2021年度卒業式 式辞?祝辞
式辞
実践女子大学?実践女子大学短期大学部
学長 難波 雅紀
うららかな春の日ざしに霞がたなびく季節となりました。ほほを伝わる風も和らぐ今日、卒業式を迎えることができました。修了生および卒業生の皆さん、修了、卒業おめでとうございます。お祝いを申し上げます。また、ご列席を賜わりました関係者の皆様にも、心から祝意を申し上げたいと存じます。
修了、卒業を迎えた皆さんは、コロナ禍にあって、修学、サークル活動、就職活動などで、今までとまるで異なる経験をしてきました。その中で、様々な学びをとおして、主体的に行動し、自ら課題を発見し、解決できる実践力を養ってきました。その結果、皆さんは、価値ある卒業を手にしたわけです。この事実は、皆さんにとって、これからの人生を支える自信になると私は確信しています。
また一方、コロナ禍の厳しい環境において、皆さんは、以前と違ったものの見方をしていると感じたことはなかったでしょうか。自分にとって本当に意味のあるものは何かを、見つめ直すことがなかったでしょうか。自分と向き合うことによって皆さんは、新たな価値を発見したかも知れません。
20世紀アメリカの詩人ミュリエル?ストロードは、新時代を生きる人々に向けて、「敷かれた道を進むより、道なきところに自ら道を築いて進め」と書いています。この言葉は、新たな視点に立って新しい社会を創造していく、21世紀の私たちへの励ましと受け取ることもできます。
学祖下田歌子は、「女性が社会を変える、世界を変える」という信念に基づいて本学を設立しました。私は、皆さんがこの建学の精神を受け継ぐとともに、本学で培った実践力と、コロナ禍をとおして得た新しいものの見方によって、社会を改革し未来を切り開いていくことを期待します。
さて、皆さんは、これからもたくさんの人と出会い、様々な経験を積んでいくことになりますが、出会いや経験の数だけ、味わう喜怒哀楽も多くなっていきます。誰かと喜びを一緒に分かち合いたい、誰かに悩みを分かって欲しいと思うことも多々あるに違いありません。そんな時、友だちであれ、家族であれ、心を開いて話を聞いてくれる他者の存在ほど大切なものはありません。そして、同じように他者である友だちや家族が皆さんに喜びや悩みを打ち明けるのも、皆さんが心を開き、それらを理解し、共感しようとするからです。皆さんもまた、他者にとっての大切な存在なのです。
人が他者に心を開けるのは、自分とは違う考えを受け入れ、他者の欠点や失敗を厳しく責めずに許そうとする、寛容の精神があるからです。21世紀はグローバル化とダイバーシティの時代です。どんなフィールドで活躍するにしても、多様性を認め、様々な価値観と共生できる力が不可欠です。その力を育むのも寛容の精神に他なりません。
「寛容こそ文明の唯一のテストである」と言ったのは、19世紀イギリスの作家アーサー?ヘルプスですが、今日、必要とされているのも、私たち一人一人の寛容の精神なのだと思います。私は、皆さん一人一人が、寛容の精神を持って他者との関わりを大切にしながら、自分の可能性を活かし、充実した人生を送ることを、強く願っています。その想いを餞に、式辞を結びます。
祝辞
学校法人実践女子学園
理事長 山本 章正
皆さん、ご卒業おめでとうございます。実践女子学園を代表して、心よりお祝い申し上げます。
本日、皆さんは本学を巣立ち、いよいよ自立や主体性の実践の場となる社会に踏み出す、節目の時を迎えました。
これから、社会人としての新たな生活が始まろうとしています。14年前のリーマンショックや今般のパンデミック、震災?台風などの自然災害や会社の浮き沈みなど、自分の力ではどうしようもできないことは、人生の中で繰り返しやってきます。皆さんにとって、今のこの状況は、大きな不安や試練と感じるかもしれませんが、皆さんには、挑戦する若さ、何事も経験として乗り越えられる若さがあります。前を見て進むことを心から願っています。
さて、私から一つ、これからの人生の多くの時間を費やす、「仕事」についてのお話をしたいと思います。
社会では、自立自営など、社会人として求められる厳しい心構えも大事ですが、私は皆さんに、社会で「幸せ」になってほしいと思っています。ですから、どうしたら仕事を通じて、幸せに生きられるかを考えてみました。
社会に出て、仕事をもらい、その仕事の一流を目指せば、「充実感」という幸せが返ってきます。お客様や職場の上司?同僚など、常に相手の立場で最善を考えれば、誠意が伝わり頼りにされる存在になります。仕事に関わる小さな変化に気づく感受性が身につけば、円滑な人間関係を築けるだけでなく、お客様や社長?上司の発言の背景まで理解できるようになり、よい仕事や改善に結びつきます。
実は、会社は人を育ててくれる道場です。上司が教え、あなたが深く考えて実現する成長の場です。人には、一生成長したい、という強い気持ちがあり、成長を実感することで、人生の幸福度が高まります。
これまで、学校の中で成長してきたように、これからは社会の中で、多くの学びを得て、成長し続けてほしいと思います。
皆さんの輝かしい未来をお祈りして、お祝いの言葉といたします。
ご卒業、誠におめでとうございます。
祝辞
一般社団法人教育文化振興 実践桜会
理事長 鈴掛 まゆみ
卒業生のみなさまそして保護者のみなさま、本日はご卒業おめでとうございます。
実践桜会は学園創立から2年後の1901年に、学祖下田歌子先生が設立して以来121年の歴史の中で、約17万人の先輩達が築いて繋いできた同窓会です。卒業生のみなさまをこれからその一員として迎え入れることは、私達にとって大変うれしく大きな力となります。みなさまの若い力と智恵が諸先輩の方々の励みになり、新しい時代へ繋げて下さることを楽しみにしております。
卒業生のみなさまは、実践女子大学?大学院?短期大学部に入学して、初めて学祖下田歌子先生のことを知った方も多いと思います。
ここでひとつ、下田歌子先生にまつわるお話を披露いたします。昭和8年12月23日、上皇さまがお生まれになりました。その御命名式に際し、一般国民の代表としてお祝いのお言葉を述べたのが下田歌子先生です。79歳とは思えぬしっかりとした口調で約13分間の肉声が今も残されています。昭和11年に女子教育者としてのご生涯を全うされた下田歌子先生、最晩年の出来事です。
これから新しいスタートを迎えられるお若いみなさまの進路はさまざまですが、実践女子大学?大学院?短期大学部で学んだ下田歌子先生の教え?今では当たり前に受けられる女子の教育への想いを、時には思い出して下さい。その価値は、きっとあとから想い至ることかもしれません。
そして実践桜会は、みなさま卒業生の大切な名簿管理も担っております。ご住所の変更等は、すみやかにご連絡いただけますようお願い致します。学友に会いたくなった時、先生に会いたくなった時、クラス会を開きたいと思った時には、実践桜会にお問い合わせ下さい。
また、卒業生で海外への留学をされる方には奨学金制度の対象となります。是非ご利用下さい。
本日はささやかですが、実践桜会よりの記念品をご用意いたしました。
みなさま、ご卒業、誠におめでとうございます。