<特集3>東京2020オリンピック?パラリンピック競技大会への参画
実践女子大学は、2014年に東京2020オリンピック?パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)と大学連携協定を締結。公式サイトに特設ページを設けるなど、連携活動を積極的に展開しました。機運醸成のための取り組みを行う「オリンピ ック?パラリンピックプロジェクト」も学生有志により立ち上げられ、女子大生や高校生の視点からオリンピック?パラリンピックを見つめるイベントを企画?運営するなど、学生主導の活動も多数行われました。学内の関心も高まり、大会期間中までに延べ10,000人を超える学生がさまざまなボランティア活動に参加。その貴重な体験から何を得たか、学生や卒業生が振り返ります。
学園の取り組み
学びや課外活動など多彩なシーンで、東京2020オリンピック?パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)について理解と関心を深める機会を学生に提供。ボランティア活動参加への後押しも行いました。
(1)連携授業の実施
共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:深澤晶久教授)を始め、東京2020大会をテーマとした授業を2014年度より各種実施。2021年度の「国際理解とキャリア形成」では、開幕当日のスポーツ紙一面を学生が考え、プレゼンテーションする機会も設けました。
(2)学生主体の連携イベントの企画?運営
有志の学生によるオリンピック?パラリンピックプロジェクトが、“東京2020大会に向けて何ができるかを女子学生の目線で考える”「女子大生フォーラム」、全国の高校生とオリンピック?パラリンピックを見つめる「高大連携フォーラム」、そして2019年の「ALL JISSEN FESTIVAL」まで、多数のイベントを企画?実施しました。
(3)東京2020大会関連イベントへの参加
組織委員会主催のさまざまなイベントに、礼法研究部やYOSAKOIソーラン部“WING”など多数の部活?サークルが参加。2021年度は「渋谷区文化プログラム MERRY SMILE Shibuya for 2020」にオリンピック?パラリンピックプロジェクトのメンバーが参加し、「おうちで SDGsオリパラ夏祭り」をテ ーマにオンライン動画を作成しました。
(4)ボランティア参加への後押し
さまざまなボランティア活動の情報を学生に提供。大会ボランティア(フィールドキャスト)や都市ボランティア(シティキャスト)、選手村内での食事提供アルバイトや選手の誘導、聴覚?視覚障がいのある方を対象とした競技観戦サポートなど、幅広い分野で多くの学生が活躍しました。
ボランティア活動に参加した学生の声
東京2020大会の期間中、ボランティアとしてさまざまなシーンで本学学生が活躍。どんな活動をして何を感じたかを、皆さんにお聞きしました。
アプリ配信を通じて、視覚?聴覚障がいについて改めて学ぶ
卓球競技の進行状況や会場の雰囲気などの情報を、文字や音声を通じてアプリで配信する活動に参加。簡潔?具体的に伝えなければわかりにくいことに気づくなど、「伝える」ことの難しさや視覚?聴覚の障がいについて学ぶ機会になりました。
選手村でのバス発着管理に携わり、語学力向上に意欲を抱く
パラリンピック期間中、選手村でのバス発着管理や車椅子の付け外しを担当。英語以外の言葉を使う選手と接する機会も多く、必要なことをどうやって伝えるかを常に意識していました。この経験で、語学力をさらに高めようという思いが強くなりました。
自治体や自衛隊の方々と協力し、「つながる」素晴らしさを実感
大学で町おこしについて学んでおり、フィールドでの体験につながるシティボランティアに応募。自転車競技のコースサポーターを担当しました。自治体や自衛隊など多くの機関の方と力を合わせ、人と人とがつながる素晴らしさを感じました。
選手村での調理を担当。アスリートの熱気に励ましを受ける
競技のエネルギーとなる食の面で役に立ちたいと思い、選手村での調理に携わりました。選手の方々の熱気に私自身も励まされ、運営会社の方やボランティアの方々と関わってさまざまな話を伺うなど、やりがいと出合いにあふれた時間を過ごしました。
IOC役員や各国の大臣をサポート。国旗を掲げ持つ経験も
ビーチバレー会場の都立潮風公園で、 IOC役員や各国のスポーツ大臣などをサポート。男子準決勝試合前の国歌斉唱の際は、選手の前で旗を持つ係になりました。この時しか関われない方と接し、この時しかできない体験をする、貴重な機会となりました。
大量調理の現場に。食の最前線にも触れる
管理栄養士専攻で実習した経験を活かしたいと思い、選手村の食堂で調理?提供をする活動に参加。大量調理を行う現場で、とても良い経験になりました。肉や乳製品、小麦が食べられない方向けの食材が国産で開発されていることも知り、勉強になりました。
プロジェクトOG コメント
●開催できて本当によかった。周囲の人たちは皆、競技を見て感動していて、オリンピック?パラリンピックには人の心を動かす力があることを改めて実感しました。 鴇田 沙弥さん(美学美術史学科卒)
●「イベント参加者のためにより良い内容にしなければ」という責任感を抱いて活動に取り組みやり遂げた経験が、その後の自分にとって大きな財産になりました。飯田 江美さん(国文学科卒)
●オリンピック?パラリンピックが日本で開催されていることを多くの人が意識し、映像でも見たと思う。そんな大会に自分が関われたことを、とてもうれしく感じました。 北岡 瞳さん(国文学科卒)
●テレビ越しではありましたがさまざまな競技の試合を見て、自分たちが真摯に取り組んだプロジェクト活動の先にあるものを目にして感慨深かったです。若山 理紗さん(英文学科卒)
●このプロジェクトで生まれて初めて「仲間」と呼べる存在に出会いました。何でも話せて助け合える、一生もののつながりを育めたことも成果でした。広瀬 莉奈さん(英文学科卒)
●多くの人が東京2020大会の成功に向けて力を尽くす様子に感動しました。また、その大会に自分が関わりを得られたことの得難さを感じました。
藤林 麻衣さん(英文学科卒)
●このプロジェクトの経験が、社会に出てからとても役立っています。そうした機会をくれた実践女子大学は、自分を大きく成長させてくれた場所でした。
吉田 真由子さん(英文学科卒)
●実際に活動はできませんでしたが、自治体ボランテ ィアにも登録。プロジェクトの経験で、アスリートだけでなく大会をサポートする方々も意識する視点も育めました。 五十嵐 千晶さん(美学美術史学科卒)
プロジェクトOGと深澤教授が再会
東京2020大会をどのような気持ちで迎えたか。学生生活での経験が、その後に何をもたらしたか。
「オリンピック?パラリンピックプロジェクト」の初代メンバー(2016年度卒業生)と、活動をサポートした深澤晶久教授の語り合いから、印象的なコメントをご紹介します。
深澤 晶久教授
実践女子大学文学部国文学科教授、学長補佐、
オリンピック?パラリンピック連携事業推進室、社会連携推進室長
プロジェクト活動に触発されて組織委員会の委員を務めるなど、私にとっても東京2020大会が生涯忘れられないものになりました。プロジェクトに参画した皆さんのように「学生生活の中で意義のあることに取り組みたい」と考える学生を、これからも全力で後押ししていきたいです。