生活環境学科 アパレル?ファッション分野の3研究室が合同でアップサイクル?ドレスを制作!
地域の企業と連携するシーンも。
提供された端材とミシン機器で挑戦
生活科学部 生活環境学科「アパレル?ファッション分野」の3研究室が、合同でプロジェクトを実施。多摩地域の企業から提供された素材とミシン機器を活用し、オリジナルのドレスをデザインして制作しました。
完成した作品は、11月11日?12日開催の日野キャンパス『常磐祭』で展示され、『常磐祭』の参加団体の中で、特に優秀な発表(展示)を行った団体として「学長賞(研究部門)」を受賞しました。
アパレル?ファッション分野の3つの研究室(アパレル管理研究室?ファッションデザイン研究室?ファッションビジネス研究室)が合同でプロジェクトに取り組むのは初の試みです。25名の学生と3名のボランティア学生の計28名が3つのグループに分かれ、ドレスのデザインを考え、実際に制作しました。
このプロジェクトは企業と連携する「社会連携プログラム」の一環でもあります。連携先は、日野キャンパスが位置する多摩地域に本社があるホットマン(株)(以下、ホットマン)と、(株)ジャノメ(以下、ジャノメ)です。
タオルの製造から販売までを一貫して行っているホットマンからは、製造工程で出た端材をご提供いただき、作品の材料に。これは、昨今のファッション産業の課題の一つでもある「アップサイクル(廃棄素材の活用)」について見つめる機会ともなり、7名の学生が実際に青梅の本社工場を訪問して、端材が出る工程を見学しました。ミシンメーカー大手のジャノメからは最新ミシン機器のご提供とともに、縫製についての技術指導も行っていただきました。
学生たちは月1回実習室に集まり、グループごとに作品を制作。デザインや縫製、品質管理、スケジュール管理など、各研究室での学びでそれぞれが培った知識や技術を活かし、協力しながらドレスづくりを進めました。
2023年4月にスタートしたプロジェクトは、約8カ月かけて3つの作品に結実し、11月11日?12日の『常磐祭』での展示へ。多くの来場者が、オリジナリティ豊かで質の高い出来栄えに目を見張っていました。また、この展示は、『常磐祭』参加団体の中で、特に優秀な発表(展示)を行った団体として評価され「学長賞(研究部門)」を受賞しました。
参加した学生のコメント
Aチーム
私たちと同年代の人たちに魅力的に感じてもらえるよう、流行の『Y2K(2000年代に流行したファッションのスタイル)』を意識してデザイン。ホットマン様より提供していただいた端材のほか、不要になったジャケットやデニムなども活用して、スマートさやキレイさのある作品として仕立てました。
このプロジェクトでは、いろいろな学生がそれぞれの得意を発揮して作品づくりに取り組めたことが、とても良かったです。私は「ファッションデザイン研究室」に所属しており、このチームのリーダーを務めましたが、みんなが参加しやすい作り方を考えたり、メンバーの作業の様子に目を配るなど、自分一人で取り組むのとは異なる体験を味わうことができました。
アップサイクルに取り組んだことで、「今あるものを使って、最大限良いものを生み出すにはどうしたらいいか」を考える視点も身についたと思います。
Bチーム
端材を使ってサスティナビリティをカタチにしながらも、細部の縫製にもこだわり、一着の服として質の高い作品となることを目指しました。全体的に落ち着いた色みでまとめていますが、端材でつくったピンクのリボンを後ろにあしらうことで華やかさも持たせています。
今回のプロジェクトでは、実際の現場に立ち会えたことが良かった。タオル生地の生産過程で多くの端材が出ることや、ミシンの機能がどんどん進化していることを学びました。チームワークの楽しさを体感できたことも成果です。たくさんの人と関わり異なる意見をまとめながら1つの作品をつくる経験は、大変さもありましたが同時に楽しく、「人と協力し合ってものづくりをするのが好き」という自分の側面への発見もありました。誰かのために行動し、人を笑顔にすることにやり甲斐を感じた経験から、将来は人と関わりチームワークで進める仕事に就きたいと思うようになりました
Cチーム
