ゼミ紹介 食品化学研究室
食生活科学科教員K.N
みなさんは「アピオス」という植物をご存じでしょうか?
「アピオス」とは、北米原産のマメ科のつる性植物であり、ネイティブアメリカンが、何日もかけて猟や戦いに出かけるときの栄養源としても重宝された食材であると言われています。
春にじゃがいもと同じように種いもを植えると、芽を出し、支柱に張ったネットにアサガオやヘチマのように、つるを伸ばしながら葉がつけていきます。夏には紫色のきれいな花を咲かせ、秋には地上部の葉が枯れ、やがて地下部には数珠状に塊茎がたくさんできます。
食用となる塊茎は、5~20gと大きさはさまざまですが、多きものだと40~50gというものもあります。
じゃがいものように茹でて食べてみると、繊維質ではありますが、じゃがいものような食感で栗のような甘味を感じるのが特徴です。一方で、成分について見ると、「アピオス」は大豆と同じマメ科植物であることから、大豆に特徴的にみられるイソフラボンという機能性成分が含まれていることが私たちの研究からわかっています。食べる面でも、研究の面でも非常に面白い食材のひとつです。
私たちの研究室では、普段よく目にする食材だけではなく、「アピオス」のように地域の特産品でありながら、まだまだ十分に知られていない食材も実験の材料として扱っています。目指すところは大きいですが、食べ方の提案や、特徴的な成分の分析などを通して、地域の活性化や新たな産業の創出を目標として研究に取り組んでいます。
また、「アピオス」を身近なものとして感じてもらいながら、「食」を科学的に捉えることの面白さを学習してもらうという小学生を対象にしたイベントも開催しています。学生たちも参加してくれた小学生と一緒に科学の楽しさを学んでいます。
私たちの身の回りには、たくさんの食材がありますが、普段食べているものもあれば、まだまだ知られていない食材もたくさんあります。同じ食材でも品種が変われば特徴にも違いがあり、個性があります。それぞれの特徴を活かして素材を使っていくためには、それぞれの個性を理解することはとても大事なことです。
「食欲の秋」、たくさんの食材、品種を手にすることができる季節です。今年の秋は、是非、いろいろな食材に触れてみてはいかがでしょうか。