〈特集〉 未来に「つながる」旅 第三章
第三章 新旧学長が日野キャンパスの未来像を描く
日野の地から、さらなる発展へ
湯浅 茂雄 前学長 新旧学長対談 田島 眞 新学長
1965年に日野校地に校舎を設立して以来、
地域の高等教育機関として親しまれてきた実践女子大学?短期大学。
2014年の日野?渋谷二校地展開に伴い、
本学は地域とどのように関わっていくのか。
これまで6年間、学長として本学をリードしてきた湯浅 茂雄前学長(左)と、
4月から学長に就任した田島 眞 新学長(右)に語り合っていただきました。
地域密着型教育機関として教育活動を展開
湯浅 教育機関と地域との連携について、現在、さまざまな角度から注目されています。本学は日野市役所に最も近い場所に位置する高等教育機関として「地域との連携」を運営方針の柱の一つに据え、日野市や地域住民と密にコミュニケーションを図りながら、積極的な活動を展開してきました。
田島 近年、地域連携の取り組みはさらに高まっていますよね。短期大学の食物栄養学科では日野市の「食育推進計画」において学校給食のメニュー開発を行ったり、「日野産大豆プロジェクト」に参加して食材生産に携わったりしています。
湯浅 ほかにも、生活文化学科では「日野市基本構想?基本計画」の策定に参加して学生がまちづくりプランの提案を行ったり、美学美術史学科の学生が日野駅前の活性化プランを提案するなど、地域に密着して活発に活動しています。 大学?短期大学が有する専門知識を地域に提供するのと同時に、地域の中で活動することで、社会と直に触れ合う体験を学生に味わってもらうことができる。地域にとっても本学にとっても、Win-Winの良い関係が生まれています。
田島 「地域の高等教育機関」として、着実に本学の存在が地域に根づいていますね。2014(平成26)年4月より本学は二校地体制となり、一部が渋谷キャンパスに移転しますが、これまで築いてきた日野との結びつきは今後も大切にしていきたいと思っています。
二校地化で、日野キャンパスは実学の拠点へ
湯浅 大学の文学部?人間社会学部と、短期大学の日本語コミュニケーション学科?英語コミュニケーション学科が渋谷キャンパスに移転し、日野キャンパスでは生活科学部が教育活動を行います。田島先生は生活科学部の教授であるとともに、この4月から学長に就任されましたが、日野キャンパスと渋谷キャンパスの「これから」をどのように考えていらっしゃいますか?
田島 私は、University(総合大学)の研究基盤は、欧米で言われているようにArtとScienceであるととらえているんです。この考えを踏まえますと、渋谷キャンパスが文学や美術、人間社会をテーマとするArtの拠点、そして衣?食?住や生活環境など、暮らしに密接したテーマを扱う生活科学部が活動を展開する日野キャンパスはまさにScienceの拠点ですね。本学における実学分野の中心地として、日野で地域と連携する機会が今後さらに増えていくのではないかと思っています。
湯浅 短期大学の渋谷移転に伴い、現在の短期大学の拠点である神明キャンパスをどう活用するかも大きな課題ですね。詳細はまだ計画中となっていますが、神明キャンパスが本学の校地であることは今後も変わりありません。地域の方にもご利用いただけるような展開を探っていきたいですね。
田島 神明キャンパスの活用方法としてグラウンドなどの運動施設は地域の方に開放できるでしょうし、将来的には保育や介護など、生活科学部の「知」を還元できるような施設を整備することも考えられますよね。学生の実習の場としても活用すれば、教育の質もさらに高まるのではないでしょうか。
日野で「本学ならでは」の教育を展開し、改めて存在感を高める
湯浅 二校地化によって、生活科学部という実学の拠点となる日野キャンパスは、さらに大きな使命を担うことになります。今後はこれまで以上に設備や教育内容の充実を図り、生活に根ざした学びができる大学として、また日野?渋谷それぞれの地域になくてはならない教育機関として、さらなる発展を遂げてほしいと願っています。
田島 私は今後、各学部に実践女子大学?短期大学ならではの「教育の目玉」を確立させたいと思っているんです。日野キャンパスで実学教育を行う生活科学部の目玉は「地域をフィールドにした実践的な学び」。この地で本学にしかできない教育を行って質の高い学びを学生に提供し、これまで以上に積極的に本学の「知」を地域に還元して、社会での本学の存在感を改めて高めていきたいですね
田島 眞 教授(Makoto Tajima)プロフィール
今年3月31日で任期満了となった湯浅茂雄前学長に代わり、4月1日より田島眞教授が実践女子大学?短期大学 学長に就任いたしました。田島学長は生活科学部食生活科学科教授。食品学?食品加工学の研究者で、1991(平成3)年より本学で教鞭を執り、教務部長や学部長を歴任。2009(平成21)年からは内閣府消費者委員会委員を務めるほか、食品学のスペシャリストとしてテレビなどメディアにも登場し、専門知識を社会に広く伝えています。