授業紹介 公衆衛生学a(管理栄養士専攻) 他職種の視点から学ぶ
食生活科学科教員K.S
現代社会では多くの健康課題があり、その原因も様々です。このため、一つの専門職だけでは解決できない健康課題が増えています。そこで、保健や医療の現場では、複数の分野の専門職による連携が必要になっています。このような社会のニーズに合わせて、本学の多くの授業では、多職種連携を視野に入れた「実践力」を高める教育を、実務経験がある教員が行っています。
管理栄養士を目指す学生が学ぶ分野の一つに、公衆衛生学があります。この分野では、地域社会の努力によって、病気の予防、健康や生活の質を高めることを目指します。そして、保健所などで活躍する管理栄養士にも、医師、歯科医師、保健師、歯科衛生士などの他職種との連携が求められます。
そこで、本学では、栄養学と予防医学、臨床医学の視点から公衆衛生学を考える授業を行っています。さらに、7月上旬には、歯科保健の視点を加えるために、鶴見大学から歯科医師の船山ひろみ先生を特別講師としてお招きして、管理栄養士が身につけるべき知識を教えていただきました。この特別授業は昨年度も実施し、国家試験に受けるためだけでない「実践力」を身につける機会として好評でしたので、今年度も企画した授業です。
管理栄養士が専門として担う「食べること」は、健康な人であれば口を使い、食物を噛んで(咀嚼)飲み込みます(嚥下)。このような機能は子どもの頃に発達しますが、その発達の進み方には個人差があります。教科書では、「生後何か月の子どもの離乳食では…」という解説があります。しかし、子どもの食生活を適切に支援するためには、対象になる子どもの月齢だけでなく「食べること」の発達を正しく評価する必要があります。
「むし歯にならないように、甘いお菓子ばかり食べないで」と保護者に伝えるだけなら、誰にでもできます。管理栄養士を目指す皆さんなら、食の専門職として「何故、むし歯になるのか」「どうすれば予防できるのか」という基本事項は、伝えられるようになりたいと思いませんか。間食のアドバイスを保護者にしていたときに、「何故?」と聞かれたら「歯科衛生士さんに聞いて下さい」と答える管理栄養士と、基本的なことは保護者に答えて安心してもらってから、ブラッシングなどの専門技術の指導を歯科衛生士さんに頼む管理栄養士の、どちらが信頼されやすいでしょうか。
この特別講義は、教科書では分からない知識を学ぶ授業でした。
管理栄養士になるためには、国家試験に合格する必要があります。
しかし、管理栄養士を目指す本来の目的は、試験に合格することではなく管理栄養士として社会で活躍することではないでしょうか。本学では、そのような「実践力」を身につける機会を用意しています。
このブログを読んでいる受験生の皆さんは本来の目的は、入試に合格することではなく、大学で勉強すること、そして、管理栄養士として社会で活躍することだと思います。受験勉強で心が疲れたときは、将来の自分の姿を思い描いてみると良いでしょう。