竹内ゼミ 『退職代行の利用状況の調査』の紹介
『女子目線』のデータサイエンス:『退職代行の利用状況の調査』の紹介
※行動計量学ゼミ(竹内ゼミ)では、女子目線で気になった統計調査?統計データを読み取り、現代社会の動向?傾向を紹介していきます。
第 19 期生 青木奏
皆さんは退職代行というサービスについて聞いたことはありますか?退職代行とは退職の意思を本人の代わりに会社へ伝えるサービスのことです。社会には、様々な問題(パワハラ、残業、精神的理由など)から退職したいが直接伝えることが難しいという人が数多くいると考えられます。
そこで、今回私が紹介するのは退職代行のサービスを提供している退職代行モームリの管理元である、株式会社アルバトロスが退職代行を利用した 15,934 名分の退職データに関する調査です。この調査は 2022 年 3 月 15 日~2024 年 7 月 31 日にかけて日本全国の退職代行モームリを利用された 15 歳~71 歳の男女、15,934 人を対象にアンケート調査を行い、回収されたものです。今回は公開されている調査内容のうち、特に気になった退職代行利用の経緯とその退職理由、性別?年代別利用者数、複数回退職代行を利用された企業について紹介します。
退職代行利用の経緯や退職理由について一番と多かった回答としてあげられるのが 33.9% の「上司から各種ハラスメントを受けている」でした。次いで多かったのが 30.2% の「上司から退職を止められる」、24.7% の「サービス残業がある」があげられました。その他にも、「勤務外での仕事がある:18.7%」、「有給が使えない(圧力がある):13.0%」、「所定通りの公休が取れていない:7.6%」があげられました。以上の調査結果から、退職をしたいものの、自分から言い出せる環境ではない、または辞めさせてもらえる環境ではないなど、退職代行を利用せざるを得ずに利用される方が多いことが分かりました。
性別?年代別の利用者数では、男女による大きな差はあまりないといった状況であり、年代別の利用者数に着目すると、多い順に 20 代の利用割合が 60.9%、30 代の利用割合が 22.4%、40 代の利用割合が 8.4% であり、本格的にアルバイトや就職を始める 20 代という若い世代から順に利用割合が多く、特に 20 代は 6 割と圧倒的に多いことから、若年層の方が SNS など各種メディアを通して退職代行というサービスを認知する機会が多いこと、逆に年齢が上がるほど認知度が広まっていないことが分かりました。
利用者数が 15,934 名に対して 1,466 社である 9.2% の企業では複数回退職代行モームリを利用されており、11 回以上利用された企業が 47 社もあるという結果でした。その中でも 1 番多い企業では 64 回もの利用があり、理由としては記載されていた内容の業務と違う、退職届が受理されない、会話が噛み合わないなどといった理由があげられました。
以上のことから退職代行のサービスを利用するのは、本人の意思だけでなく、労働環境などの外的要因が大きく影響しており、なくてはならない存在であることが分かりました。このような現状の課題を打破するにはどのようなことが私たちにできるのか、日々考え、改善に繋げなければいけないなと実感しました。
その他、調査の図表、詳細等につきましては下記の参考文献をご参照ください。
参考文献:
株式会社アルバトロス(2024)
『退職代行モームリ累計利用者 15,934 名分のデータ?利用された企業情報を公開
~Z 世代と新卒で増加する退職代行利用者、労働者の本音はどこに~』、
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000103965.html
(最終確認日:2024/10/20)。