日野市に「(仮称)子ども包括支援センター『みらいく』」のロゴ案を 本学の学生がプレゼン!(2/1)
2月1日(水)、日野市役所本庁舎で「(仮称)子ども包括支援センター『みらいく』」のロゴ?字体の制作過程における意見交換会」が開催されました。日野市からは大坪冬彦市長、波戸尚子副市長をはじめ、子ども家庭センター長の正井暢子氏ほか子育てひろばの関係職員らが出席。本学からは、ロゴのデザインを担当する生活環境学科の学生2名、学生のアドバイザーを務める名誉教授(生活環境学科)の髙田典夫先生のほか、槙究副学長、周東正紀キャンパス計画室部長が参加しました。
学生たちはこの場で準備したロゴのデザイン3案をプレゼンし、出席者からの質疑に答えるかたちで意見を交換しました。
「(仮称)子ども包括支援センター『みらいく』」とは
本学園と日野市が2017年に締結した「子育て支援に関する連携協定」に基づき、日野市に無償貸与している神明キャンパスの一部に「(仮称)子ども包括支援センター『みらいく』」(以下、「みらいく」)が新設されます。子ども?家庭?地域の子育て機能の総合支援拠点として足球现场直播,大发体育在线6年度初め頃にオープン予定で、日野市民の公募により「みらいく」という名称が決定しました。この名称には、「こどもの、『未来』を支援する」「身(自分?Me)Like →自分を好きになる」「未来を育む」といった意味が込められています。
本学は日野市からの要請を受け、アドバイザーである髙田先生のもと生活科学部生活環境学科の学生2名が「みらいく」のロゴの制作を担当することに。「みらいく」に子育てひろばを設置するためのワークショップには、生活科学部生活文化学科の井口眞美准教授、大澤朋子専任講師と生活文化学科幼児保育専攻の学生が参加するなど、日野市と連携した取り組みを進めています。
個性豊かなデザイン3案を学生がプレゼン!
昨年11月9日のキックオフミーティングを皮切りに始動した、「みらいく」のロゴ制作プロジェクト。昨年11月18日に行われたアイデア出しのミーティングで、「見る人にとっていかようにも読み取れる、広がりのあるロゴマークに」と髙田先生からアドバイスを受けた学生たちは、10点を3点に絞り込んでデザイン案を再考。仮称「もじあゆ」「ハンマーむすめ」「two face」の3案を提案しました。
一つ目の「もじあゆ」は、日野市内を流れる川に遡上することで有名な魚「アユ」をモチーフにしたもの。川上りの際、流れに逆らって飛び跳ねるアユを、困難に立ち向かう者の象徴として捉え、2匹の鮎が投網(あるいは波)から飛び出す様子を描いています。アユのイラストは、「みらいく」のひらがなを組み合わせて構成し、投網(あるいは波)の部分は「みらいく」の文字をハーフトーンのように使って表現。「『みらいく』を通じて未来を切り開き自分を好きになる」「利用者自身が『みらいく』を形作っていく」という意味を込めています。
二つ目の「ハンマーむすめ」は、ハンマーを手にした子どもが印象的なデザイン。ブロック同士の隙間を「みらいく」の抜き文字として見せながら、子どもが「みらいく」を越えて成長していく姿を描いています。子どもが持つハンマーは武器ではなく、モノを作ったり直したりするときに使う道具。子どもに関する負の側面や、従来のシステムを壊して直す、あるいは何か新しいものを作り出していくというメッセージを込めています。
最後の「two face」のコンセプトは、その名の通り「2つの顔」。よく見ると、ロゴマークの左側には横顔、右上にはもう一つの顔が浮かび上がります。これまでの子育て支援の在り方を見直し、「みらいく」を通じて市民とより良い関係を築いていこうとする日野市の姿勢を、過去の人物と新たに生まれ変わる人物、その2つの顔で表しています。また、常に変化していく感情を3つの空の色(青=青空、黄=日の出、赤=夕焼け)になぞらえ、これから始まる「みらいく」の変化を示しています。とろりとしたロゴマークの形状は、「どんな形にも変化しその場になじむ」「どんな人にも寄り添う」というイメージの象徴です。
最初は緊張した面持ちだった2人ですが、時には笑いを誘う優れた話術でプレゼンを展開し、出席者から大きな拍手を受けました。
さまざまな立場から寄せられた意見を今後のデザインに反映
