2021年度新入生へ 式辞?祝辞
実践女子大学?実践女子大学短期大学部
学長 難波 雅紀
春光を浴びた緑まぶしい季節となりました。
新入生の皆さん、入学、誠におめでとうございます。足球现场直播,大发体育在线への感染リスクを最小限にとどめるため、縮小、簡素化した式典となりましたが、皆さんをお迎えできたことを大変嬉しく思います。教職員一同、心から歓迎したいと思います。
ご家族ならびに関係の皆様におかれましては、喜びもひとしおのことと拝察いたします。これまで力を尽くされたことに敬意を表するとともに、心からお祝いを申し上げます。本学に託された思いをしっかり受け止めたいと存じます。
実践女子大学、実践女子大学短期大学部は、日本における近代女子教育の先駆者だった学祖下田歌子が1899年(明治32年)に設立した、実践女学校?女子工芸学校を前身とします。
明治という時代、日本の女性の社会的な地位は低く、その生活や労働は厳しいものでした。下田歌子は、ときの明治政府から命を受け、2年間、イギリスを中心に、欧米8か国を歴訪しました。そこで先進諸国の女子教育をつぶさに視察した下田は、日本では女子教育が立ち遅れていること、女子教育こそが日本の近代化と女性の社会的地位の向上には重要であることを確信します。そして、帰国後、下田は、「女性こそが社会を動かす」という強い信念のもと、本学を設立しました。
本学は、2019年に創立120周年を迎えましたが、今日までこの信念を脈々と受け継ぎ、「女性が社会を変える、世界を変える」を建学の精神に、「品格高雅にして自立自営しうる女性の育成」を教育理念として掲げ、数多くの人材を社会に送り出してきました。そして、本日、入学を迎えた皆さんは、本学の歴史に新しいページを刻むことになるわけです。
ところで、皆さんは、どんな時代に生きているのでしょうか。皆さんを取り巻く社会や経済、科学技術などの有り様は、地球規模で連動し、広範にわたって構造的な変容を遂げつつあります。そこでは、個人が抱える状況や社会階層、地域の違いなどにかかわらず、すべての人が、AIやIoT技術、ICTの活用などによって、情報や通信技術を利用できるようになってきました。
こうしたグローバル化時代の多様で流動的な社会を生きるためには、いったいどんな力が必要なのでしょうか。たとえばSDGsで掲げられている課題を自らの問題としてとらえ、身近なところから取り組むことで、その課題解決につながる新しい考え方や行動を生みだせる力が求められます。
そのために、幅広い教養や深い専門性に加えて、課題発見?解決能力、外国語運用能力、異文化に対する理解、論理的思考力や判断力など、AIには代替できない能力?態度を身につけることは重要です。しかしながら、そうした能力?態度は、実践してみなければ生きた力にはなりません。試してみるという主体性、行動力がものを言うわけです。
そこで、皆さんに期待したいのが、物事に熱中し、やり遂げるという経験です。物事に熱中することは、自分が何者なのかを見つめ、自分らしさを発見することでもあります。物事をやり遂げることは、自分らしさを貫いて自信を深めることに繋がっていきます。そして、自信を深めることは、次に何かを試してみるという主体性、行動力を育んでいきます。
勉学はもちろんのことですが、サークルやボランティアなど、いろいろな活動に熱中し、それらをやり遂げてみませんか。そして、学生時代だからこそできる新しい経験をたくさん積んでみませんか。
イタリアのルネッサンスを代表する芸術家レオナルド?ダ?ヴィンチは、「知恵は経験の娘である」という言葉を残しています。また、アメリカの作家ジョン?アーヴィングは、小説『ガープの世界』の中で、「人間は何かを最後までやり、また別のことを始めることによってしか成長しない」、と主人公ガープに言わせています。経験が知恵という生きた力を生み、それが皆さんの自信を深めてくれる。そして、自信が培う主体性、行動力によって、皆さんは新たな経験を積み、成長していく。その結果、皆さんは、持続可能な未来をつくり、維持していく中での自分の役割を果たせるのだと、私は信じています。
本学では、全学的な個別支援体制によって、学生ひとりひとりの個性を大切にした支援を行なっています。皆さんが物事に熱中し、やり遂げる経験をとおして自信を深め、成長を実感できるよう、教職員一同、様々な面からサポートしていきます。そのことを誓って、式辞の結びにしたいと思います。
2021年4月吉日
学校法人実践女子学園
理事長 山本 章正
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。学校法人実践女子学園を代表して心より歓迎いたします。保護者の皆様、並びにご家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。
皆さんにとって、本学で過ごす4年間ないし2年間が、社会の扉を開くまでのとても大事な期間となります。
私たちが暮らす社会は、グローバル化や情報化の急速な進展からわかるように、時代とともに変化のスピードが速くなっています。最近では、女性を取り巻く社会の変化がひと際注目されます。「女性が活躍できる社会」に向けて、様々な制度が整えられてきていますが、まだまだ実現途上の段階です。
私は、女性が社会で生き生きと活躍するためには、本学の校名でもある「実践力」が重要であると考えています。本学の創立者である下田歌子先生は、創立(1899年?明治32年)当時、私立学校の多くが地名や創立者の名前を校名に使用する中で、あえて「実践」という名を付けました。学問や教養に加え、主体的に考え、社会で実践できる力を身に付けることが、自立した女性のために必要であるという強い思いを校名に込めたのです。それから120年が経ち、私たちの暮らす社会は大きく変わりましたが、「実践力」は、今もこれからの時代にも必要な、大事な資質であると思います。
この「実践力」は、三つの要素で構成されていると考えています。課題を発見し、解決するための確かな学力、充実した人的ネットワークを形作れる確かな人間力、そして、健康と体力です。私は、皆さんには、在学中から積極的にこの力を身につけてほしいと願っています。
このために基本となることを二つお願いしたいと思います。
一つ目は、知見を深めるために、学生の本分である学問をしっかり学んでください。また、見識を拡げるために、保護者や教職員、先輩など周りの人の貴重な話に、謙虚に耳を傾けてください。経験に基づく話は教科書にはない宝物です。
二つ目は、コロナ禍で活動範囲も制約されていますが、サークルやボランティアなど、課外活動にできるだけ参加し、視野を拡げてください。学生時代の今しかできないことをたくさん経験してください。経験が無駄になることはありません。将来、必ず自分の人生に役立つはずです。
希望に溢れ前途洋々たる皆さんをお迎えできたことは、実践女子大学?実践女子大学短期大学部にとって、大きな慶びです。皆さんが、本学でよい仲間を作り、卒業する時に、この学校で学べてよかった、と思えるように、教職員一同精一杯サポートしていきます。
本学で学んだことや考え方を様々な場面で活かし、世の中を「しなやかに」そして「たくましく」生き抜く女性に成長することを心から期待して、お祝いの言葉といたします。
2021年4月吉日