館員のお薦め本紹介
図書館の職員がお薦めする本を紹介します【日野?渋谷】
図書館の職員がお薦めする資料を毎号2点、紹介します。
図書館の所蔵情報も入れておきますので、ぜひ、借りて読んでみてください。
「謎解き 洛中洛外図」/ 黒田日出男著 岩波書店 ,1996.2(岩波新書;?435) 大塚宏昌
「洛中洛外図」とは、戦国時代から安土桃山時代までの京都の市中および郊外の景観を描いた1双の屏風絵図です。
「洛中洛外図」は数多く存在しますが、本書の中心となるのが、織田信長が狩野永徳に描かせ、上杉謙信に贈ったと伝えられている「上杉本 洛中洛外図」です。
この屏風絵図を巡って、推理が展開されます。
この絵図に描かれた当時の神社や寺院、人々の景観から、それがいつ頃制作され、作者は誰なのか、誰が上杉謙信に贈ったのかという疑問を解き明かして行きます。
それは、研究者の立場から、当時の史料とを地道につき合わせ、美術史、建築史、風俗史などの視点で読み解くという方法をとっています。
当時の絵画が、歴史資料として研究対象になることへの驚きを感じると共に、描かれた絵画を「観る」のではなく、「読み解く」という行為によって、真実は何かを探求する著者の筆致は、歴史好きならずとも、読む者を安土桃山時代へ誘います。一読をお勧めする1冊です。
図書館所蔵情報
日野 |
ブラウジング |
080/I95/435 |
渋谷 |
3F新書 |
291.62/Ku72 |
「塩狩峠」/ 三浦綾子著 内藤 尚
みなさん(学生の方)は、本を読んで泣いたことはありますか?
今回は、私が本を読んで初めて涙があふれるほど感動した作品をご紹介します。
今から30年程前当時大学生だった私は、週末にぶらりと神田や御茶ノ水にある古本屋へ行っては
興味が湧きそうなタイトルの本を買って、クラシカルなカフェの少しやれたソファーに腰掛け、
コーヒーを飲みながら本を読んで過ごす時間が好きでした。
そんな時に出会った1冊が「塩狩峠」でした。
この作品は1909年(明治42年)に塩狩峠(北海道)で実際にあった列車事故をもとにした小説です。
著者の三浦綾子は北海道旭川市出身でクリスチャン、実在した鉄道職員の主人公も信仰に熱心なクリスチャンでした。
主人公が鉄道職員として純粋に「人を助けなければ」という、自己を犠牲にしひたむきな思いで、多くの人命を救助したところに心打たれました。
一読する価値のある本です。
図書館所蔵情報
日野 |
B1洋図書 |
Shiokari Pass / Ayako Miura ; translated by Bill and Sheila Fearnehough . - Rutland, Vt. ; Tokyo : C.E. Tuttle Co. , 1987 . - (Tut books ; L) 895.63/M68S |
渋谷 |
B1 和図書 (A-C) |
井戸 ; 足 ; 塩狩峠 ; 積木の箱 / 三浦綾子著 . - 東京 : 主婦の友社 , 1991.8 . - (三浦綾子全集 / 三浦綾子著 ; 第2巻)918.68/Mi67/2 |
渋谷 |
B1 和図書 (A-C) |
塩狩峠 ; 岩に立つ / 三浦綾子著 . - 東京 : 朝日新聞社 , 1983.6 . - (三浦綾子作品集 ; 9)918.68/Mi67/9 |
渋谷 |
2F 文庫 |
塩狩峠 / 三浦綾子著 . - 東京 : 新潮社 , 1973.5 . - (新潮文庫 ; 2131, 草162A) B5/Mi67 |