3女子大学と株式会社ルミネの産学プロジェクトの最終報告会を実施(2/3)(4/28追記)
※2022年4月28日追記
2022年2月16日付 繊研新聞 掲載
「問題解決型のプロジェクト=サステイナブルの在り方を提案-実践女子大、大妻女子大、女子美術大とルミネ」
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本学と大妻女子大学、女子美術大学の3校が、ルミネと行った問題解決型産学プロジェクトの最終報告会について繊研新聞で紹介されました。
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2022年3月25日掲載
実践女子大学、大妻女子大学、女子美術大学の3女子大学と株式会社ルミネの産学プロジェクトの最終報告会が2022年2月3日に行われました。実践女子大学生活科学部生活環境学科の大川知子准教授が中心となり、関東近郊で商業施設「LUMINE」を展開する株式会社ルミネ(東京都渋谷区)と行う産学プロジェクトは今年度で4年目。毎年異なる課題がルミネから提示され、参加する複数の女子大学の学生が混成でチームを組み、課題解決のための提案を行います。
「ファッション」と「サステナブル」を課題に
21年度に提示された課題は「ファッションビジネスにおける『サステナブル』の在り方とは?それをルミネで具体的に実現するとしたら?」。「ファッション」と「サステナブル」という相反する難しい課題に、大妻女子大学13名、女子美術大学11名、実践女子大学10名の、総勢34名の学生たちが5つのグループに分かれて取り組みました。
今年度は10月9日にキックオフ?ミーティングが行われ、ルミネの渡名喜暁子氏から課題の提示がありました。その後学生たちは毎週1回のグループ全員が集まる定例ミーティング、月に一度の合同ミーティングを経て企画案を構築。12月18日に中間発表を行い、ルミネの方々からご意見をいただいて、さらにブラッシュアップさせた企画案が、この最終報告会で発表されました。
回収した衣服をドレスにリメイク、展示?販売を行う、フォルチャーム?プロジェクト
1つめのグループ、「フォルチャーム?プロジェクト」が提案したのは、ドレス制作を主としたサステナブルイベント。お客さまから不要となった衣服を回収し、回収した衣服を材料として服飾系の学生がドレスを制作。一定期間展示後、ファッションショーを行って販売し、売れ残ったドレスは再度リメイクします。このプロジェクトのコンセプトとなっているのは「かわいい×サステナブル」。サステナブルという難しさをやわらげ、身近に感じて欲しいという思いが込められています。全体を統一するテーマとしてシンデレラをモチーフとし、プロジェクトの副題として「解けない魔法をいつまでも」という言葉が掲げられています。回収ボックスはかぼちゃの馬車をイメージし、「いつの日かきっと夢は叶うものよ」というシンデレラの言葉のように、このイベントがデザイナーやアーティストを目指す学生の登竜門となることも目的の一つとなっています。
「忙しい毎日でも無理なく続けられることを」チーム?ピュアキュア
2つめのグループは「チーム?ピュアキュア」。このチームは1年間に約5.4万トンが消費されているレシートに注目しました。捨てられてしまうことの多いレシートを回収し、サステナブル活動の象徴となり、ルミネが行うサステナブル活動を知ってもらうきっかけとなるための「エシカルステッカー」として再生します。また、ルミネですでに行われているコルクの廃材で作った家具を活用した「エシカルラウンジスペース」の提案もなされました。エシカルラウンジスペースにはレシートの回収ボックスが置かれ、レシートを利用したインスタントカメラでの撮影ができるほか、全体的にサステナブルについて感じたり学んだりすることができる空間となっています。レシートの回収ボックス、コルクの廃材を利用した家具についても、サステナブルが感じられるデザインの工夫が提案されました。
「本当に使うものに。本当に嬉しいものに。」Biju-lu(ビジュール)チーム
