授業紹介 栄養疫学実習(管理栄養士専攻)
食生活科学科教員N.M
管理栄養専攻3年次必修科目「栄養疫学実習」についてご紹介します。
栄養疫学は、人間を対象とし、栄養と健康状態や病気との関連を明らかにして、対策に役立てようとする研究分野です。
身近な例として、例えば「もっと野菜を食べましょう」といったアドバイスは、多くの方が耳にしたことがあると思います。
国の健康づくり施策である『健康日本21』(2024年度から第三次)でも、野菜摂取量の目標値(1日350g)が掲げられています。
その理由は何でしょうか。
「健康によいから」?
では、「健康によい」とは、具体的にどのような意味でしょうか。どれくらいの量の野菜を食べれば、その効果が期待できるのでしょうか。
栄養の専門家である管理栄養士は、その根拠がどのようなものかを知り、状況に応じて説明できることが求められます。
栄養疫学実習は、科学的根拠に基づく栄養学(Evidence-based Nutrition)を実践するための知識とスキルを身に付けることを目的とした授業です。
3コマ続きの授業は、毎回次のような二本立てです。
1.表計算ソフトや統計ソフトを使ったデータ処理の演習
死亡率、罹患率といった病気に関する指標の計算方法や、栄養調査データの取り扱いなどを学びます。
初めは簡単な仮想データを使って、手順を確認します。その後、サイズの大きい研究データを分析対象にしていきます。
統計学的推論の手順、結果の解釈の仕方も学んでいきます。
最後はコホート研究データを使った多変量解析にも挑戦します。
2.科学的根拠に基づく栄養疫学媒体の作成
自分が興味を持つ栄養のトピックについて、どのような研究が行われているのかを調査します。
専用のデータベースで論文検索を行いますが、最初は適切なキーワードを設定するにも一苦労です。
目的に合う論文をみつけたら、著者名等の情報を控え、内容を読み解きます。英語の論文にチャレンジする学生もいます。
最終的には、研究データの紹介を含む栄養指導媒体(リーフレット)を作成します。
クラス全員の媒体をオンラインで共有し、相互評価します。
学生間で評価の高かった作品です。いずれも、専門的な研究論文をわかりやすく紹介する工夫がなされていました。
4年次の卒業論文の作成や、管理栄養士業務の現場でも役立ててほしいと思います。