2019年度入学式 式辞?祝辞
式辞
実践女子大学?実践女子大学短期大学部 学長 城島 栄一郎
新入生の皆さん、入学おめでとう。この春のうららかな佳き日に、満開の桜のもと皆さんを迎えられることを、われわれ教職員一同うれしく思い、心から歓迎します。ご両親ならびにご親族の皆さま、お嬢様をここまで育てられたことに敬意を表し、本学に託されたことに感謝し、その期待をしっかり受け止めております。
まず、実践女子大学と短期大学部をご紹介します。本学は学祖下田歌子先生が「近代女子教育」の拠点として1899年(明治32年)に実践女学校?女子工芸学校を設立しました。今年5月に創立120周年を迎えます。
明治の当時、日本の女性の社会的な地位は低く、その生活や労働は厳しいものでした。下田歌子先生はときの明治政府により派遣され、1893年(明治26年)9月から2年間、英国を中心に欧米8か国を歴訪しました。そこで先進諸国の女子教育をつぶさに視察し、欧米と比較して立ち遅れていた女子教育こそが、日本の近代化と女性の社会的地位の向上に最も重要であると確信し、帰国後本学を設立しました。
そこには「女性が社会を変える、世界を変える」という強い信念があり、これが本学の「建学の精神」となっています。そして育てるべき女性像として、「知性と品格を備えた品格高雅な女性の育成」および「自立自営し得る実践力を持った女性の育成」を掲げて、教育理念としました。これは机上の理論(頭の中)だけではなく実践的な知識?技術を授け、これを身に付けることによって自立した女性として活躍し、社会に貢献できる。そのような人材を世の中に送り出すことを目指したものでした。
この建学の精神と教育理念は脈々と受け継がれており、本学はこれまで数多くの人材を幅広い分野に送り出してきています。少子高齢化が進む現在の日本において、男女が同等に働き、意思決定し、社会に貢献する男女共同参画社会の実現が求められています。このような社会で輝いて生きていくためには、やはり自立自営できる能力をしっかりと身につけることが必要です。そうして、男女共同参画社会の先頭に立てるよう頑張っていきましょう。
そのための様々な仕組みを本学は用意しています。多様な能力や志向へ対応できる教育プログラム、そして、入学前から卒業後まで、学生の皆さん一人ひとりの個性を大切にした個別支援体制です。これを「学生総合支援:J-TAS(Jissen Total Advanced Support)」と名付けて今年4月から実施します。
また、来年2020年は東京オリンピック?パラリンピックが開かれます。本学はこれに積極的に参画するために、大会組織委員会と連携協定を結びました。そして、オリンピック?パラリンピック連携事業推進室を設置し学生と教職員の活動を支援しています。この記念すべきときに本学に在学する皆さんが、オリンピック?パラリンピックに積極的に参加し、世界中から訪れる人々と交流し、グローバル化社会で生き抜く力を身につけてください。そのためのさまざまな取り組みを用意しています。
人生100年という時代になって膨大な時間を持っている皆さんの可能性は無限であり、前途は洋々です。永い人生を充実したものにし、社会で活躍していくためには、将来に対して夢を持つことが重要です。そしてその夢を実現していくためには、志をもって物事にチャレンジし続けていくことが必要です。何にチャレンジするか、それを見つけ出すのが学生時代です。いろいろ考え、トライしてください。失敗を恐れてトライしないと一歩も前へ進めません。失敗は貴重な経験となり、成長の糧となります。
若い皆さんが1年は長いと思っていても、学生時代は過ぎてみるとあっという間です。有意義な学生時代を過ごしてください。そして学生時代を大いに楽しんでください。ここで、在学中に心がけてほしいことを3つあげます。
1.夢を持ち目標にチャレンジする。
自分で限界を決めないで、自分の無限の可能性を信じる。
2. 計画的な時間管理をする
1日、1週間、前期、後期の学修計画、卒業までの計画など。
3. 健康増進に心がけ体力をつける
長い人生、知力だけではなく、最後にものをいうのは健康と体力です。
