<OG訪問>輝く卒業生を訪ねる
「女性が活躍する環境」は自ら切り拓く
なりたい自分と女性目線のアイデアで、業界に変革を
松沢さんの所属する国際自動車は、マタニティー?マイタクシーや東京発日帰り富士?箱根周遊タクシーなど特徴的なサービスで注目されている企業です。
今回のOG訪問では、女性の活躍やキャリアビジョンをテーマに、現在の職場環境や女性登用の考え方について語ってもらいました。
会社説明会に参加したのは他社の内定をもらった後でした
松沢 どうして女性タクシードライバーになったのか、よく聞かれます。元々は他社から内定をもらっていて、そこに就職するつもりでしたが、就職活動をやめてしまうのももったいないと思い、いろいろな会社を見てみようという興味本位で国際自動車を見つけたのがきっかけです。
会社説明会に行き、タクシードライバーという現場を経験した女性管理職を育てようとしていることを知りました。幾つかもらっていた内定はサポート的な事務職でしたが、国際自動車なら管理職に就けるかもしれないという点が魅力的でした。さらに、新卒を大切にする社風も伝わってきて、結局、他社をやめて国際自動車に就職を決めました。
もちろん、タクシードライバーになるという点では不安だらけでしたが、同期入社の女性ドライバーや周りの皆さんのサポートですぐに安心に変わりました。やっぱり単純に馴れですね。今では、女性ドライバーということでお客様から「よかった」「安心できる」「運転がやさしい」等と褒めてもらえるので、この仕事に就いてよかったな、と思っています。
初めての男性ばかりの環境で、驚くこともありました。女性用トイレが少なかったり、喫煙スペースが多かったり。実践では考えられないですよね。でも、職場の皆さんは、すぐにフレンドリーに接してくれるようになりました。本当にこまめに声をかけてもらっています。
鴇田 女性の管理職ってどうですか?大変そうですか?
松沢 そうですね、見ていると大変そうです。私のいる営業所の女性唯一の管理職の方は、今「班長」という立場ですが、男性と同じように当直もあります。
吉田 自由にはできないのですか?
松沢 おそらく、シフトについては周りの男性と話し合った結果、今の状態なのだと思います。私が班長になったら、もっと違うシフトを提案したり、女性だけの営業所を作ったり、いろいろ提案してみたいです。男性ばかりの職場だからこそ、女性の目線で大きく変われるわけですから。めざせ、業界変革!と思っています。
社会に提案 女性を活かすアイデアとは
松沢 女性ドライバーを活かした企業としての工夫は特徴的かもしれません。例えば、「リラクシー」と呼んでいる女性ドライバーがホスピタリティに特化したサービスを提供しています。
担当の女性ドライバーは、介護職員初任者研修や救命講習を修了していて、子供の送迎や病院送迎サポートなどを承っています。大学でも、そうした女性のキャリアや活躍についての授業が増えているんじゃないですか?
