2018年度入学式 式辞?祝辞
式 辞
実践女子大学?実践女子大学短期大学部 学長 城島 栄一郎
新入生の皆さん、入学おめでとう。この春の佳き日に皆さんを迎えられることを、われわれ教職員一同うれしく思い、心から歓迎します。
ご両親ならびにご親族の皆さま、お嬢様をここまで育てられたことに敬意を表し、本学に託されたことに感謝し、その期待をしっかり受け止めております。
まず、本学実践女子大学と短期大学部をご紹介します。
本学は学祖下田歌子が「近代女子教育」の拠点として明治32年(1899年)に実践女学校?女子工芸学校を設立しました。来年5月に創立120周年を迎えます。
明治の当時の女性の社会的な地位は低く、その生活や労働は過酷でした。下田歌子は明治26年(1893年)9月から2年間、ときの明治政府により、英国を中心に欧米8か国を歴訪しました。そこで先進諸国の女子教育をつぶさに視察し、欧米と比較して立ち遅れていた日本における女子教育こそが、日本の近代化と女性の社会的地位の向上に最も重要であると確信して本学を設立しました。
そこには「女性が社会を変える、世界を変える」という強い信念があり、これが本学の「建学の精神」となっています?
そして育てるべき女性像として、「知性と品格を備えた品格高雅な女性の育成」および「自立自営し得る実践力を持った女性の育成」を掲げて、教育理念としました。これは机上の理論だけではなく実践的な知識?技術を授け、これを身に付けることによって自立した女性として活躍し、社会に貢献できる。そのような人材を世の中に送り出すことを目指したものでした。
この建学の精神と教育理念は脈々と受け継がれており、本学はこれまで数多くの人材を幅広い分野に送り出しています。少子高齢化が進む現在の日本において、男女が同等に働き、意思決定し、社会に貢献する男女共同参画社会の実現が求められています。このような社会で輝いて生きていくためには、やはり自立自営できる能力をしっかりと身につけることが必要です。そうして、男女共同参画社会の先頭に立てるよう頑張りましょう。
来年には学園創立120周年、また、翌2020年には東京オリンピック?パラリンピックが開かれます。本学はこれに積極的に参画するために、大会組織委員会と連携協定結びました。そして、オリンピック?パラリンピック連携事業推進室を設置し学生と教職員の活動を支援します。
この記念すべきときに本学に在学する皆さんが、オリンピック?パラリンピックに積極的に参画し、グローバル化社会で生き抜く力を身につけてください。そのためのさまざまな取り組みを用意します。
①オリ?パラに参加できるような学事日程、②ボランティアとして活躍できる語学力を身につけること、③「国際理解とキャリア形成」などキャリア教育科目の増設、などです。
人生100年という時代になって膨大な時間を持っている皆さんの可能性は無限に多様に広がっています。前途は洋々です。
永い人生を実りあるものにし、社会に貢献していくためには、将来に対して夢を持つことが重要です。そしてその夢を実現していくためには、志をもって物事にチャレンジしていくことが必要です。
何にチャレンジする、いろいろ考え、試行錯誤できるのが学生時代です。失敗は貴重な経験となり、成長の糧となります。失敗を恐れてトライしないと一歩も進めません。
若い皆さんが1年は長いと思っていても、学生時代は過ぎてみるとあっという間です。有効に時間を使うためには計画的な時間管理が必要です。
以上、心がけてほしいことを3つあげます。
1.夢を持ちチャレンジする。
自分で限界を決めないで、自分の無限の可能性を信じる。
失敗を恐れずtry and errorする。
2. 計画的な時間管理をする
1日24時間、1週間、前期、後期の履修計画(自分だけの時間割)、
卒業までの年次計画など
3. 健康増進に心がけ体力をつける
長い人生、知力だけではなく、最後にものをいうのは健康と体力です
本学には様々な専門と高い能力を持った教職員がいます。すべての教職員は皆さん方の能力を引き出し、皆さんの成長をサポートします。教職員に積極的にコンタクトしてください。
多くの新入生は一人で入学してきています。お互いに声をかけてたくさんの友達を作ってください。大学時代の友人は一生の友達になります。
