発掘!! 実践女子大学新聞 創刊号:思いがけず寄贈を受けた卒業生からの贈り物
この度、一般社団法人教育文化振興 実践桜会(本学園の同窓会組織)の実践国文科会を通じて、卒業生の方から『実践女子大学新聞』の創刊号を含む資料一式の寄贈を受けた。寄贈資料の中に『実践女子大学新聞』の創刊号があった。『実践女子大学新聞』は、昭和30年代頃(1950年代)に創刊された実践女子大学報道機関新聞部発刊の新聞である。昭和30年代頃と書いたのは、大学図書館では、同新聞を昭和39年に刊行された21号(1964.4)から終刊の71号(1972.12)までしか所蔵しておらず、それ以前にどのように刊行されていたかを知る術がなかったためだ。
標題にしている『実践女子大学新聞』の記念すべき創刊号の日付は、昭和34年5月7日(1959.5.7)で、学園の創立記念日である。「創立六十周年記念号」と銘打った創刊号には、蓼沼繁枝理事長(当時)が学生記者に応える形で、「苦難の十余年を顧み 新時代への抱負」として「誠意と努力が標語」と語っている。そのインタビューの記事の隣には、山岸徳平学長(当時)が、「熱と誠をもって建学精神に協和」という文章を寄せている。小さい記事であるが、『実践女子学園六十年史』の刊行を伝え、創立六十年を祝うために行われる行事が紹介されている。1枚からなる創刊号には表面に記事、裏面は広告となっている。
続く2号(1959.7.7)の表面は普通の学生新聞的な記事が掲載されているが、裏面には創立六十周年で行われた記念式典の数々が紹介され、近代女性文化発展資料展や、晴衣裳展として伏見家所蔵の十二単が展示されたとある。
驚くべきこととして、この『実践女子大学新聞』には前身として、『実践女子大学学生新聞』がある事実も分かった。今回の寄贈資料の中に創刊号はなかったが、第3号(1956.6.11)、第4号(1956.11.5)、第5号(1957.5.8)、第7号(1958.1.29)、第8号(1958.4.16)、第10号(1958.11.12)の6号分が含まれていた。
中でも第3号には、「図書館今秋までに完成か 一階の使用すでに始る」とあり、第4号には新図書館の見取図が掲載され、さらに第8号で「図書館の完成」という記事が掲載されている。当時の図書館は地下1階地上4階の建物で、一部は研究室、学生相談室、教室、地下に食堂が同居していたようである。4号の記事では、当時としては珍しい全面的な自由開架の閲覧方式と、館外への一日貸出方式を採用するとある。昭和時代の渋谷キャンパスの大学図書館を知る者も数少なくなっており、当時を知るうえでの貴重な資料と言える。
寄贈資料には他にも『実践女子大学?実践女子学園短期大学要覧1953』、『学生便覧』昭和30年度(1955)、『修学上留意すべき事項』(現在の「履修要項」)、『実践女子大学及び実践女子学園短期大学学友会規約』(1955.6当時)、『学友会規則?自治会規約』、『実践学園時報』121号(1959.7.6)等がある。
貴重な資料を保存して下さり、ご寄贈いただいた卒業生に深く感謝を申し上げたい。