2018年3月(その3)
現代生活学科 菅野 元行 准教授(環境科学?エネルギー領域)がElsevier社のFUEL誌にてOutstanding Contribution in Reviewingを受賞
現代生活学科の菅野 元行 准教授(環境科学?エネルギー領域)がElsevier社のFUEL誌にてOutstanding Contribution in Reviewingを受賞しました。
(受賞は2016年12月でしたが、今月Elsevier社から届いたメールで判明しました)
まず、Elsevier(エルゼビア)社はオランダのアムステルダムに本拠があり、学術論文雑誌(英文)を多数発行している出版社です。
そのElsevier社が出版している学術論文誌の一つとして、燃料(バイオマス由来、化石燃料など)やエネルギー?環境に関わる研究成果の多くがFUELという論文誌に掲載されています。
(菅野准教授が筆頭者となっている研究論文の内、7報はFUEL誌に掲載されています)
学術論文は国内外ともに別の研究者による査読(Review:その論文がその論文誌に掲載するに値するか、内容は的確に作成されているかなどを審査すること)を経て、掲載可能(Accept)になった論文のみがその論文誌に掲載されることになります。
どの学問分野でも論文誌があり、質はもちろんのこと、論文誌に掲載された論文を積み重ねていくことが大学等の研究者の研究研鑽の方法となります。
研究者から研究論文が投稿されると、論文誌の編集者(Editor:その研究領域で著名な研究者が担当)が別の研究者に査読を依頼しますが、この度の菅野准教授の受賞はFUEL誌のEditorから査読を依頼されて審査した貢献度に対するものです。
Outstanding Contribution in Reviewingの詳細の受賞理由ですが、FUEL誌に多大に貢献(過去2年間の論文査読の回数が上位10%以上に達する)を行った査読者(Reviewer)に送られるものです。
具体的な査読論文数ですが、Elsevier社から送付された記録によれば、Fuel誌では2013年3月以降に菅野准教授が20件の論文査読を依頼されて査読し、審査結果を上申した結果が明記されています。
さらに、菅野准教授は同じElsevier社が発行しているJournal of Hazardous Materials誌のRecognized reviewerとしても2017年4月に受賞していることが明らかとなりました。
【菅野 元行 准教授のコメント】
査読依頼が届くと、その論文の内容を勉強させていただく意味でも引き受けてきました。そのため件数は気にしていなかったのですが、(その他の論文誌からの査読依頼もありましたがFUEL誌だけで)5年間で20件も査読していたとは驚きました。
また、このような賞があることはメールが届いて初めて知りました。
自分自身がFUEL誌も含めて様々な論文誌に研究論文を投稿する身ですので、投稿者としては査読結果に助けられたことも、そうでなかったこと(理由なしの却下もあり)もありました。
しかし、単にダメ出しするのではなく、「こうした方が良いのでは」というような懇切な査読意見には本当に成長させてもらいましたし、今でもよく覚えています。
もちろん、査読者は誰か分からないようになっていますので、逆に自分が他の研究者による研究論文を査読する時は、論文内容が正しいかどうかの審査はもちろんですが、「こうすれば良くなるのでは」という査読意見を述べるように努めてきました。
日本語の論文誌ではどういうわけか査読依頼は少なく、また編集委員などの機会もなかったのですが(2017年度実践女子大学生活科学部紀要の編集長を務めましたが)、国際会議での発表や研究論文の投稿?掲載を20年以上続けてきたことで、海外のEditorから査読依頼が届いたのかなとも思います。
英語による論文を査読するには時間は掛かりますが、英語論文の書き方の参考にもなりますし、一語一句慎重に読まざるを得ず、結果的に的確な審査ができたように思います。
論文の査読は、研究室の学生の卒業論文から始まり膨大な数の論文を査読してきましたが、査読者としての視点は自分の研究論文の修正の際にも役に立っています。
もちろん学術論文誌など学外から依頼されて査読した論文には守秘義務があるため、論文査読は表に出ない縁の下の仕事ではありますが、この度の受賞を励みに、今後とも社会貢献の意味でも、自分の勉強のためにもできる限り学外の論文査読や編集委員等の業務は請け負っていきたいと思います。
また、このような論文査読の経験を深めることで、本学の学生諸君の研究指導に役立てていく所存です。