東京都日野市の食育推進の在り方を考える特別講義が12月17日(金)、食生活科学科健康栄養専攻の「ライフステージと食育」の授業で実現しました。本学卒業生で日野市健康課に勤める我妻直子さんを講師に招へい。我妻さんが同市の食育推進計画をレクチャーした上で、学生らが次期計画案に対して意見表明を行うパブリックコメント(パブコメ)について学びました。
パブリックコメントは、市が施策などを策定する過程で施策の趣旨や目的などを公表、市民などから意見を募る手続きです。市内の学校に通う学生にも応募資格があり、今回授業の一環として食の専門家を目指す食生活科学科の学生がトライしました。学生に限らず、寄せられた意見に対し、日野市が見解を回答したり、計画への反映方針を述べたりします。
日野市は「学校栄養士の数が充実」
パブコメの説明に先立ち、我妻さんが日野市の食育の取り組みを紹介。併せて、次期推進計画の目的や基本目標などを説明しました。それによると、新計画は足球现场直播,大发体育在线4~8年度の5カ年で実施。「市民」と「市」、「関係者?各種団体」を連携して進めることを基本に、①食からの健康づくり②食を通じて、豊かな心?食の循環を通し、食に向き合う意識—の3つの基本目標の実現を目指します。
このうち、次期計画の重点目標に掲げたのが、「食からの健康づくりの推進」です。具体的には、▼ライフステージに応じた健全な食生活の実践▼食の安全?安心に対する理解—を柱に、施策を展開。例えば、フレイル予防のため低栄養についての普及啓発を行ったり、災害時に備えた食料備蓄の周知啓発を行ったりします。
また、我妻さんによると、日野市は食育条例(2009年4月1日施行)を定めており、「全国的にも珍しい市町村の一つ」とか。学生に対し、「日野市は他の地域に比べ、学校栄養士の数が充実している。」などと強調しました。
その上で、学生らは次期計画にあたる第4期日野市食育推進計画(素案)のパブリックコメントについてレクチャーを受けました。不断の努力で学んだ専門的知識を活かして、日野市の食育へ意見表明を試みます。提出締め切りは、年明け1月14日。提出が必須というわけではありませんでしたが、多くの学生が熟考を重ねて考え抜いたコメントをメールで日野市宛に送りました。
転職して公務員、「上手くいかなくても努力しよう」
この間、学生から我妻さんへの質疑応答も行われ、現職の仕事内容や就職活動に関する質問が多数寄せられました。その中で、我妻さんは新卒時代の就職活動、民間から転職を経て公務員になった自身のキャリアを振り返り、学生にアドバイス。「上手くいかなくても、努力しよう。栄養士は生涯勉強することが大切」などと、これから就職活動本番を迎える3年生にエールを送りました。
健康栄養学専攻では、栄養士養成課程としての科目のほかに、食育群という科目があります。その科目群の中の一つが、本授業の「ライフステージと食育」という科目です。食育の勉強をする際に、まず理解しておかなければならない基本事項が、食育基本法、国の食育推進基本計画国や自治体の食育推進計画などの施策です。今回の授業では、食育の施策の基本となる食育推進計画の作成過程に携わることで、食育について深く勉強することができました。
取材メモ
私は小学生の頃、学校給食で地元の郷土料理「きりざい」を初めて食べました。その美味しさがきっかけで、地元の食文化がいかに魅力的かを知りました。今振り返っても得難い思い出です。行政の食育活動を通して私たちの食生活も豊かになっています。今日の講義を受けて、これからも行政の取り組みに目を向け、社会の一員として自分の意見を持ち発信していきたいと感じました。