2024年度新入生へ 式辞?祝辞
実践女子大学
学長 難波 雅紀
春光を浴びた緑まぶしい季節となりました。
新入生の皆さん、入学、誠におめでとうございます。皆さんをお迎えできたことを大変嬉しく思います。教職員一同、心から歓迎したいと思います。
ご家族ならびに関係者の皆様におかれましては、喜びもひとしおのことと拝察いたします。これまで力を尽くされたことに敬意を表するとともに、心からお祝いを申し上げます。本学に託された思いをしっかり受け止めたいと存じます。
実践女子大学は、日本における近代女子教育の先駆者だった学祖下田歌子が1899年(明治32年)に設立した、実践女学校?女子工芸学校を前身とします。
明治という時代、日本の女性の社会的な地位は低く、その生活や労働は厳しいものでした。下田歌子は、ときの明治政府から命を受け、2年間、イギリスを中心に、欧米8か国を歴訪しました。そこで先進諸国の女子教育をつぶさに視察した下田は、日本では女子教育が立ち遅れていること、女子教育こそが日本の近代化と女性の社会的地位の向上には重要であることを確信します。そして、帰国後、下田は、「女性こそが社会を動かす」という強い信念のもと、本学を設立しました。
以来、本学は、今日までこの信念を脈々と受け継ぎ、「女性が社会を変える、世界を変える」を建学の精神に、「品格高雅にして自立自営しうる女性の育成」を教育理念として掲げ、数多くの人材を社会に送り出してきました。そして、本日、入学を迎えた皆さんは、本学の歴史に新しいページを刻むことになるわけです。
さて、世界では、現在、貧困や紛争、難民、人権の抑圧、環境破壊など、国際社会全体に係わるものとして協力して取り組むべき課題が山積しています。日本に目を向けてみるならば、少子高齢化による人口減少が加速し、労働環境における人材不足や介護問題が浮き彫りになっています。自然災害が多発している事態も、決して看過することはできません。
社会や経済の有り様が地球規模で連動し、広範にわたって構造的な変容を遂げつつある、こうした多様で流動的な現代を生きるためには、いったいどんな力が必要なのでしょうか。今述べたような課題を自らの問題としてとらえ、身近なところから取り組むことで、その課題解決につながる新しい考え方や行動を生みだせる力が求められているのではないでしょうか。
そのために、幅広い教養や深い専門性に加えて、課題発見?解決能力、外国語運用能力、異文化に対する理解、論理的思考力や判断力など、AIには代替できない能力?態度を身につけることは重要です。しかしながら、そうした能力?態度は、実践してみなければ生きた力にはなりません。試してみるという主体性、行動力がものを言うわけです。
そこで、皆さんに期待したいのが、物事に熱中し、やり遂げるという経験です。物事に熱中することは、自分が何者なのかを見つめ、自分らしさを発見することでもあります。物事をやり遂げることは、自分らしさを貫いて自信を深めることに繋がっていきます。そして、自信を深めることは、次に何かを試してみるという主体性、行動力を育んでいきます。
勉学はもちろんのことですが、サークルやボランティアなど、いろいろな活動に熱中し、それらをやり遂げてみませんか。そして、学生時代だからこそできる新しい経験をたくさん積んでみませんか。
イタリアのルネッサンスを代表する芸術家レオナルド?ダ?ヴィンチは、「知恵は経験の娘である」という言葉を残しています。また、アメリカの作家ジョン?アーヴィングは、小説『ガープの世界』の中で、「人間は何かを最後までやり、また別のことを始めることによってしか成長しない」、と主人公ガープに言わせています。経験が知恵という生きた力を生み、それが皆さんの自信を深めてくれる。そして、自信が培う主体性、行動力によって、皆さんは新たな経験を積み、成長していく。その結果、皆さんは、持続可能な未来をつくり、維持していく中での自分の役割を果たせるのだと、私は信じています。
本学では、全学的な個別支援体制によって、学生ひとりひとりの個性を大切にした支援を行っています。皆さんが物事に熱中し、やり遂げる経験をとおして自信を深め、成長を実感できるよう、教職員一同、様々な面からサポートしていきます。そのことを誓って、式辞の結びにしたいと思います。
2024年4月吉日
学校法人実践女子学園
理事長 木島 葉子
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。学校法人実践女子学園を代表いたしまして、心からお祝いを申し上げます。また、保護者の皆様、並びにご家族の皆様にも、重ねてお祝いを申し上げます。
皆さんが、本学を選んだ理由は、「学びたいことが実践女子大学にあった」「実践女子大学に入学したかった」「本当は、他大学が第一志望だった」などと、様々だと思います。