鴇田 私たちはオリンピック?パラリンピック連携講座の授業を履修しました。その中で、オリンピック?パラリンピックに女性目線は活かせるだろうかという課題に対して、発表したのが「キャンパスの開放」でした。
吉田 2 0 2 0 年、日本を訪れる海外ママのために、セキュリティの高いキャンパスを開放するという提案です。私たちの大学では、幼稚園教諭免許や保育士資格の取得をめざしている学生がいるので、学びを活かし、海外ママのサポートができるのではないかと考えました。
松沢 国際自動車では、2020年に向けて、よりホスピタリティの高いサービスを提供するため「寺子屋」という取組みを行っています。そこでは、英語?韓国語等の語学やPCスキル等を学ぶことができます。多くの乗務員が「おもてなし」を感じられるご案内をめざして学んでいます。
男性が多いの職場こそ女性の視点が新鮮
松沢 国際自動車では、女性の気づきによる提案や課題解決にはとても積極的です。 例えば、車を交代制で使う場合、前の人の手汗によるハンドルのぬめりが気になるといった話が出たとき、それを経営層が聞いて、すぐに「ハンドルカバー」を導入してくださいました。
鴇田 女性視点でのサービスは、「気づき」が元になっていることが多いように思います。あとは、それを知らせる?広める工夫も必要だと思います。
吉田 知られていないと利用されないですしね。
松沢 それから、これも女性からの提案だったのですが、タクシーという個室内にこもるニオイについての話が出て、やはり経営層がすぐに消臭剤を用意してくださいました。
鴇田 今まで、ニオイの話は一度も出たことがないということでしょうか。
松沢 そのようですね。気づかなかったようで…。話題に上ることがなかったのだと思います。そのほか、男女の脳の差を理解するセミナーが行われたりしました。女性が共感主義であるのに対し、男性は優劣主義である等の内容で、お互いに違いを理解し合うことで、コミュニケーションをより潤滑にしようという試みです。
吉田 面白いセミナーですね。
松沢 元々フレンドリーで何でも話しやすい環境だと思っていたのですが、「より良くする」ためにあるようです。働く環境の改善も、よりホスピタリティの高いタクシー事業を推進するための一環なんです。
仕事と結婚?出産どう考えるか
松沢 結婚?出産は経験したいです。子どもが幼稚園を卒園する頃に、職場復帰できればいいな、と考えています。タクシードライバーは、個人の業務なので、比較的休みはとりやすいです。男性も、子どもが熱を出したとか卒業式があるということで、時差出勤したり休暇をいただいたり、ということは容易にできます。
鴇田 私は出産後に職場復帰できればと思っています。働くことって人生の楽しみのひとつだと思っているんです。そのためには、制度で守られるだけでなく、自分自身が職場で「必要とされる人」としてスキルアップしなくては、と思います。必要とされることって、やっぱりうれしいじゃないですか。必要とされて職場復帰ができて、そこでさらに子育て経験を活かせたら素敵だと思います。
吉田 私も結婚?出産を経験して、職場復帰したいとは思っているんですが、子どもが3歳になるまではしっかりとそばにいて育児に専念したいとも思っています。私の母は出産を機に仕事を辞めて専業主婦になりました。そのせいもあってか、仕事があると育児がおろそかになるのではという不安があります。制度も思い通りに利用できるとは限らないですし。今の段階では何もできないので、漠然と不安を抱えてしまっています。
鴇田 キャリアビジョンを描けと言われても、何も見えない中でどんどん決めなくてはいけない点は確かに大変ですね。そんな中、OGの皆さんの話や経験は唯一、見えるものなので、とても参考になります。
松沢 私も就職活動中は右も左もわかりませんでした。ただ、興味のない分野?業種であっても探したり、実際に説明会に出て見てみた点はすごく大きかったと思っています。就職で掴みたいのは、漠然とした希望職種よりも、自分が活きる環境かもしれません。ぜひ、皆さんも視野をひろげて、自分を幸せにする就職を掴み取ってください。
※国際自動車グループの「女性活躍推進」への取組の詳細は、下記サイトをご覧ください。
オリンピック連携講座を基点とした学生の成長の歩み
実践女子大学は、2014年に東京オリンピック? パラリンピック競技大会組織委員会との連携協定を締結、現在、組織委員会の「文化?教育委員」を務める深澤晶久特任教授が担当する授業においてオリンピック連携講座を実施、「2020東京オリンピック?パラリンピックで自分たちは何ができるか?」などをテーマとしたアクティブラーニング型授業を展開しています。また、組織委員会主催の大学連携地域巡回フォーラムには、数多くの学生が参加し、連携協定締結大学としての具体的な取り組みを展開するリーダー的な役割を担っています。今後は、渋谷に立地する意義なども踏まえ、さらなる活動の深化を目指しています。
今回のOG訪問に登場した鴇田さん?吉田さんは、共に、昨年12月に実践女子大学を中心に5大学の女子大生が集まり開催した「女子大生の視点でオリンピックを考えるフォーラム」のプロジェクトメンバーとして活躍しました。
こうした授業を基点に広がる様々な社会へのつながりによって学生は大きく成長しています。