってたくさんのことを学べますから、怖がらないでほしいです。もし悩むことがあるなら、先生に相談してみてください。実践の先生方は学生をよく見ているので、課題解決につながるヒントが、その言葉からきっとつかめると思います。
インタビューを終えて
「狭き門」と言われる出版?編集分野で、学科の先輩が活躍されている様子に力づけられました。職場を拝見して、女性が多いことにも驚かされました。この会社は出産?育児休暇など女性が長く仕事をするための制度が充実していて、それを活用される社員も多いとのこと。いろいろな意味で刺激を受けた1日になりました。
ゆすらっこ YUSRACCO.
『YUSRACCO.』は、2005年に日本語コミュニケーション学科出版編集コースにできた「出版編集コース編集部」が発行する雑誌です。発行は年数回。有志の学生が取材や写真撮影、記事執筆、レイアウトなど製作作業を一貫して行い、つくり上げています。
内容はキャンパスにあるさまざまな施設の活用法や渋谷周辺地域のタウン情報、出版編集分野に関わるイベントのお知らせなど。学生の、自由でのびのびとした視点でキャッチされた、多彩な情報が盛り込まれています。この雑誌はキャンパス内の各所に置かれ、自由にお持ちいただけます。ぜひ手に取って、編集部員が案内するキャンパスや渋谷の情報をお楽しみください。
※学生の学年表記は2016年度のものです。