出席者からは、学生たちに対してさまざまな質問や意見が投げ掛けられました。
デザイン全般については、「どの案からも、既存のアイデアにとらわれないチャレンジングな印象が伝わってきた」「看板として活用していくことを考えると、視認性に注意が必要」といった指摘がありました。
それぞれのデザインについてはとりわけ多くの質問?意見があり、「ハンマーむすめ」に対しては、「少女の表情をもっと明るくしてはどうか」「抜き文字で『みらいく』と見せようとしているというが、読み取ることができなかった」「簡単に『みらいく』と読ませないところに面白さがあり、トリックアートのようで楽しい」「中高生の興味を引くキャッチーさがある」などの声が上がりました。
「もじあゆ」については、「もっとアユを前面に押し出したデザインにしてもいいのでは」「投網(あるいは波)を表す『もじあゆ』の文字が、印刷サイズによっては読めなくなりそうで心配」、「two face」には、「人に寄り添って形を変えるというコンセプトが良い」「親御さん世代にも支持されそうなデザイン。癒やしを感じる」といった意見が出ました。
また、「ロゴを見ただけでは伝わらない、デザインの裏にあるストーリーを発信できる場を設けてほしい」「パッと見ただけで市民に愛されるようなロゴにしてほしい」「『もじあゆ』『ハンマーむすめ』といった名前も、ロゴと一緒に展開したい」といった、ロゴの運用に関する要望も寄せられました。
参加者から激励の言葉も。完成へ向けて取り組みを継続
プレゼンを終えた学生たちに対し高田先生は、「プロジェクトが始動してから、毎週のように学生たちと議論を交わしながら進めてきた。その中で、一貫して学生に伝えてきたのは『物語をつくる』ということ。既に形があるものではなく、これから歴史を重ね、変化しながらつくり上げていく施設のロゴなので、準備段階で内容が変わっていくことは決して悪いことではなく、むしろ望ましいことだと話した。結果的に面白いアイデアが出てきたと思う」とコメントしました。
波戸副市長は、「髙田先生がおっしゃる『物語』を大切にしながらデザインしたことが伝わってきた。誰からも愛される、共感される施設としての『みらいく』の象徴となるロゴにブラッシュアップしていただきたい」と述べ、槙副学長は、「このような機会をいただけてありがたい。今回制作するロゴが何年も残っていくものになると考えるとうれしい。背景にある物語も含め、後世に語り継がれるものとなってほしい」と期待を寄せました。
今後は、子育てひろばを利用する子どもや、子育てひろばのワークショップの参加者たちにも意見を募った上で、決定したデザイン案をブラッシュアップしてロゴの完成を目指します。
学生のコメント
日野市がどのような思いから「みらいく」新設に取り組んでいるのか、その点を最も重視してデザインを考えました。キーワードは「変化」。施設としての「みらいく」の変化はもちろんのこと、子どもたちの成長にともなう変化、感情の変化をデザインに組み込んだつもりです。
プレゼンの準備は、何度もリハーサルを繰り返すなど入念に行い、話す内容はすべて暗記して臨みました。聞く人を飽きさせないものにしたいと考え、できる限りスライドからテキスト要素を排除し、話している内容に注意を向けてもらえるよう工夫しました。これほどたくさんの方が参加されるとは思っておらず、驚くと同時に緊張もしましたが、和やかな雰囲気の中、無事に発表を終えることができてよかったです。
今回提案した3案は、どれもコンセプトの背景にあるストーリーが異なり、私たち自身、どの案にも愛着をもっています。3案それぞれ評価してくださる方がいらっしゃって、意見が割れていた点が興味深かったです。「わかりづらい」「わかりづらさが面白い」と、逆の意見をいただいたのも印象的でした。「見る人にとっていかようにでも読み取れる、広がりのあるロゴにしたい」という私たちの狙いが、きちんと伝わったからだと捉えています。
また、当事者ならではの貴重なご意見をたくさんいただくことができ、大変参考になりました。学内では「もっと鋭さのあるデザインでもいいのでは」といった声もありましたが、やはり実際にロゴを運用される立場の方には違った視点があるのだと気付かされました。今後は、いただいたご意見を踏まえ、利用者目線を意識しながらより良いロゴを作り上げていきたいと考えています。