本学には様々な専門と高い能力を持った教職員がいます。すべての教職員は皆さんの能力を引き出し、皆さんの成長をサポートします。教職員に積極的にコンタクトしてください。
今日から大学生活が始まります。周りの同期生は日本全国から一人ひとり集まってきています。お互いに声をかけあってたくさんの友達を作ってください。大学時代の友人は一生の宝となります。
最後に皆さんの学生生活が、有意義で実りあるものとなるよう期待して、式辞とします。
※2019年4月4日 人間社会学部?短期大学部 入学式式辞より
祝辞
学校法人実践女子学園 理事長 山本 章正
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。学校法人実践女子学園を代表して心より歓迎いたします。ご参列の保護者の皆様、並びにご家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。
1899年、明治32年5月7日に本学の初めての入学式が行われました。今年は、創立120周年にあたります。この120年の伝統と歴史を踏まえ、これからも発展し続ける学園を作り続けたいと思っています。その学園の中で皆さんには、社会で生きていくために必要な「たくましさ」、「しなやかさ」を身につけて成長することを期待しています。皆さんへの期待と希望を述べてあいさつに代えたいと思います。
私たちが暮らす社会は、グローバル化や情報化の進展などからもわかるように、時代とともに変化のスピードが速くなっています。最近では、女性をめぐる社会情勢の変化がひと際、注目に値します。人口の減少による労働力不足、女性活用という時代背景で語られることが多いのですが、本質は、性別や宗教、人種など様々な立場の人を気遣える、多様性の尊重、という流れとともに、考えることだと思います。それは、皆さんにとって、最も身近で、かつ大事な課題でもあります。
女性が活躍できる社会を実現するために、国を挙げて様々な制度改革が進んでいます。しかし、一方で、女性からは、まだまだ戸惑いの声が多く聞こえます。上の世代や男性の女性に対する意識は変わっているのだろうか? ロールモデルとなるのは、どんな女性だろうか? 社会で女性が活躍するには、どんな力を身につければ良いのだろうか? ネット社会で情報が溢れているにも関わらず、『どんな力を身につけるのか』という情報は、なかなか見つけることができません。
そのような中で、皆さんが本学を選択したことは、社会に出て、しっかりと活躍できることに繋がる、大変良い機会を得たと言えます。
まず、女子大の特色の一つは、様々な場面で男性に頼ることなく、チームを運営できるリーダーが育つこと、と言われています。これは社会に出てから必要となる、大事な力の一つです。加えて、本学は1年生から4年生まで合わせても、4千人余りの学生規模なので、学生1人ひとりにきめ細かな助言や指導ができます。他の大学に先駆けて、今年度から始まる学生支援制度は、大規模大学では実現が難しい、きめ細かな個別指導を行える先進的な制度です。まさに皆さんが成長し、社会で活躍することを目指す上で、本学はとても良い環境にあります。
しかし、最終的には、自分自身がこれからの学生生活をどう送るのかが、ポイントです。その基本となる3つのお願いをしたいと思います。
1つ目は、知見を深めるために、学生の本分である学問をしっかり学んでください。
2つ目は、視野を拡げるために、サークルやボランティアなど、課外活動に積極的に参加してください。
3つ目は、見識を拡げるために、保護者や教職員、先輩など周りの人の貴重な話しに、謙虚に耳を傾けてください。経験に基づく話は教科書にはない宝物です。
第一志望で入学した人も、そうでない人も、ご縁があって、今日の入学式に集いました。今日をスタートに、よい仲間を作り、卒業する時に、この学校で学べてよかった、と思えるように、教職員一同精一杯サポートしていきます。社会で、自立し、たくましくしなやかに生きられるように、充実した学生生活を送ることを期待して、お祝いの言葉といたします。
※2019年4月4日 人間社会学部?短期大学部 入学式祝辞より