廃棄エアバッグ由来のトートバッグにSDGsメッセージ!中間発表会で学生のアイデアを検討しました(12/4)
ファッションビジネスに活かすSDGsメッセージを学生が考えるプログラムの中間発表会が12月4日(土)、渋谷キャンパスで開かれました。ファッションブランド「Magnu(マヌー)」と本学の社会連携イベントとして行われ、学生が廃棄エアバッグを再生したトートバッグに描くメッセージ案を検討しました。学生のメッセージ入りトートバッグは、商品化され実際に店頭に並ぶ予定です。最終プレゼンテーションは来年1月8日(土)、東京?有楽町の有楽町マルイで行われます。
廃棄エアバッグをトートバッグに
中間発表会は、再生トートバッグの表面にプリントするメッセージ案を学生が発表、マヌーのデザイナー?伊藤卓哉氏が論評するスタイルで進められました。学生のメッセージがプリントされるトートバッグは、伊藤氏が代表デザイナーを務めるエシカルブランド「yoccattaTOKYO(ヨカッタ トーキョー)」のバッグです。同ブランドは、法令による再利用禁止で未使用のまま廃棄、焼却処分される自動車のエアバッグをアップサイクルしようと、伊藤氏が2015年に立ち上げました。
12チームが中間発表
それによると、学生20人が1~4人の12チームに分かれ、それぞれメッセージ案をプレゼンテーションしました。例えば、学生の一人はメッセージ「『Connect and for the future.』=繋げ、未来のために」を提案。メッセージを通じて「夢は自分でつかみ取る、未来は自分たちで作れる、地球は人間が作る」というコンセプトをアピールしました。
また、「Creating a sustainable environment(持続可能な環境づくり)」というメッセージを考えた学生もいます。「大量生産や大量消費をしてしまうことが、大気汚染や水質汚染につながる。改めて生活を見直す機会になってほしい」という願いをメッセージに込めました。
学生のプレゼンを受け、伊藤氏が逐一、学生と質疑応答を繰り返し、学生へのフィードバッグを繰り返しました。そのやりとりは、相手は学生という遠慮を外し、ビジネス現場の企画会議のリアルを意識したハイレベルなものとなりました。
「伝わるメッセージ」のために
このうち、いくつかのプレゼンをケーススタディに取り上げました。例えば、「夢は自分でつかみ取る」をコンセプトに「繋げ、未来のために」と提案した学生のプレゼンです。
伊藤氏は「あなたの夢は何? 端的な言葉で語ってください!」と問い掛けました。学生が即答できないとみるや、伊藤氏は「戸惑うでしょ。自分の夢が何かがパッと出てこないのに、『夢は自分でつかみ取る』と書いてある。そこに嘘がある」と語り、「だからメッセージが伝わらない」と続けました。
また、メッセージで持続可能な環境づくりを提案した学生には、「リアリティがない」と断じました。というのも、この学生が提案した「生活を見直す機会にしたい」というメッセージが、うわべだけの説得力のないものと映ったようです。すかさず、「この文章を書く前と書いた後で、何か見直した?」と学生に質問。これに対し、「前と後で(変わったことは)正直ない」と学生。伊藤氏は「結局、アクションに結び付けていないから何も変わらない。自分の考えた言葉に対して自分がアクションを起こしていないから、説得力がない」と指摘しました。
学生のメッセージは総じて「誰か大人が考えた言葉をもう一回使っている」と伊藤氏には映ったようです。それもあるのでしょうか。伊藤氏は「もっと自分(の頭)をいじめてください。また、こうして浮かんだアイデアを、もっと煮詰めてください」「自分を追い込んでから、言葉をつくるのでなければ、何も伝わらない」などと強調しました。
本田技研や有楽町マルイなども協力
学生のメッセージ入りトートバッグは、早ければ来年4月中旬にも商品化される予定です。1月8日に行う最終プレゼンの審査で、実際の商品に採用されるメッセージが選ばれます。伊藤氏のほか、ホンダ技研工業や有楽町マルイの環境部門担当者ら6人が学生作品を審査員としてコメントします。
社会連携授業は、本学短期大学部日本語コミュニケーション学科の学科イベントとして実現しました。同学科の髙瀨真理子教授の基礎ゼミを履修する1年生が主力となり、候補作品を考案。また、学内からも公募しました。
髙瀨真理子教授の話
「yocatta TOKYO」は、無事故で廃車になった車のエアバッグとシートベルトで作ったトートバッグのブランドです。今回、そのエシカルファッションデザイナー、伊藤卓哉氏と本学がコラボレーションをし、SDGsについて学んだ学生がメッセージ考え、発信する学科イベントが実現しました。有楽町マルイ7階「サステナブルシンク」で1月8日に発表会を行い、審査を経て採用されたメッセージは「yocatta TOKYO」のシングルハンドトートにプリントされ、市販されます。現実に自分の考えたメッセージ入りトートバッグが店頭に並ぶ機会をもらったことで、ファッション業界に関心のある学生に限らず、学生の学科イベントに取り組むモチベーションが高まりました。
製品化するということは、世の中の何割かの人たちに買ってもらえるようなものを目指すことでもあるので、そこに対する厳しさとリアリティーのありようが学べた良い機会になりました。