生活環境学科 住環境デザイン分野3研究室の学生が、 部室棟から茶室に続く新たなアプローチをつくりました!(9/9)
設計はもちろん、資材の下準備や施工も学生たちの手で
2023年9月9日、学生たちの手によって日野キャンパス体育館横の部室棟から茶室(無我荘)に至る新たなアプローチ(通路装飾)が完成しました。
担当したのは、生活科学部 生活環境学科 住環境デザイン分野の3つの研究室(空間デザイン研究室、環境デザイン研究室、建築デザイン研究室)に所属する30名の3年生です。
このプロジェクトは2023年6月にスタート。どのようなデザインにするか学生たちがアイディアを出し合ってまとめ、設計図や模型の製作を繰り返してデザインを煮詰めていきました。デザインが固まった後は資材の準備。木材1本1本を磨いたり塗装したりといった作業も自分たちで行いました。
施工を開始したのは9月1日。体育館や部室棟のコンクリート壁に木材の下地を渡し、そこに約500本の木材を設置していきました。始めのうち、学生たちは慣れない作業に戸惑っていましたが、繰り返すうちに効率よく進められるようになり、あらかじめ木材の途中まで釘を打っておくグループと、木材を下地に釘打ちして固定するグループに分かれるなど、スピーディに作業を行うための工夫も編み出していきました。
そして新たなアプローチが完成!木材のルーバーが波状に配置されたアプローチには照明も組み込まれ、体育館横から部室棟、茶室へと移り変わる景観を楽しみながら歩んでいけるデザインとなりました。
担当した学生のコメント
学生たちから出されたアイディアを1つにまとめ、「和」をコンセプトにデザインを練っていきました。デザインが確定するまでに何度もディスカッションして、修正が入るたび設計図を描き直したり、模型をつくって仕上がりのイメージを確認したりという工程も大変でしたが、予算とのバランスを図るためにデザインを調整する作業にも苦労しました。施工に向けた資材の準備や、木材の釘打ちといった建築作業など初めてのことも多かったですが、試行錯誤を繰り返すうちスムーズに進められるようになっていきました。
今回つくったアプローチは、数種の長さのルーバーを用いて波のように動きを出していることや、各部の名称サイン(看板)を設置する和紙状樹脂の後ろに人感センサー付き照明を設置することで、どの部の部屋なのかをわかりやすくしていること、また、それを地面に近い壁面に設置して歩みを進めるごとに足元が照らされるように設計してあることがポイントです。歩くことが楽しくなる空間にすることを目指しました。
これまで研究室の活動で設計などは行ってきたけれど、身体を動かして建築作業までするのは初めてのこと。イメージしたものを自分の手でカタチにしていく作業はとてもエキサイティングでした。30人もの仲間と力を合わせる経験も楽しかった。設計はもちろん施工についてもさらに学びを深めて、今後の研究活動に活かしたいです。
(加賀美愛真さん、笠井空夏さん)
橘弘志教授(空間デザイン研究室)コメント
たくさんの学生が参画しそれぞれにつくり上げたいイメージがあったので、それらを取りまとめて1つの設計に落とし込むのは大変だったと思います。仕上がりを美しくするために木材の下準備を丁寧に行う必要があったり、施工が始まると木材の配置にズレが生じるといった想定外のことが起こるなど苦労するシーンは多々あったと思いますが、そのたびに学生たちは課題に向き合って解決策を考えながら乗り越えていました。ひとたび社会に出ると、次々と課題が生じるのはよくあること。学生時代にそうした経験をしたことは、今後役立つのではないでしょうか。
完成したアプローチは部室棟や茶室の雰囲気にマッチしており、木の色合いも温かみがあって良いと感じます。自分たちがカタチにした作品が今後多くの方に利用される経験は貴重であり、学生たちの自信にもつながるのではないかと考えます。
槙究教授(環境デザイン研究室)コメント
設計からさらに踏み込んで施工まで自分たちで行う、まさに「身体を動かして修得する」機会となりました。資材の下準備や施工も初めのうちは慣れない様子でしたが、仲間同士や先生方、職人の方々とコミュニケーションを図りながら手を動かし、次第に上達していった。実際の仕上がりをイメージし、チームに分かれて役割分担をするなど工夫をしながら進めていく様子に成長を感じました。
生活環境学科 住環境デザイン分野ではこれからも、机上で設計などを行うだけでなく、今回のように「実際にやってみる」アクティブ?ラーニングやPBL(課題解決型学習)の機会を積極的に用意していきたい。プロフェッショナルなど社会で活躍している方や地域の方を巻き込むプロジェクトも行い、社会に接して実践力を高める学びを提供していきたいと考えています。
内藤将俊教授(建築デザイン研究室)コメント
設計の段階から、デザインの美しさや機能性はもちろん、準備のしやすさや施工計画の立てやすさにも配慮するように学生たちに伝えていました。今回は予算も明確に提示していたため、その範囲の中で自分たちがカタチにしたいものをどれだけ実現できるかにも苦労したことと思います。迷うたび、図面を描いたり模型を組み立てている様子に真摯さを感じました。
完成したアプローチは、プロフェッショナルにも負けないレベルに仕上がったと思います。部室棟を貫く通路が暗いことが従来の課題でしたが、今回は「暗さを活かす」デザインになっており、人感センサーを搭載した足元照明を効果的に設置することで茶室へと誘う動線の実現にも成功しました。
建築は利用者のために行うもの。学生にとって今回のプロジェクトは、自分がつくった空間に足を運んで楽しんでもらう喜びを体感する機会になったのではないかと思います。