<企画特集>地域とつながる実践、日野と恵那 2
恵那の街との連携 下田歌子先生の「志」を共に伝えていく
岐阜県恵那市は学祖下田歌子先生の出生地。
今でも、恵那市では下田歌子先生を信望する方が多く、とても身近な存在です。
今回は、2014年に「プロジェクト研究」から常設の研究所となった「下田歌子研究所」の活動と合わせてご紹介します。
恵那市との結びつき
恵那市と実践女子学園は、相互の知的資源を活用し、教育、学術、情報、まちづくり等の分野で交流を進め、両者が共同して行う事業等の推進に寄与することを目的として連携協定を締結しました。連携事項は、下田歌子の顕彰事業のほか、実践女子学園の学祖研究?教育および校祖学習に関すること等幅広い活動が掲げられています。
恵那市民大学連携講座
恵那市では、生涯学習による街づくりを推進。2013年から恵那市民大学「恵那三学塾」が開校し、本学の教員も講師として参加しています。
2014年は生活科学部食生活科学科の佐藤幸子准教授が講師を務め、講義と実習をミックスした「食育講座」を10月5日(日)に恵那文化センターで行いました。
タイトルは『「スパイス&ハーブ講座」美味しさをコーディネート』。基本知識から生活への取り入れ方まで、実習を中心に授業をしました。食育講座は大変人気があり、申込者のキャンセル待ちが出るほど。当日は25名が5班に分かれてハーブを用いた料理を調理し、盛況のうちに終了しました。
主菜?主食/鯖のオーブン焼き(タイム風味)&クミンライス
副菜/シーザーサラダ(ベビーリーフ)
汁物/キャロットポタージュ
甘味/紅茶のシフォンケーキ&チャイ
下田歌子賞
下田歌子賞は、2004年に下田歌子生誕150年を迎えるのを記念して設けられた公募賞です。この賞はエッセイ?短歌を通して、人の生き方や教育の在り方などを共に考え、学ぶことを目的としています。2003年度の第1回募集以来、毎年全国各地から多数の秀作が寄せられており、第12回(2014年)は「ふるさと」をテーマにエッセイ673編、短歌1896首の応募がありました。
実践女子学園中学校高等学校の生徒もエッセイの部に多数応募し、2名がふるさと先人賞を受賞しました。授賞式は12月13日(土)に恵那市岩村町の岩村コミュニティセンターで行われ、受賞者がエッセイをステージ上で朗読。来場の皆さんの投票により、1名が大賞、1名が嚶鳴協議会賞を受賞しました。
<下田歌子賞>
主催:恵那市先人顕彰事業「下田歌子賞」実行委員会、岐阜県恵那市、学校法人実践女子学園
共催:株式会社PHP研究所
第13回のテーマは「家族」、エッセイ?短歌をそれぞれ6月初旬から9月初旬まで、小学生の部?中高生の部?一般の部の3部門で募集します。
研修会 バスの旅「下田歌子『東路の日記』を訪ねて」
下田歌子研究所は2014年に新設されたばかりですが、元々は前身の研究所(プロジェクト)で「歌子さんの集い」と称して、岩村(岐阜県恵那市岩村町)の方たちからお話を伺っていたことに端を発します。当初から、ぜひ岩村で研究会を行いたいという声もあり、今回記念すべき第1回は1日目を研究会、2日目を研修会として、岩村で開催しました。
私が研究会で発表したのは、『泰西婦女風俗を読む』という題でしたが、こちらは下田歌子の見聞記で、明治26年より明治28年の2年間の欧米教育視察を題材としたものです。このことが、女子教育機関の必要性を確信する契機となり、実践女子学園の創立に至った点で、学園史上、重要な出来事であり、興味深い記録であるといえます。
2日目の研修会では、下田歌子が岩村から上京する旅路を記録した『東路の日記』を辿り、岩村から岡崎城(日記の第1日目~第2日目)をマイクロバスで巡りました。上京時の下田歌子は16歳。故郷の国境である三国山の峠で「綾錦着て帰らずば三国山 またふたたびは越えじとぞ思ふ」という歌を詠んでいますが、この若さで既に女子教育の先駆者下田歌子の片鱗が伺われます。当時、武家筋とはいえ、女性として個人の立身出世の域をも超え、何か社会に成すことを決意していたとは、類い稀なる志ではないでしょうか。恵那市と実践女子学園は学術の包括協定を結んでおり、恵那市の図書館開設にも協力し、当地で各種の講演会や企画展も行ってきました。
実践女子学園で過ごした皆さんには、下田歌子の精神や教育観が伝わっていると思いますが、本学はまさに女子教育の在り方を具現化した学園です。早くから知育?徳育?体育の必要を説き、特に日本女性の体力向上の観点から、メイポールダンスや薙刀が採り入れられ、今は伝統になっています。下田歌子研究所と恵那市とは、岩村の地を通して連携し、このような下田歌子が目指したものを後世へと伝え続ける役割を担えるようにと考えています。