トップランナーを目指す「キャリア開発実践論」、今夏も開講
新社会人のトップランナーを目指す授業「キャリア開発実践論」(共通教育キャリア科目)が、夏期休暇を利用して宿泊型研修施設クロスウェーブ府中(東京都府中市)で行われました。2016年度から4年連続で開講する2泊3日の合宿授業で、今回は9月8日にスタート。外部講師に招いた元スターバックスコーヒージャパンCEOで株式会社リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏、同じく同社共同代表の鷲見健司氏が次々と提示する膨大な量の課題に、3~4年生ら20人が集中して取り組みました。
合宿初日、リーダーシップ論を学ぶ岩田講師の授業では、こんなやり取りが繰り返されました。
-岩田「桃太郎はリーダーだろうか?」
(賛否両論あり)
-学生A「私はリーダーではないと思います。理由は…」
-岩田「ではヒトラーや村上春樹、フォレストガンプはどうだろう?リーダーだろうか?」。
(各グループで議論を始める学生ら)
4つの小人数グループ(5人単位)に分かれてリーダーとは何かを洞察する授業で、およそ正解が何かあってなきがごとき岩田講師の問いの連続に学生たちは戸惑いも多くありました。時にグループ内で議論したり、時にメンバー同士の意見の調整役を担ったり…と戸惑いつつも、チームで力を合わせて答えを模索しました。実はこれは、学生たちにリーダーのスタイルの多様さを知ってもらうための授業の工夫の一つでした。4つのグループの学生がそれぞれ全力で今回のグループワークに取り組むプロセスの中で、「積極的になれない」「自分の考えを他人にうまく伝えられない」といったこれまでの自分の殻を少しずつ壊していきました。
受講内容が就職活動のグループ面接やグループディスカッション、さらには就職後も新社会人としての円滑なスタートに役立つと学生に人気の講座です。初日のリーダーシップ論に始まり、2日目から3日目にかけ、ファシリテーション(会議、ミーティングなどを円滑?効率的に進めコンセンサスを得る能力)、ダイバーシティー(組織内の多様な人材)とインクルージョン(一体感を持って働ける環境)などと濃密なグループワークが続きました。
講座は本学から文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育)と大学教育研究センターの植野誠之特任教授が担当しました。このうち深澤教授は本講座の意義について「超一流の講師が指導、企業研修に特化した超一流の環境の下、集中講座形式で学んだ学生が、本学のトップランナーとして成長し、社会で活躍することを願い構築した講座です。昨年までの講座を履修した学生は、本講座で大きく成長し、就職活動がスムーズに運んだことに加え、既に極めて順調に社会人としての第一歩を記しています」と強調しています。
「男社会で勝負している」=受講生OGの大澤さん、社会人2年目を語る
本講座受講生OGで2018年3月美学美術史学科卒の大澤萌里さんが、2日目夜間講座のスペシャルゲストとして車で片道3時間掛け栃木県から駆け付けてくれました。大澤さんは「中古車販売大手のA社」に同年4月に入社。中古車ディーラーとして「大学は女子大でも、今は男社会で勝負している」という社会人2年目の今をストレートに語ってくれました。
-なぜ今の仕事を選んだのですか?
(大澤)営業ができれば何でもよかった。その中でも、辛そうと思ったのが車のディーラーでした。まだ若いし、ディーラーは車のほか保険も売っており、世の中のお金の流れを知っていれば、この先の人生困らないと思ったので。加えて給料もよかった。
-女性の管理職として店長など上を目指す考えは?
(大澤)注目されるのは好きだし、そのつもりです。今般社内で表彰されました。(一同拍手)。会社に女性が少ないので、営業成績がいい自分を活用して、もっと女性の入社を増やしたいという会社の意図を感じています。自分としても異存はなく、大いに活用されてみようと思っています。
-現役学生の後輩へのアドバイスは?
(大澤)授業など学内だけでなく、学校の外の活動に参加する。女子大で女の子しかいないので、それだと世界が広がらない。結局は何をするにも人との出会いです。せっかくの出会いを無駄にしないよう、チャンスと捉えて積極的にアプローチすることが大切。
大学時代に出会ったNGO活動が原体験となり、「自分の人生を自分で決められないことが最大の貧困だ」と話す大澤さん。そのチャレンジ精神旺盛な生き方を講師の一人も「人生は長いから、まず1番目は1番厳しいところに、という生き方は素晴らしい」と評していました。
深澤先生の大澤さん評
私と出合ったのは、2年生の時の必修の授業、それ以来、授業は勿論、オリンピック?パラリンピックプロジェクトなどで、とにかく必死に頑張ってくれました。彼女は、とにかくポジテイブで積極性の塊でしたね。知らず知らず周囲が彼女の魅力に引き込まれていく空気を感じました。大学の価値は卒業生が作る、まさにその先頭を走ってくれていると思います。