竹内ゼミ 「社会課題に関する生活者意識調査」の紹介
『女子目線』のデータサイエンス:「社会課題に関する生活者意識調査」の紹介
※行動計量学ゼミ(竹内ゼミ)では、女子目線で気になった統計調査?統計データを読み取り、現代社会の動向?傾向を紹介していきます。
第 16 期生 亀井栞
近年、インターネットに触れた最初の世代であるミレニアル世代や生まれた時からインターネットが存在したジェネレーション Z 世代など、世代ごとの特徴が注目されています。そして現在、Z 世代の次として、物心つく前からスマートフォンに囲まれて育ったジェネレーションアルファ世代が誕生しています。これらの世代によって、物事の考え方はどれくらい異なるのでしょうか。この疑問を踏まえ、今回は、株式会社マクロミルが行った「ミレニアル世代は貯金意識が高く、投資や資産運用に興味あり?消費意識やお財布事情などを調査」について紹介します。本調査は、株式会社マクロミルが 2018 年 8 月 20 日から 2018 年 8 月 21 日にかけて、全国のマクロミルモニタ会員 15 歳-53 歳の男女を対象としたインターネットリサーチ調査です。
世代の分類については、ジェネレーション Z 世代が 15-24 歳、ジェネレーション Y(ミレニアル)世代が 25-38 歳、ジェネレーション X 世代が 39-53 歳と分類しています。自分のためにお金を使っているものについて、「外食?食費」という回答は、全世代で80% を超え、「ファッション?美容?インテリア」でも60-70%を超える回答がみられ、どの世代も同じような傾向が見られました。しかし「投資?貯金」の回答に関しては、Z 世代と X 世代が 45% 程度のところ、ミレニアル世代では、60% と他世代より 15 ポイントほど多い結果となりました。ミレニアル世代は、他の世代より投資?貯金意識が高いと考えられます。次に、貯金、自己投資、投資?資産運用の実施率に関して、「自己投資(勉強?資格など)」の回答では、どの世代も 10% 台の同じような回答が見られました。「貯金」の回答でも Z 世代が 38.2%、X 世代が 37.0% という同じような結果ですが、ミレニアル世代では 54.7% という回答がみられました。貯金の意識だけが世代で変化していることがわかります。
そして、世代別のお財布事情について、「ひと月あたりの平均的な貯金額」は、Z 世代は 1 万 5 千円、ミレニアル世代と X 世代では 2 万 5 千円という回答が得られました。「ひと月に使える自由な金額」と「ひと月にプライベートで使う平均的な金額」などの項目では X 世代が多い結果となりました。お財布事情に関しては、学生の多い Z 世代は基本的に金額が少ないことから世代ごとの社会的属性が関連していると考えられます。
続いて、買い物時SNS の情報にどのくらい影響を受けるかに関して、「かなり影響を受ける」、「まあまあ影響を受ける」の回答では、年齢が若い時に SNS が普及した Z 世代、ミレニアル世代、X 世代の順に大きい結果となりました。これらからは、生まれた時のインターネット環境によって異なるということが考えられます。
本調査の結果から、お財布事情や SNS の購買への影響は、世代の社会的属性や若い時からのインターネット環境によって意識が異なることがわかりました。一方、ミレニアル世代の投資?貯金に対する意識の強さについて、前述と同じような、ミレニアル世代の 25-38 歳という年代的に、結婚や育児に当たるため、今後のためにお金を貯める人が多いのではないかと考えられます。またミレニアル世代が生まれた時代には、バブル崩壊後の景気が低迷した時代やリーマンショックが起きた時代と重なっているため、経済情勢などの時代の背景に影響を受けていると考えられます。このように、世代の意識の違いは、幼少期からどのような社会背景を過ごしてきたかで、お金の使い方のみならず、世代ごとに変化するのではないかと思いました。
その他、調査の図表、詳細等につきましては下記の参考文献をご参照ください。
参考文献:
株式会社マクロミル(2018)ミレニアル世代は貯金意識が高く、投資や資産運用に興味あり?消費意識やお財布事情などを調査、市場メディア HoNote、
https://honote.macromill.com/report/20181002/
(最終確認日:2021/04/26)。