特集②~新図書館訪問記~ 大正大学附属図書館
図書館では、2024年度の図書館の組織目標として「教職員と学生が一緒になって作り上げる新しい図書館像の策定」を掲げています。その一環として図書館職員、教員、図書館学生スタッフが、最新鋭かつ最先端の図書館の訪問調査を行うことにしました。
訪問調査により、空間デザイン、エリアプラニング、利用者の導線、施設利用、展示方法を直に学び、今後の図書館運営に活用していくことを目的としています。
今回は、図書館学生スタッフ「ららすた」の研修も兼ねて、大正大学図書館の新図書館の見学を行いました。
訪問館:大正大学附属図書館
訪問日:2024年6月10日(月)午後
参加者:図書館学生スタッフ「ららすた」3名(国文学科3年、食生活科学科3年、現代生活学科3年)
図書館スタッフ4名
大正大学附属図書館について
今回の訪問先は大正大学附属図書館(以下、「同館」)です。
大正大学(以下、「同大学」)は1919年(大正8年)に設立された設立四宗派(天台宗?真言宗豊山派?真言宗智山派?浄土宗)及び時宗の連合大学です。2020年に開館した新図書館は、私立大学図書館協会2023年度協会賞を受賞した図書館であり、学修支援に加え、高大接続、地域連携、組織マネジメントなどの各課題への取り組みは、様々な面から今後の図書館像を考えるうえで非常に参考になり得るものでした。
驚きの図書館内外
豊島区の西巣鴨にある同大学のキャンパスは、最寄駅から2分の好立地にあります。正門をくぐると複数の棟が立ち、正面の黄金に輝く立派な建物(8号館)が図書館棟です。8号館は、ラーニングコモンズ、図書館、礼拝ホールからなる複合施設で、後から知るのですが、入館しても七宝文様をあしらったパネルユニット(七宝パネル)が、外部?内部と至る所に納められ、宗教的な重厚感が演出されています。ここで既存の図書館観が一気に吹き飛んだ感覚を持ちました。
大正大学図書館職員からの説明
当日の見学を案内してくださったのは同館の古川様でした。最初に古川様による座学により図書館のコンセプトを懇切丁寧に説明いただきました。目指す3つの図書館像を大きくまとめると、学生相互や学生個々のため、多様性を尊重する社会、新たな共生社会の実現に向けて「総合的な学修支援を切り拓く」ことにあります。フロアーごとに役割を明確化(同館では「階層化」を使用)しているのは、最近の図書館のトレンドに沿ったものと思われました。ただ図書館側が強く希望した書架スペースは限定的で、旧図書館を現在でも書庫として利用しています。新館になって爆発的に増加したのは入館者数で、コロナ禍の2020年度に開館しましたが、年々拡大し、2023年度は6~7倍になっていました。その一方で貸出数はコロナ禍以前の状況にやっと戻った感じであると説明がありました。
館内を見て
図書館のゲートは2階にあり、ちょうど近隣の中高生が来館し、人気の長机で勉強していました。1階に降りると、床から冷暖房が出るラーニングコモンズ、先生方から不要本として譲り受けた本を並べたコーナーがありました。ちょうど見学に伺った日は、大学祭の翌日で休講日と聞いていましたが、利用者はそれなりにおり、もし1階のカフェが開店している日であったらこれ以上の混雑が予想されました。
フロアーごとに役割を階層化されており、本の森の中に、「小径」、「響き」、「街」が配置されており、「響き」には教員による学科別のテーマ別展示が行われており、あたかも森の中を散策?思索に耽るか如くの感覚を得られるのではないかと思いました。また教育研究のスタイルに合わせて使い分けが可能なグループ学習室、個室、イベントスペースなども見逃せない施設となっていました。床に投影されるサインにも驚かされました。居場所を見つけた利用者を集中させ、最適な学修環境を提供しているように思えました。
参加者の感想
- 大正大学図書館を見学して、学生が過ごせる居場所が多くあることが印象に残りました。実践女子大学の図書館の厳かな雰囲気も大好きなのですが、より、光がたくさん入る、学生の居場所が出来たらいいなと思いました。(ららすた 現代生活学科Dさん)
- ホワイトボードで仕切られたグループ学習ルームは、友達と課題や問題を話し合う際にあったら便利で機能的だと思いました。児童図書は、年齢をレベル分けして配架することで学生が利用しやすく配慮されていると感じました。(ららすた 食生活科学科Eさん)
- まず、図書館の広さに驚きました。階段横の座れるスペースや、全体的に明るく、自然光が入っているのが素敵だと思いました。学生向けの講座を行っているのを聞いて、実践でもあったらいいなと感じました。(ららすた 国文学科Fさん)
- 大正大学の教職員や学生だけでなく、近隣の方へ開放しているスペースもあり、広い通路や落ち着いた雰囲気で統一された設備からも幅広い年代の方が利用しやすいよう考えられている図書館だと感じました。
新入生歓迎の時期にはサークルの勧誘ブースを図書館内に設けたり、教員による講演会を実施していたり、固定観念に捕らわれない新しい図書館の姿を見ることができました。(図書館スタッフA) - 光が差し込み明るく開放感があり、何度でも足を運びたくなる素敵な図書館でした。図書館のゲートがある2階へ続く階段やカフェがある1階には、本が展示されていたため、本への興味、図書館への来館を促す工夫がされていると感じました。館内には、魅力的なデザインの講座ポスターも掲示されており、大変参考になりました。(図書館スタッフB)
- 「学び」と「集い」の環境が整った素晴らしい施設でした。
静寂の中で個人の学びを深める場や、グループの学修エリア、講演会を行う交流スペースが十分に確保されていました。閲覧スペースは広く、可動式となっており、多様な学生の学びと活動に対応しているところが魅力的に感じました。 (図書館スタッフC)
最後に
今回の図書館見学に訪問させていただいた大正大学附属図書館の皆様に感謝を申し上げるとともに、当日の見学対応をして下さった図書館職員の古川様には感謝の意を伝えたいと思います。
基本事項
大正大学附属図書館
住 所:東京都豊島区西巣鴨3-20-1
開館時間:9:00-21:00(平日)10:00-17:00(土) ※日は休館、長期休暇中は短縮開館
アクセス:「西巣鴨駅」駅下車A3出口 徒歩2分
実践女子大学関係者が、同館を利用するには紹介状が必要ですので、レファレンスカウンターにご相談ください。