髙橋 侑希さん
図書館学課程の先生方に支えられながら
アグレッシブに学び、都立図書館の司書職を獲得。
髙橋 侑希
Yuki TAKAHASHI
大学院 文学研究科 国文学専攻 2023年3月修了
Yuki TAKAHASHI
大学院 文学研究科 国文学専攻 2023年3月修了
学部時代に司書教諭課程を履修。大学院進学後は2年で司書課程修了に挑戦
高校時代、教室以外の「安心して過ごせる場」として、学校の図書室をよく利用していました。もう一つの居場所である図書室の存在は当時の私にとってとても大切なもの。そういった空間をつくり上げ維持している司書の方々に尊敬の念を覚えて「自分もそうした仕事をしたい」と考えるようになったことが、司書を目指したきっかけです。
本学の国文学科に入学し、まず司書教諭課程を履修しました。司書、司書教諭、学校司書の3つの中で司書教諭を選択したのは、将来は学校で「教室以外の居場所として児童?生徒を支える」図書室づくりを行いたかったことと、教えるのが好きなので進路の一つとして教員になることも意識していたためです。
司書教諭になるためには教職課程も修了しなければならないので、学科の勉強と併せ、時間のやりくりをしながら司書教諭と教職の勉強をしていきました。就職活動を始める際に司書教諭の採用に挑戦するか検討したのですが、現在、司書教諭は「授業を持つ教員との兼任」が募集の条件であることがほとんどで、改めて考えると希望していた「司書教諭として図書室運営に専念する」ことは難しいのでは、と思い、挑戦を断念しました。また、学科で専攻した「少女マンガを文学として捉えて論じる」研究が面白く、卒業論文では納得いくまでその内容を深められなかったことから、卒業後は大学院に進んで研究を続けることにしました。
進学後、研究以外の時間を司書課程の勉強に充てようと思いました。大学院の授業や研究と並行しての受講となるため忙しくはなりますが、せっかくなので挑戦してみようと考えたのです。大学院の授業と司書課程の授業が被ることもありましたが、当時はコロナ禍でオンデマンド中心だったこともあり、学務に依頼して調整するといった対応で大学院と司書課程の勉強を両立することができました。
受け身ではなく、自分から行動して学ぶ
司書課程の勉強の中で心掛けていたのは、授業の中で疑問を感じたことは配布された資料に直接書き込み、授業後に自分で調べて解決する、ということです。調べてもわからないものについては、次回の授業で先生に質問して教えていただきました。こうすることで、受け身にならずに要点を理解して、しっかり記憶に残すことができたのかな、と思います。
授業で紹介された図書館に実際に足を運ぶこともしました。印象に残っているのは海老名市立図書館です。ここはTSUTAYAを展開する企業に運営を委託しており、それについて賛同?批判双方の声があるということで、実際にどのようなサービスを提供しているのかの状況を自分の目で見て確認しました。
図書館実務の中で起こりがちな事例について、その対処法をグループで話し合って結果をプレゼンテーションする演習も印象に残っています。さまざまな学生の意見を聞くことで、自分とは異なる考え方があることを知るとともに、具体的な対処法について学ぶこともできました。
司書課程を含め本学の図書館学課程の強みは、先生方がみな図書館司書実務の経験を持ち、それに基づいた実践的な指導を行ってくださる点だと思います。授業の中でも、将来の参考になる話をたくさん聞くことができます。先生方は公共図書館や学校図書館の現場で司書として活躍されている方とのネットワークもお持ちで、私がした質問について、お知り合いの司書の方に聞いてから回答してくださることもありました。
先生の面接練習を受けて受験。実務を踏まえた対策が自分への信頼に
就職活動の時期を迎え、今度は公共図書館の司書職を目指すことにしました。
受験したのは自宅近くの市と、東京都の司書職です。公務員試験対策も必要でしたが、司書職に関する試験については『図書館職員採用試験対策問題集(司書もん)』に繰り返し取り組んだほか、司書課程の授業で配布された資料を改めて読み込んでいきました。特に東京都の司書職については出題形式が記入式だったため、知識をただ暗記するだけでなく、論理的に理解して自分なりの意見を表現できるようにしておく必要がありました。実際の試験で出題された問題の中には司書課程で学んだ内容も含まれており、それまで取り組んできた対策が有効だったと感じました。
東京都司書職の第1次試験合格の報を受け、第2次試験の口述試験(個別面接)への対策として、図書館学課程の須賀先生に面接練習とエントリーシートの添削をお願いしました。練習では、先生がご自身の受験や実務の経験を踏まえて出題してくださいました。実際の試験でも、司書として仕事をすることを想定した内容について質問されたため、こうした練習を行っておくことが合格につながったと思います。試験日までに3回、先生の面接練習を受けて当日に臨みましたが、不安はあったものの「これまで一生懸命に対策をしてきたのだから」という自分への信頼も持つことができました。
第2次試験も合格し、都立図書館で司書として働くことができると決まった時はとてもうれしかったです。採用人数が限られる狭き門ではありますが、突破できたのは本学の図書館学課程で先生方に支えていただきながら学んだ成果と思います。
司書を志した時と変わらず、「もう一つの居場所として図書館を活用してもらう」ことが私の願い。さまざまなライフステージで遭遇する課題の解決に向けてヒントを提供する資料を揃えるなど、幅広い層の方に役立つことを目指して仕事をしていきたいと考えています。「図書館に行ってみよう」と多くの方に感じていただけるよう、イベントの企画もしてみたい。その際は、在学中に取り組んだマンガ研究で育んだ知識を活かせたら、とも思っています。
司書や、司書教諭、学校司書は毎年募集人数が少なく難関といわれますが、図書館学課程の先生に話を伺ったり採用状況を自分で調べたりすると、募集を行っているところは何かしら見つかります。図書館学課程で学びながら知識を深め、ネットワークを築いたり視野を広げることで、「司書として図書館の現場で活躍する」夢をぜひ叶えていただきたいと思います。