地域?生活文化ゼミ(須賀ゼミ)が、JR東日本と共同で「布川ファーマーズマーケット」を開催しました(7/27)
生活科学部現代生活学科の地域?生活文化ゼミ(以下、須賀ゼミ)が7月27日、日野市のコミュニティーセンター「カワセミハウス」で、「布川ファーマーズマーケット」を開催しました。今回は東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)と初めての共催となり、豊田駅の駅頭にも出張ブースを設置するなどしてより広く地域の皆さんに布川の魅力をPRしました。
「布川ファーマーズマーケット」とは
須賀ゼミが2015年から交流を図っている布川(新潟県十日町市松之山布川地区)と日野の地域をつなぐ、「カワセミハウス」を拠点にしたイベントで、現在では年4回、季節ごとに定期的に開催しています。布川で採れた旬の野菜やおいしいお米を販売したり、布川の魅力を伝える展示やさまざまなワークショップを実施したりしています。「布川ファーマーズマーケット」は、本学?布川?日野の三者のつながりを体感し、ともに支え合う関係を作る場としてなくてはならないものとなっています。
JR東日本が「布川ファーマーズマーケット」の取り組みを応援!
地域の魅力探索のまちあるきプログラム開発を行っている須賀ゼミは、2022年にJR東日本が実施しているウォーキングイベント「駅からハイキング」の企画?運営に携わりました。翌年の2023年にはJR東日本とのコラボ授業を行い、個室型ワークスペース「JRステーションブース」の利用拡大のアイデアを学生が考案。駅のポスターや車内放送で新しい使い方のプロモーションを展開しました。
このような取り組みを通して、JR東日本と須賀ゼミは地域創生の取り組みの方向性が一致していることを確認。それが、本学とJR東日本による「布川ファーマーズマーケット」の初めての共催につながりました。告知ポスターは豊田駅や日野駅にも掲示され、そのポスターの作成も須賀ゼミ生が担当しました。また、開催当日は、豊田駅の駅頭に初めて出張ブースを設置し、布川地区のPRを行うとともに、ここでも布川の野菜やお米を販売しました。学生たちは、駅を利用する皆さんに積極的に声を掛け、駅の放送を利用したアナウンスにも挑戦しました。
布川での活動を象徴するロゴマークや、布川のイメージポスターも作成
今回の「布川ファーマーズマーケット」の開催に合わせて「まつむすめ」のロゴマークを作成しました。「まつむすめ」は、松(まつ)之山布川地区の「まつ」と、実践女子大学の学生を示す「むすめ」を掛け合わせたネーミングで、これまでも実践女子大学が布川の田んぼで作っているお米の商品名として使用してきましたが、今後は活動全般を表すシンボルとして活用していくことになります。もちろん、今回の「布川ファーマーズマーケット」のイベント告知ポスターにも完成したばかりのロゴが掲載されました。
さらに、このタイミングに合わせて、布川のイメージポスターも学生が中心となって作成しました。ポスターの写真は、学生自らが撮影した布川地区の新緑の棚田の風景で、布川の皆さんと協議して選んだもの。一緒にレイアウトされている布川ロゴも今回作成したもので、布川の位置を示すアイコンと棚田を表したというアルファベットを組み合わせたデザインとなっています。
「布川ファーマーズマーケット」内で移住相談会や、里山カルタも実施
カワセミハウスで実施した「布川ファーマーズマーケット」では、初めての移住相談会も開かれました。松之山自治振興会理事で移住定住教育環境促進部会長を務める小野塚建治さんが布川からカワセミハウスに駆け付け、布川への移住相談会を開催しました。
遊べるコーナーも設けられ、須賀ゼミの学生が作成した「山里くらしカルタ」が並べられました。このオリジナルカルタは、布川の人々との交流を通して学生の心に芽生えた「土地への思い」を形にしたもの。美しい棚田のある農村の魅力を語り合うきっかけをつくるツールにもなります。特長や遊び方、活用方法、各札のアイデアの源や図案のデザインプロセス、読み札に込められた思いなどを綴ったガイドブックも併せて展示しました。
