『女子目線』のデータサイエンス：「男性の美容に関する調査」の紹介

※行動計量学ゼミ（竹内ゼミ）では、女子目線で気になった統計調査?統計データを読み取り、現代社会の動向?傾向を紹介していきます。

第 16 期生　西口実伶

　皆さんは、男性が化粧をすることについてどう思いますか？最近では男性用の化粧品も発売され、男性の美容への追求は受け入れられつつあると思います。では、そんな美容を追求している男性にはどのような特徴があるのでしょうか。そこで今回は、株式会社マクロミルが行った「男性の美容に関する調査～『美活男子』は仕事もプライベートも自らをプロデュース～」について紹介致します。本調査は株式会社マクロミルが 2019 年 12 月 20 日（金）-30 日（月）にかけて、全国の 15 歳-69 歳の男女を調査対象としたインターネットリサーチ調査です。なお、本調査では、美容室やエステ、散髪、ネイルなどに行く頻度が 1 か月に 2 回以上で、何らかの男性スキンケア用品を保有している男性を「美活男子」と定義付けています。また、この調査では 5 年前の分析結果と比較して、美活男子がどのような変化をしているのかについても触れています。以下ではこのマクロミル調べの結果を紹介します。

　美活男子の大半は 20 代以下の若者の男性未婚層が中心であることがわかりました。また、職業別に見てみると、「企画／事務系」が 42.0% と一番高く、次に「営業系」の 16.1% となりました。男性全体と比較すると、大体の職種で美活男子が男性全体を上回っていますが、「その他職種（公務員）」の男性全体が 14.2%、美活男子が 11.0% となり、美活男子が少ない職種であることがわかります。また、「販売/サービス系」も男性全体が 13.3%、美活男子が 6.8% であり男性全体が美活男性の割合を上回っています。次に、美活男子の趣味を見てみると、「国内旅行」が 39.6% と最も高く、順に「インターネット」 35.1%、「ショッピング」 33.6% と続きました。このことから、美活男子はアクティブかつトレンドに敏感な傾向にあることがわかります。また、複数回答のうち男性全体と比較してどの項目も美活男子が上回っていることから、美活男子は趣味を複数持っていることが考えられます。

　次に、世帯年収についてです。こちらでは、「800 万円未満」の年収を得ている世帯は男性全体の方が多いものの、「800 万円以上」の年収を得ている世帯では美活男子の方が多いことがわかりました。また、一ヶ月に自由に使える金額では「10 万円以上」と答えた男性全体が 9.9% なのに対して、美活男子は 28.4% でした。さらに貯蓄額では、男性全体で最も高い割合の項目が「貯蓄はしていない」の 42.2% だったのに対し、美活男子で最も高い割合の項目は「10 万円以上」で 17.2% でした。以上のことから、美活男子はお金にゆとりがあることがわかりました。

　また、身だしなみ?ケアに関する調査では、「メガネ」の項目のみ男性全体が美活男子を上回っているものの、「入浴剤?バスジェル」や「デンタルリンス?洗口液」、「制汗剤」などの項目は美活男子が上回っていました。美活男子は見た目だけでなく匂いなどにも気を遣っていることがわかります。

　また、SNS の利用目的について、男性全体では「友人?知人?家族などとコミュニケーションをとる」が 34.3% と最も多く、美活男子では「自分の趣味?関心事に関係する情報を投稿する」が 34.7% と最も多かったです。このことから、男性全体では相手のために SNS を利用し、美活男子は自分をアピールするため、自分のために SNS を利用していることがわかります。

　生き方や価値観のグラフを見てみても、「自らを磨くための投資は必要だと思う」という項目で男性全体が 41.9% だったのに対して、美活男子は 57.5% でした。そのため、美活男子は自分の理想に向けて日々努力を重ねていることがわかります。

　最後に 2015 年調査時と比較すると、2015 年の構成比が 20 代、30 代、40 代なのに対して、今回の 2020 年の調査では 20 代、30 代、60 代と年代が高くなっていました。また、「平均世帯年収」、「平均個人年収」、「平均お小遣い」のいずれも 2020 年の調査の方が上であり、美活男子の生活に更にゆとりができていることが分かります。

　本調査の結果から、美活男子はアクティブかつトレンドに敏感であり、仕事もプライベートも理想を目指して努力をし、生活にゆとりのある傾向にあることがわかりました。美容というのはある程度仕事や金銭面などに余裕がないと目を向けられないため、このような結果になったのではないかと思いました。

　美活男子が増えている理由として、韓国アイドルブームや男性の美容系 YouTuber の存在などがあげられます。ジェンダーレスの意識が高まる中で、今後さらに美活男子が増加するのではないでしょうか。

　その他、調査の図表、詳細等につきましては下記の参考文献をご参照ください。

参考文献：
株式会社マクロミル（2018）
男性の美容に関する調査～「美活男子」は仕事もプライベートも自らをプロデュース～、市場メディア HoNote、
https://honote.macromill.com/report/20201022/
（最終確認日：2021/07/07）。