食品学実験b~抗酸化活性の測定~
食品学実験b~抗酸化活性の測定~
食生活科学科助手E.N
新年を迎え、後期授業も終わりに近づいてきました。
今回は、管理栄養士専攻2年生の選択科目「食品学実験b」についてご紹介します。
今期最後の授業となったこの日は、抗酸化活性の測定が行われました。
私たちの体は、酸素を利用してエネルギーを作り出すと同時に、活性酸素も体内に作り出します。活性酸素は、ガン、老化、糖尿病や動脈硬化など生活習慣病の原因といわれており、この活性酸素を作らせない、あるいは無毒化する、また活性酸素によって傷ついた細胞を修復する働きを持つのが抗酸化物質です。
具体的にはビタミン類のビタミンA(豚肉や卵)、ビタミンC(イチゴやピーマン)、ビタミンE(ナッツ類やウナギ)があります。また、野菜や果物の色素や香りの成分であるポリフェノールやカロテノイドも抗酸化物質として挙げられます。ポリフェノールには、大豆に含まれるイソフラボンやゴマに含まれるセサミン、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンなど様々な種類がありますが、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
抗酸化物質を加えると紫色の試薬「DPPH(2.2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル)」が白色の物質へと変化する性質を活かし、食品の抗酸化活性の高さを調べます。
一人ひとり実験で使用している食品が異なるため、各自で濃度計算を行います。
試料を分けるなど実験の準備を黙々と行っていました。
調製を行った試料です。見た目でも、それぞれ色の違いがある事が分かります。
紫色がうすくなって、黄色っぽくなっているのが抗酸化活性の高い試料です。
調製した試料は分光光度計を使って、抗酸化力を正確に数値で出していきます。
実際の測定結果から、酸化活性の高い食品が分かりました。これらの結果をもとに、学生自身で考察をしていきます。
食品に含まれるどんな成分が抗酸化活性を高めているのか、反対に抗酸化活性が低い理由は何なのか。
最後はこれらの考察を実験レポートにまとめていきます。
受講生にこの実験についてコメントをいただきましたので、抜粋してご紹介いたします。
?私は将来、食品開発の仕事に携わりたいと考え、この実験科目を受講しました。
実際に食品をサンプルとして扱うため、食品成分について身近に感じられ、興味深かったです。抗酸化活性など一度は耳にしたことがある内容であり、先生の説明も丁寧でより理解が深まりました。
?身近にある食品を使用した実験でとても楽しかったです。他の食品や食品成分についても学びたいと思いました。
?他の授業では行っていない実験ができて、食品に対しての考え方や見方が変わる内容でした。
?この授業を受けて、今まで扱ったことのない機械を扱い、全ての作業を自分の手でできたことが良かったです。また、卒業研究の参考にもなりました。内容が面白そうという理由でとりましたが、受講して良かったです。
この実験は、食品成分に触れる事を目的として行われました。
実際に実験をすることで理解を深め、結果をもとに考察をするということはとても楽しく、貴重な経験だと思います。そのような有意義な時間を、学生にはたくさん過ごして欲しいと思っています。