猛暑の中で開催された「布川ファーマーズマーケット」ですが、今回も多くの地域の方々が足を運んでくださいました。次回は、秋にカワセミハウスで開催予定の「オクトーバーフェスト」の中で実施する予定です。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 豊田駅副長 鈴木賢一氏のコメント
「駅からハイキング」への参加や「JRステーションブース」の利用拡大のアイデアのご提案を通して、実践女子大学の地域連携に関する取り組みと豊田駅の地域とのつながりの考え方を共有してきたことが、「布川ファーマーズマーケット」の共催につながりました。日野市をホームグラウンドとする者同士で協働することにより、相乗効果を生み出せるのではないかと思います。地域連携はもちろんのこと、SDGsやダイバーシティの取り組みの一環と位置付け、今後も新たな価値の創出につなげていきたいと考えております。布川とのつながりを通して新たな人流を生み出し、地域の皆さまの豊かな暮らしに結び付けていけたら幸いです。
松之山自治振興会理事 小野塚建治氏のコメント
布川地区が抱えている最大の課題は人口減少です。私自身、一度は布川を出て東京で働いていましたが、ふるさとの農業が廃れていくことに危機感を抱き、地元に戻りました。当初は、中越地震の復興支援の職員をしながら兼業農家として働きましたが、復興支援が一段落して専業農家として歩み始めたころ、実践女子大学の皆さんと出会いました。
そのご縁で、私がカワセミハウスに通うようになって8年。今回初めて、「布川ファーマーズマーケット」内で移住相談会を開きました。移住となると、簡単に事が運ぶものではないと理解していますが、今回の試みを足掛かりに新たな施策につなげていければと考えています。
また、実践女子大学の学生の皆さんが布川に足を運んでくださるようになり、都市農村の交流が活性化していることを大変ありがたく思っております。伝統の夏祭りが継続できているのも、学生の皆さんのおかげです。布川を「帰りたくなるふるさと」と呼んでくださるのも本当にうれしく、今後もますます実践女子大学の皆さん、日野地域の皆さんと交流を深めていきたいと願っています。
生活科学部現代生活学科4年 小野 柚紀さんのコメント
これまでも学園祭やゼミのイベントに使うポスターを制作してきましたが、学外の企業との共催イベントのポスターを手掛けるのは初めての経験でした。駅の構内でほかのポスターにも負けないインパクトを与えるにはどうすれば良いか、そこが一番の悩みどころでしたが、まずは興味を持ってもらえるよう、あえて写真ではなくイラストを採用して楽しい雰囲気を演出しました。
今回、布川のイメージポスターや、実践女子大学の布川での活動のシンボルとなる「まつむすめ」のロゴも作成しました。私たちの活動を通して、一人でも多くの方々に周知することが、人口減少が進む集落の伝統や文化の継承の一助になるのなら、これほどうれしいことはありません。だからこそ、JR東日本の皆さまにご協力いただき、駅頭にブースを設置して布川という地域や「布川ファーマーズマーケット」のPRができたのは非常に意義深いことだと思っています。今回踏み出した新たな一歩を、さらなる挑戦につなげていきたいです。
生活科学部 須賀由紀子教授のコメント
JR東日本とはかねてより、「地域のつながりを大事にする」という点で方向性の一致を確認してきました。それが「布川ファーマーズマーケット」の共催という形で実を結び、大変うれしく思っております。豊田駅の駅頭にブースを設置するということで、都市から農村への人の流れを生み出すきっかけにもつながると考えると、非常に面白い取り組みだと感じています。
今回の共催にあたり、駅構内に掲示する「布川ファーマーズマーケット」の告知ポスターのほか、布川のイメージポスターや、私たちの布川での取り組みを象徴する「まつむすめ」のロゴも作成しました。また、布川への移住相談会も初めて実施いたしました。いずれも、これまでの「布川ファーマーズマーケット」にはなかった新たなチャレンジです。
実践女子大学が要となって農村と都市をつなぎ、共に支え合う地域づくりをしていくことで、これまでにない価値を創造していけるよう、引き続き学生をサポートしてまいります。