イチョウと食品衛生
食生活科学科教員K.O
実践女子大学には正門のほかに、南門があります。
秋に、南門から入構すると、美しい黄金色のイチョウ並木を楽しめます。
私は食品衛生学が専門ですが、秋空に映えるイチョウの樹々を眺めながら、イチョウと食品衛生についてお話してみようと思います。
イチョウの果実であるギンナンは、ビタミンB6の活性を阻害する物質を含みます。そのため、食べ過ぎた方に、嘔吐、下痢、呼吸困難、けいれんなどの食中毒症状が起きたという報告がいくつかあります。例えば、ギンナンを約7時間でおよそ50個食べて3時間後に全身性けいれんを起こした1歳の男児や、60個食べて4時間後に嘔吐、下痢、両腕のふるえを起こした41歳女性の事例が報告されています。
また、生では食べられません。
ヒトは葉を食べませんが、葉にも毒性があります。葉に含まれるシキミ酸には、古い本に中でみかける銀色の虫(紙魚)に対して防虫効果があるという報告があります。
植物は何かしら毒性物質を持っています。それは、自分の身を守る目的もあるのでしょう。
毒性物質との接し方で大切なことは、そこに毒があるかないかではなく、私たちがどれくらいそれを摂取するのかということです。
なんだって過剰に摂取(食べ過ぎ)は、よろしくありません。
さて、実践女子大学南門に広がるイチョウ並木ですが、雌木を多く見受けます。
たくさんのギンナンも実らせます。
秋が深まると、落ち葉も増えてきます。
そうなると、もうすぐ冬だと季節を感じます。
そして、また春が来て、夏が来て、秋がやってきます。
ぜひ、また来年の秋の南門のイチョウ並木もお楽しみください。
南門のイチョウたちはそう言っているように思います。