私は、本学の卒業生ですが、入学理由は、3つ目に記載した「本当は、他大学が第一志望だった」でした。ただ、大学に進学できることに喜びを感じるとともに、自分の心が動いた「やってみたい!」ことを、とことんやってみたことで、とても充実した4年間となりました。
振り返ると、やってみたいことを見つけられたのは、先生はもとより、先生と私たち学生の架け橋になってくださった助手のみなさんの存在があったからこそだと思います。本学の先生方は、とても穏やかで、私たち学生に寄り添い、授業の中で興味を引き出してくださいました。助手のみなさんも親身になって私たちのサポートをしてくださいました。
入学をしたきっかけや理由に正解はありません。
せっかく入学した実践女子大学を余すことなくふんだんに活用し、充実した4年間を満喫してください。
本学は、国内のみならず海外の大学や、企業と連携することで、多様な人と学べる機会が充実しています。
皆さんは、「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
私は、一昨年まで企業で役員として、「ダイバーシティ推進」を担当していました。なぜ、多くの企業はダイバーシティ推進を旗印にして経営を進めるのでしょうか。
これまでの当たり前が、通用しなくなるのがこれからの世の中です。多様化するお客様のニーズを的確にとらえ、迅速に対応していく必要があります。それには、ジェンダーを含む多様な属性、多様な感性?能力?価値観?経験などを持った人材が能力を最大限発揮できる風土を作り、意思決定の場に多様性を持たせることが、競争優位につながるからです。
本学は、今から100年以上も前に、近代女子教育の先駆者である下田歌子の「女性が社会を変える、世界を変える」という建学の精神のもと、1899(明治32)年に創立されました。
皆さんが創立者の志を受け継げるよう、環境変化に即した教育を時代に先駆けて創造すべく、「社会連携」や「グローバル」を意識した新しい教育プログラムのさらなる充実を図っています。
皆さんのキャリアの選択肢もますます多様になっていくと思います。当然のことながら、企業で働くことだけが、社会で活躍することではありません。自分がやりたいこと、自分のためになることを見つけて、本気で取り組んでいくことが大切だと思います。授業のみならず、課外活動にも積極的に参加し、ぜひ、本学で「やりたいこと、やってみたいこと」を見つけ、何事にも「主語は自分」そして「実践してみる」。自分のキャリアを描く力を身につけ、自らチャンスをつかんでいってください。
皆さんの「実践」を、私を含め教職員が一丸となり、全力を尽くしてサポートしていきます。
本学での「実践」を通じた皆さんのこれからの活躍を祈念し、お祝いの言葉といたします。
2024年4月吉日
実践女子大学 実践女子大学短期大学部後援会
会長 和田 泰彦
2024年度 実践女子大学 新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。また、今日まで新入生の皆さまを支えてこられたご家族、保護者の皆様に後援会を代表して心よりお祝い申し上げます。
ここに晴れて入学の時を迎えられた皆さまは、新たなスタートに当たり大きな期待で胸をふくらませていることと思います。これから皆さまは、本学での様々な教育機会をとおして、今まで気付かなかった才能がご自身にあることを発見するかもしれません。また、自分のやりたいことにめぐり会えるかもしれません。
近い将来に社会人となるご自身の姿を想像し夢に描き、必要な知識や経験を積んでいってください。そして本学で素晴らしい学友を得て、生涯の宝物とされますよう祈っています。そのために後援会では活動を惜しまず継続してゆきます。
さて、私ども後援会は1969(昭和44)年に設立され今年で55年目を迎える組織です。在籍する全学生の保護者の皆様を会員とし、学祖下田歌子先生の建学の精神のもと学園の教育理念遂行に協力し、学生の皆様が充実した大学生活を送ることが出来るように、大学と家庭(保護者)の懸け橋となるべく努めています。
その一つの方法として、年2回(8月?2月)学生生活や大学の教育活動やトピック、先生方のゼミ紹介などを盛り込んだ「後援会会報」を発行し、ご家庭にお届けしています。また、新入生の皆さまには入学をお祝いして、ささやかではありますが記念品を贈らせていただきました。他にも様々な学生の皆さまに有効な活動を種々臨機応変に行っています。
このような本会の活動は、役員の皆様のご尽力により運営されています。保護者の皆様には、後援会役員への就任のご依頼を申し上げることがございます。その折にはどうぞご協力くださいますようお願い申し上げます。
これからの4年間、皆さまが素晴らしい学生生活を送ることができるよう祈念し、2024年度新入生と保護者の皆様への祝辞とさせていただきます。
2024年4月吉日