3つめの「Biju-luチーム」が提案したのはコスメ商品のリメイク。このチームは衣服のリサイクルについての調査を行い、多くの企業は積極的に衣服のリサイクルを行っているが、リサイクル量が多いということは廃棄量が多いということでもあり、ここには多くのコストやエネルギーがかかっていることに注目しました。Biju-luチームが目指すのはリサイクルゼロの世界。しかし、流行を追うファッションの分野でリサイクルゼロを実現することは難しいと考え、まずは実現可能であるコスメのリサイクルゼロを提案しています。Biju-luの名称はビジュー(宝石)とルミネの語源ともなっているルミエール(輝き)を合わせた造語。コスメの回収ボックスも宝石をイメージしています。回収したコスメはお客さま参加型のワークショップを行い、キャンドルやアクセサリーに再生。周知の方法としてSNSを利用しない方法も提案されました。
リアルとデジタルを組み合わせた新しい体験を提案した、ARチーム
4つめのグループ「ARチーム」は、サステナブルについて積極的ではない層に行動してもらうことが重要であると考え、当事者意識を持ってもらうためのきっかけづくりとして、リアルとデジタルな体験を融合、新しい価値観との出会いを提供するサービスを提案しました。ルミネの店舗周辺に正二十面体のオブジェを設置し、この一面をスキャンすることでARアプリ「カケラ」の利用がスタートします。画面には虫食いのポエムが現れ、マップ機能を活用し、街中に散らばった文字を集めてオブジェの前に戻ると、ポエムが完成します。ポエムには定期的に変わるルミネの広告コピーを活用し、ルミネの価値観の周知向上を図ります。また、ルミネが掲げている街とのつながりを大切にし、および、アプリを活用することでPOSデータを収集することも、目的として提案されました。
「私のための好きと似合うが見つかる」シャイニングツアーチーム
最後に発表を行った「シャイニングツアーチーム」は、流行が密接に関係しているファッションビジネスがサステナブルという考え方と相反していることに着目し、個性と多様性を大切にし、「買うサステナブル」を実現するシャイニングツアーを提案しました。これは、お客さまが自分の好きな本当に似合う服を購入することができれば、それがサステナブルにつながるという考え方で、こうした服を購入するためのアシストサービスを行うものです。サービスの内容はパーソナルカラーや骨格診断、買い物のアテンドサービス、既製の服を自分だけのデザインに作りあげるセミオーダーの3つ。アテンドサービスやセミオーダーに、ルミネが導入している人材活用システムやルミネの独自ショップを利用するなど、ルミネが持っている財産を綿密に調査しこれを活用した提案がなされました。
学生ならではの視点?切り口に大きな刺激を受けた
5グループそれぞれの発表後にはルミネからの質疑応答があり、最後にはこのプロジェクトの窓口となって中心的な役割を果たしてくださった渡名喜暁子氏、営業本部長の重森淳一氏から、講評?総括が行われました。
渡名喜氏からは「ルミネのことをしっかりと調べていただき、私たちがやっているつもりでも、まだまだお客さまに届いていなかった部分に気付けたことが本当に財産です」、重森氏からは、「今回ファッションとサステナブルという非常に難しい課題に取り組んでいただき、私たち企業側の目線ではない、学生ならではの視点?切り口の多岐にわたる提案をいただきました。ご提案いただいた内容を真剣に検討し、取り入れられるものはどんどん取り入れていきたいと思います。今日ご提案いただいた内容が、今後どこかで実現しているかもしれません。これからもルミネを見守っていただければと思います」とのお話がありました。
コロナ禍を踏まえ、今回の最終報告会はオンラインで行われましたが、最後には参加した学生の顔が画面に映し出され、ルミネの皆さんに手を振り感謝を伝えました。
プロジェクトに参加した学生たちの声
?現地に足を運ぶことの大切さや、相手の立場になって客観的に考えることの大切さを学ぶことができ
ました。
?性格上、最初は言いたいこがあっても言えずにいたのですが、積極的に意見を出すメンバーが多く、
刺激を受けて意見が言えるようになりました。
?サークルに参加していないため、これまで他大学との学生とのつながりがありませんでしたが、チー
ムで活動することで、とてもステキな仲間ができました。
?インターネットで調べられる情報だけでなく、実際にルミネに足を運んだり、周囲の人にアンケート
をしたりすることで、これまで見えていなかった部分を知ることができました。
?チームでの提案だったため、自分一人では生み出せなかった提案をすることができました。