本学学生がクリケット女子日本代表の中心選手で活躍
クリケットは日本でこそ、まだメジャーとはいえませんが、世界に目を向けると、競技人口はサッカーに次いで世界第2位という人気スポーツです。そのクリケットで本学で唯(ただ)一人、女子日本代表に名を連ねるのが、生活科学部生活文化学科4年の北山明里さん。競技歴こそ大学入学後と日は浅いものの、持ち前の運動神経でめきめき頭角を現し、今や女子日本代表20人の中心メンバーとして活躍しています。また、女子日本代表の海外遠征メンバー14人にも選ばれ、南太平洋?バヌアツや香港、韓国の仁川(インチョン)で行われた国際大会では日の丸を背負い、日本の勝利に貢献。2018年度には日本クリケット協会の女子優秀選手にも選ばれました。
先日、1月5?11日にオーストラリアで行われた、オーストラリア?カントリー?チャンピオンシップに東アジア太平洋地域代表チームに選出され(国際クリケット評議会により日本人2名が選出、内1名が北山さん)、北山さんの活躍もあり、チームは見事に優勝しました。
女子日本代表という周囲から頭一つ抜きんでた存在というイメージとは裏腹に、実際に会う北山さんは思ったよりも小柄。幼児保育専攻ということもあり、柔和で明るい笑顔が際立っていました。
-クリケットを始めたきっかけは?
「大学入学後、半年を経た9月ごろ。早稲田大学のクリケットサークル(ワイヴァーズクリケットクラブ)の知り合いに誘われて、そのサークルに入りました。小学校で野球を6年間、中高でソフトボールを6年間やっていたので、『面白いし、経験を活かせるから、すぐうまくなるよ』って。そのままストレートに女子野球をやるのもつまらないかな、とも思ったので」
クリケットは野球の原型といわれますが、意外にも捕球はグローブを使えず素手がルール。北山さんによると、素手の捕球は痛いことこの上ないといいます、ゴロの捕り方などに野球、ソフトボールで培った感覚や経験が活かせているといいます。
-北山さんが考えるクリケットの魅力は?
「なかなかアウトが取れないんです。野球はポンポン結構アウトが取れますが、クリケットはなかなかアウトを取りにくいので、アウトが取れた時の喜びがすごく大きいんです。後はバッティング。野球は1試合で4回回って来ればいい方。でもクリケットはアウトにならなければ試合中ずっとプレイできるのは気分がいい。なので調子のいい時は、ずっと自分だけ打ち続けられるというのは、すごく魅力だと思います」
なかなかアウトが取れないということは、この間、守備はずっと守りっ放しということ。現在は20オーバー(守備側の投手は6球で交代する決まりなので、1オーバーは6球、20オーバーは120球)で攻守が交代するT20制が主流になっています。北山さんによると、夏に屋外でやる試合は暑くて大変。熱中症で倒れる選手も毎年何人かいるといいます。
-日本ではクリケットの競技人口がまだまだ少ない。一説によると、国内すべてのチームの選手を合計しても2,000人にも届かないとか?
「(競技人口の裾野を広げるため)本当に1回クリケットを体験してほしいというのは、すごく思っています。また、ラグビーWカップ2019で日本代表がベスト8と大躍進したのを見るにつけ、やはり日本代表が強くならないと競技として有名にならないなとすごく思いました。自分たち女子日本代表が頑張らないといけない。でも皆仕事をしながら、学校を続けながら、傍らでやっているので、時間をつくるのがやっぱり難しいのですが」
ラグビー日本代表は年間240日もの強化合宿を行い、スキルや体力、団結力を磨いている。しかし、北山さんによると、クリケットは女子日本代表といっても土日を利用して年間3~4回。ラグビーとの強化環境と比べると差があります。
本学ではクリケットの部活やサークルが無く、クリケットを本格的に取り組んでいる学生は、今のところ北山さん唯一人。しかし、生活文化学科の同学年の学生は皆、北山さんがクリケットの女子日本代表であることを知っており、彼女が海外遠征にいくたび、「応援しているよ」「お帰り」など優しく言葉を掛けてくれるといいます。「それが本当に嬉しくて」と北山さん。彼女は残り少なくなった大学生活を振り返り、「仲間の声援を糧にクリケット女子日本代表として頑張った4年間でした」と語りました。