クロアチア駐日大使のドラジェン?フラスティッチ夫妻が10月8日(土)、常磐祭開催で賑わう本学渋谷キャンパスを訪問しました。本学とクロアチア大使館の交流事業の一環として初めて行われ、大使夫妻は本国の歴史や文化、伝統工芸の刺繍作品などを学生や来場者に紹介。溢れんばかりのクロアチアの魅力を知る格好の機会となりました。
英語の講義に耳を傾ける
フラスティッチ大使夫妻によるクロアチアの講義は、国際観光研究部の常磐祭ブース710教室で実施されました。講義は全て英語で行われ、武内一良短期大学部長(国際観光研究部顧問)の日本語通訳を交えながら進行。ブースに集まった約20人の学生や来場者が耳を傾けました。
大使夫妻の講義は、ドラジェン?フラスティッチ大使の歴史と文化の解説(30分)に続き、ブラジェンカ夫人がクロアチア伝統工芸の刺繍作品を説明(30分)するスタイル。これらを1クールとして構成し、午前11時からと午後1時30分から各1時間、2クールで行われました。
建造物や雄大な自然など世界遺産で観光客を魅了
このうち、ドラジェン大使はクロアチアの地理と歴史、文化を写真や動画を用いて紹介しました。
大使によると、クロアチアは東欧と西欧の民族が古来、目まぐるしく行き来する要衝に位置し、固有の歴史や文化が育まれてきたと語りました。中でも、街全体がユネスコ世界遺産に登録されたドブロヴニク旧市街に象徴される歴史的建造物や、世界で最も美しいプリトヴィッツェ湖群国立公園に代表される雄大な自然が、多くの観光客を魅了してきたと強調。加えて、治安の良さも観光にはプラスになっているとアピールしました。
ブースの来場者は、大使が操作するスライドを食い入るように見つめ、写真や動画が示すクロアチアの魅力に引き込まれていきました。
一方で、大使はクロアチアが経験した苦難の時代にも触れました。強調したのは、セルビアからの独立戦争や悲劇的なユーゴ紛争の歴史など……。大使自身も戦争に従軍したことがあると語り、熱のこもった講義が続きます。
講義後の質疑応答では、学生からの質問が飛び交い、クロアチアの首都ザグレブで訪れるべき観光名所や大使おすすめの飲食店も話題にのぼりました。
家庭で引き継がれる伝統工芸
続いて披露されたのは、ブラジェンカ大使夫人による刺繍作品です。クロアチア刺繍といえばレースが有名ですが、ハンドメイドによる本物のレースの刺繍は素人が作れるものではないので、ここでは誰でも作れる馴染みやすい紙を土台とした刺繍を紹介しています。紙に穴を空け、糸を縫い付けるシンプルな仕組みであり、母から娘、娘から孫へと各家庭に引き継がれてきた伝統工芸です。紙と糸の色が違えば同じデザインでも全く違う作品に見えるところに面白さがあり、作り手のセンスが問われると大使夫人は強調しました。
また、ブラジェンカ夫人は、「日本でも何度も、各地でクロアチア刺繍の展示会を開いる」などと語り、中でもオンドリをモチーフにした作品が、ホテルオークラ東京ベイ(千葉県浦安市)に飾られていたこともあるそうです。
日本の生け花師範の免許も持っており、花を題材にした作品も多数あるとか。夫人に今後挑戦したい作品のモチーフを尋ねると「桜を作りたい。ずっと日本の桜に興味を持っていたので…」と応じました。
地震見舞金が交流のきっかけ
今回の大使の来訪は、本学とクロアチア大使館の交流事業の一環として行われました。大使夫妻が本学を訪れるのは今回が初めてとなります。
交流のきっかけは、2020年に起きたクロアチア大地震。本学が大使館を通じてクロアチアに贈った見舞金が縁で、コロナ禍を経て、難波雅紀学長が7月15日(金)、東京?広尾のクロアチア大使館を訪問しました。その際に本学とクロアチア大使館の交流事業について話し合われました。
取材メモ
今回の取材がきっかけで、大学1年生の夏、初めて友達と2人で行った海外旅行を思い出しました。場所はシンガポール。英語での受け答えにドギマギしながらも、異文化に触れて見聞が広がりました。今も鮮明に記憶が残る、良い思い出です。
あれから3年。コロナ禍で海外へ旅行に行く機会が遠のいていましたが、大使によるクロアチアの講義を受けて、異国に行きたいという意欲が沸々と湧いてきました。次は自信を持って英語でやり取りができるように、外国語学習を頑張りたいと思います。