最後に皆さんの学生生活が、有意義で実りあるものとなるよう期待して、式辞とします。
※2018年4月4日 実践女子大学文学部?文学研究科 入学式式辞より
祝辞
学校法人実践女子学園 理事長 井原 徹
新入生の皆さん、実践女子大学の文学研究科、文学部への入学、おめでとうございます。学校法人を代表して、心から歓迎します。
ご父母の皆様、これまでの長い年月のご苦労に対しまして、深甚なる敬意と祝意を表します。そして、なによりもお嬢様の本大学への入学を、心から歓迎いたします。
さて、実践女子大学の文学部、文学研究科への入学にあたって、私から皆さんへの希望を述べて、祝辞に変えます。
大学院入学の皆さん、大学院では、研究テーマの選定、先人たちの研究実績の学び、自分自身の思索の形成等を経て、修士論文、博士論文に結晶化させて行くわけですが、その一連の研究生活の中では、おそらく試行錯誤の時が多いかと思います。
しかし、大学院における研究生活を豊かなものとするために、どうか自分を見失わずに、勇気と自信を持って着実に、研究を進めて行ってください。
学部学生の皆さん、皆さんは、これまでは「偏差値」というものが支配する世界で、他人(ひと)より高い点数を取ること、他人(ひと)との成績の比較で優位に立つことを中心に考えざるを得なかったと思います。
これから始まる学生生活は、自分で自分の将来を決定できるようにするためのものです。これまでのような他者比較で優位に立つための学びではなく、自分の将来を築いていくための学びです。これまでの勉強とはおのずと異なるということを、深く自覚してください。
そしてまた、これからの人生では、「自分らしさ」や「個性」を磨き、「自分とは何者なのか」を確認していくことが大切です。
「自分らしさ」を確立するということは、「自分にしかないものを身につける」ことであり、「得意とする分野で自信をつける」ということでもあります。
大学4年間は、学びながら、「自分とは何者なのか」を確立させて、社会から信頼を得ていくことになるということに、強く思いを至してください。
ただし、それは自分勝手の独りよがりのものであってはなりません。本学は、「品格高雅」「自立自営」を理念として119年の伝統を築いてきました。本学で学ぶ皆さんの個性は、高雅な品格に裏打ちされたものであることが望まれます。自由を履き違えて、身勝手で、他人に迷惑をかけるような言動は、高雅な品格とは言えません。
さて、これからの我が国においては、(先ほど学長が式辞で述べたように、)「男女共同参画」が大きなテーマとなって、社会が変革していきます。
このときにあたり、女子大である実践女子大学の果たす役割は大きなものがあります。
残念ながら、我が国は、まだまだ男女共同参画社会になっているとは言い難い面が多くあります。本大学は、男女共同参画社会推進の一番手の旗振りを目指すこととしています。しかし、このことの実現のためには、入学した皆さんの意識の持ち方や行動?思考に負うところも大です。
皆さんは、個人として「品格高雅」を身に着けながら、全体としては男女共同参画を推進するという意識を持ってくれることを期待しています。
最後に皆さんに、実に具体的なことを要望します。
今日の大学入学式という、大きな節目にあたって、ぜひとも、「学びの予定表」を立ててください。
限られた学生生活全ての期間の1年ごとのやりたいこと、身に着けたいことを、大筋で良いから、設計してください。
つまり、修了?卒業するまでに、何年生の時はどう過ごすか、何をどれくらい身につけたいかを想定し、大筋の目標を設定してください。今日の続きで漫然と明日を迎える、という無自覚な生き方では、時を無駄にしてしまいます。あっと言う間に卒業式、修了式を迎えてしまいます。
社会人になって分かることですが、仕事や人生がうまく進むかどうかは、「計画性」や「段取り」によるところが大きいものです。今日を節目として、ぜひとも将来への生活設計を立ててください。
そして、品格高雅にして、自立自営する女性となるため、日々精進してください。新入生の皆さんの、本学での学生生活が実りあるものとなるよう期待しています。そして、何よりも、この大学で立派に成長してくれることを心から祈り、祝辞とします。
※2018年4月4日 実践女子大学文学部?文学研究科 入学式祝辞より