黒と白の生地をベースにし、左半分をタイトにして右半分にふくらみを持たせたデザインで、端材を織って作ったパーツを目立たせながら、独創性のあるドレスとして仕立てました。スカートを部分的につまみ縫いしてドレープを寄せたり、コサージュも手づくりしたりと、細部まで丁寧に作り上げていることに注目していただきたいです。
製品の生産現場を見学し、ものづくりの大変さ、製品に込められている作り手の思いや工夫に触れて、端材であっても大切にしたいと思いました。作品にはそんな経験も活かしています。
みんなで力を合わせて作品作りをする中で、メンバーの間で絆が生まれ、アイディアもどんどんブラッシュアップされていきました。通常ならば廃棄されてしまう端材や不要になった既製品が、「こんなドレスに生まれ変わるんだ」と仕上がりに感動しています。今回の作品は、正にみんなのセンスと技術、努力の結晶だと感じています。
担当教員のコメント
アパレル管理研究室/塩原 みゆき教授
学生生活の中で身につけた技術や専門性をそれぞれが活かしながら、1つの作品を作り上げていくこの取り組みには、大きな意味があると感じています。普段、私が主宰する研究室はアパレルの品質管理について学んでおり、もの作りをする機会はそれほどないのですが、所属する学生もこのプロジェクトで一生懸命手を動かすうちに、少しずつ技術が身についていきました。また、チームで取り組むことで、自分一人ではハードルが高いと感じたものにも挑戦でき、「まずやってみよう」と一歩を踏み出すチカラも育まれていったのではないかと思います。
合同プロジェクトは初の試みでしたが、今後もぜひ継続していきたいです。続けることでノウハウがさらに蓄積し、より深みのある学びの経験を学生に提供できるのではないかと考えています。
ファッションデザイン研究室/滝澤 愛准教授
今回の合同プロジェクトでは、ホットマン様よりご提供いただいた端材のほか、学生の家庭や教員から提供してもらった使わなくなったネクタイなどを洋服の素材に用いるアップサイクルに取り組みました。端材や古着などをどう活用するかについては、近年、社会の関心が高く、ファッション業界の中でも大きなテーマになっています。そのリアルな状況を知って視野を広げ、実際にアップサイクルして新たな服を仕立て上げる取り組みは、学生たちにとっても将来に役立つ、有意義な経験になったのではないでしょうか。
作品づくりにあたっては、創意工夫や発想力の豊かさに驚かされました。自由でのびのびとしたデザインや色づかいは、学生ならではのものだと感じます。
ファッションビジネス研究室/大川 知子教授
3つの研究室に所属する学生が力を合わせることにより、相乗効果が生まれ、学びを最大化することを目的にこのプロジェクトを実施しました。デザインや縫製、スケジュール管理など、それぞれの持ち味を活かし、互いを思いやりながら今自分にできることに率先して取り組む様子に学生の成長を感じています。「やるからには良いものに仕上げよう!」という彼女たちの意気込みにも感心させられました。
地域の企業と連携できたことも良かったです。タオルなどの製品の製造現場を目の当たりにすることで、自分たちが日ごろ当たり前のように手にしているものがどのようにつくられているか理解し、そのうえで端材をどのように活用すれば有効かを考えるきっかけになりました。これからは、人と競う「競争」ではなく、「共創」の時代です。このプロジェクトを通じて、学生もその一端に触れることができたと思います。
「ファッションデザイン研究室」の学生がアップサイクルファッションショーを開催!
『常磐祭』では、今年度着任された滝澤准教授の「ファッションデザイン研究室」の学生10名が、ファッションショーを開催しました。
今回のショーで使用した衣装は、創業160年の繊維専門商社である瀧定名古屋(株)からご提供いただいた未利用?廃棄予定生地と、日野市が運営するリサイクルショップ「ひの市民リサイクルショップ回転市場 万願寺店」からご提供いただいた不要衣料を用い、学生がアップサイクルファッションに挑戦したものです。11日に関係企業の方も見守る中、開催されたファッションショーは、午前の部?午後の部とも満員御礼の大盛況となり、追加のショーも実施しました。